───2022年、8月3日。


アポロンとかいう奴と戦い、２週間以上が過ぎて、時期はもう８月の夏真っ盛り。


毎日毎日……日差しが照りつけて、この姫矢の街のコンクリートジャングルはもはや灼熱地獄。



俺……椿 勝利たちの住処ではガリガリ君が手放せない毎日が続くから、俺は孟と亨多に内緒で勇騎さんたちの拠点『BATTOLER』にお邪魔させてもらってる。



「すずスィィーーー！」


お店の中はほどよくエアコンが効いており、冷たい飲み物もある。

そうここは灼熱地獄の中のオアシス。


心と体を休ませる最高の場所。



「もぉ、勝利くん、ここにいるんなら手伝ってよ～！」


困ったように笑いながら理緒が俺の所にやってくる。


「残念、俺はお客さんとして来てるから！」


「そんなこと言うんならスペシャルドリンク出さないぜ～？」


「おおっと、それは大変だな！」


──あの雨の日以来、理緒ともこんな冗談を言い合えるくらいには仲良くなった。


彼女は誰とでも仲良くなれる人のよさが魅力的なのだろう。

俺のようにすぐに人との間に壁を作ったりなんかしない。

自分から誰かを分かろうと努力しているそんな女の子だ。


何度も言うがノエルより先に会ってたらカノジョか嫁にしたかったぐらい。

ていうか日本が一夫多妻制を導入してるのならノエルも理緒もどっちも嫁にしてる。

それこそもう、ド派手にな。

そこにアルも入れて嫁三人とかだったらもう最高じゃね？

うん、きっとそうだ最高だ。



「…………あり？そういえばノエルは？」


そういえばここに来て数時間くらい入り浸ってたけど、今日は一度もノエルの姿を見ていない。



「えーっと、自分の部屋にいるんじゃないかなぁ？」


「分かった！見てくる！」


この暑さだ。ノエルは明らかに体力無さそうだし心配だ。

俺はカウンター席から立ち上がると水を飲み干し、階段を駆け登ってノエルの部屋へ向かった。