Episode.6 RAINY

「お、終わった…………」


へなへな……とその場に座り込むとローズの変身が解除されてしまう。


戦いは終わった。


その安心感からか、それとも吹っ切れたのか理緒は腰が抜けてしまったようである。



「理緒、大丈夫?」
 
「うん、なんとか………」


αは変身を解除すると理緒へと駆け寄った。

理緒も色々と心配だがそれ以上に気になるのは………



「……コイツ、寝てんのかよ」


この目の前のあんちゃんのことだ。

以前戦った来栖さんのソレとはまた違うエクスキメラに変身し、その怪人たちの力を遺憾なく発揮していた。


正直、勇騎さんや将さんたちより手強かった。


それにやっと倒したと思っても気を失うどころか、寝息を立てて寝てやがる始末だ。

たしかに『眠てぇ』とか言ってたけどさ、緊張感なさすぎだろ。



「さて、どうしてやろうかな……」


とりあえずは警察につきだしてみるか?
その前に顔にラクガキでもしてやるか?
とりあえず暴れられると困るので俺は変身したまま奴に近づいた。


すると……




《飛び上がライズ!RISING HOPPER!》


「……っ!!」


何者かが俺たちの間に割って入ってきた。

すかさず俺はヴァルツクローで乱入者の攻撃を防いだ。


このガイダンスボイスも、この太刀筋も覚えがある。


コイツは………!




「お前……いつしかの通りすがりの仮面ライダー!!」


「「!?」」


黄色いアーマーにスタイリッシュなスーツ。
能面のように貼り付いたバッタを模した仮面。


間違いない。
昨日ふ頭で戦ったあの仮面ライダーだ。


俺が臨戦態勢を取るとアルと理緒も立ち上がり構えた。




「本当にゼロワンだ……テレビで観たまんま……とは行かないけど」


理緒が構えたまま、通りすがりの仮面ライダー……ゼロワンを見据える。



「1日経っても帰ってこないと思ったら、まさかこんなところで寝ていたとはな。

俺が渡したフェニックスのジュエルもコイツには要らなかったか……?

……それにしても迷子のお迎えとは、俺もいいように使われるようになったな」


ゼロワンはブツクサと文句を言いながら、寝息を立てて寝ている男を抱える。

そしてゼロワンは理緒の方を向き……



「アポロンを倒すとは、お前なかなか筋がいいな……。

だが、これで終わりじゃない。
ここから始まるんだ。

せいぜい頑張るんだな……


──仮面ライダーローズ」


「……っ!待って!」


それだけ告げると、寝息をたてて寝ている男・アポロンを抱えて歩き去っていく。

ゼロワンの眼前には灰色のオーロラの壁。

やがてゼロワンは、理緒の制止すら聞かず、灰色のオーロラの壁の向こうへと消えていった。



何はともあれ……



──これでひとつの戦いが終わったのだ。
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