Episode.6 RAINY

「ぐっ……!やるじゃねぇか……!!」


《フェニックス》


しかし、ローズがつけた右肩の傷も炎で焼いて塞いでいるかのように、みるみるうちに塞がっていく。



「ふたりとも、気をつけて……。アイツ再生する」


「「りょーかい!」」


昨日も奴と戦っているαはすかさず俺たちに助言。

たしかに普段なら自己再生すると効かされるとゲンナリしてしまうが、今日は特別だ。

そんなことくらいでは俺たちの闘志は消えたりはしない。



「ハハッ……!気が変わった……もっと俺を楽しませろ!!」


《ミノタウロス》


奴の掌には巨大な火球。

先ほど放とうとしていたものとは比べ物にならないほどの大きさだ。

ローゼスギフトの効果が続く今なら避けることも容易いが、さすがにこれを避けてしまうと街に被害が出てしまう。

放たれる前に対処するしかない!



「喰らえぇぇ!」


「撃たせねぇよ……!」


《α!バースト!》


奴が火球を放つより速く、俺の能力が発動。

口元の装甲が展開すると、センザンコウの舌を模した武器が発射される。

ヴァルツ……というか俺の口から鞭のように伸びた舌は音速を超え、まるで暗器の如く奴の火球を貫いた。




「ちっ……腐ってもヴァルツか……!
どうやらおめぇが一番のゴクジョーみたいだなァ!」


音速をも超える舌……タスピアによる一撃であっという間に掻き消える火球。

しかし、奴は俺たちを好敵手として認めたのか、むしろこの状況を楽しんでいる素振りすら見られる。


……ハッキリ言わせて貰えばコイツに気に入られた所で面倒なだけだ。




《ローズ!バースト!》

《ガンモード!》


ローズのカプセルを読み込ませた後、ヴァルツクローをヴァルツガンへとモードチェンジ。

更にローズとαのカプセルを読み込ませる。



《エクスライザーシュート!》


《パールシェルファンガイア》


ヴァルツガンの銃口にエネルギーが収束する。

その間にも真珠の弾丸が俺に襲いかかる。

それを俺たち三人は高速で動き回りながら回避していく。




「くらえっ………!」


そしてエネルギーが臨界点に達した段階で奴に銃口を突き付け引き金を引く。

薔薇の花弁と共に巨大なエネルギーの塊が竜巻となって奴の身体を飲み込んだ。



「この程度の攻撃じゃ、俺は倒せないぜ……?」


たしかに奴の言うとおり。

俺が使ったのはヴァルツのベーシックフェイズでも使用可能な汎用技だ。

いささかダメージは通っていないように見える。


だけど、これでいいんだよ。



───足止めは出来てる!




「……昨日の借りは返させてもらう」


《Genocide Fang……!》


上空から竜巻の中心で足止めを喰らっている奴に目掛けてαが急降下。

既に口元の封印は解かれ、牙が剥き出しになっている。



「………ガァァァァァァァッ!!」


文字通り牙を剥いたαが奴の右肩に噛みついた。

先ほどから見るに奴は右肩への攻撃に弱いようで攻撃を喰らってからの動作が少しばかり遅かったように感じた。


どうやらそれは当たりだったようである。




「…………っ!まだまだァァ……!」


「いーや……これで終わりだぜ……!!」


しかし、弱点をついた所で奴は完全に倒しきれておらず、奴は自身に纏わりつく薔薇の竜巻を掻き消した。


だけど、これで終わりだ。


俺はリベルのカプセルとアインのカプセルを取り出した。



勇騎さんも、輝も……理緒のこと、大事だもんな。
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