Episode.6 RAINY

「……もう眠てぇんだよ、こっちは。いい加減死に腐れろ……!」


「ま……まだまだ、だっ……!」


変身が解除されたものの、俺は再び立ち上がった。

他の2人はダメージが大きく、立ち上がるどころか意識もない。


ここは俺が戦わなければ。

再びエクスライザーを起動させ、カプセルを読み込ませようとするが、体に力が入らない。



「っ………!!」


「なんでお前みたいな奴がヴァルツに変身してるかは知らねぇが、とんだ期待外れだったぜ」


「は……?」


ヴァルツに変身してるのが俺以外にもいたのか?

たしかにノエルもなんかそんな事言ってたような気がするけど……



「まっ、俺としてはどーでもいいんだけどな……これで終わりだ………」


《ミノタウロス》


装甲に映し出される牛のような怪物の姿。
それと同時に奴の掌には巨大な火球が生み出される。

火球はその熱量と輝きを増しながら、少しずつ膨れ上がっていく。


直視すら出来ぬ凄まじい熱とまばゆい光に目を伏せる。

ここで攻撃されれば少なくとも俺は……いや、間違いなく俺たち3人とも死ぬだろう。


その間にも火球が放つ熱がチリチリと焦がすように俺の肌を刺激する。



「最期の時だ……

弱すぎる自分たちを悔やむんだな……!」


「ここまでか……!」


容赦なく放たれる火球。
火球はゴォォォ……と怪物の呻き声のような音を立てながら迫る。


──ダメだ。今度こそ終わった。

前にもこういう状況はあったけど頼みの勇騎さんも今は病院のベッドの上。

将さんも輝も起きる気配すらない。





今度こそ俺はここで………!














「…………ボクたちのこと!」



「忘れてるんじゃない?」



刹那、2人の少女の声。

突風が吹きすさぶと共に、未だなお降り続く雨が火球に晒されて火照った肌を冷やした。


無論、ふたりの事を忘れていた訳じゃない。

でも、まさかこんなタイミングで助けにくるなんて思ってなかったのだ。



恐る恐る目を開けてみれば俺たちの間に割って入ったのは2人の戦乙女。

センザンコウをモチーフにしたワイルドな見た目の女戦士と薔薇をモチーフにした騎士のごとき女戦士。



そう、この二人は『α』と『ローズ』……。

俺たちの頼りになる仲間だ。




「アル!……理緒!!」
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