Episode.6 RAINY

「てめぇ!!」

「待て輝!」


《Form Change:Rider!》


俺の制止を振り切り、アインは最強形態ライダーフォームへと強化変身。

風のエネルギーを纏いながら駆け出していく。



「来いよガキんちょ。少しだけ遊んでやるよ」


完全に小馬鹿にしているのか、スキャッフォルドオーガは構えを解き両手を広げる。

だがアイン・ライダーフォームの特性は周囲のエネルギーを取り込み自らの力を強化するというもの。

奴が油断している隙に順調に強化していけば、奴に勝てるかもしれない。


俺は将さんの治療をしなければ。
俺のせいで将さんは怪我をしたんだ。
クロスの方へと向かい……



「刺さってるの抜くから少し我慢しろよな!」


「グッ……!あぁぁぁっ!」


《リヒト!バースト!》


俺はクロスを寝かせると、クロスの体から刺さっているロケットブレードを抜き、すぐさま治療を開始。

リヒトカプセルを読み込ませ、掌から放たれる光を照射。

やがて血が止まり、傷が塞がる。


俺の持つ唯一の回復手段であり便利な能力だが、あまりに傷が深いと回復しきれないという弱点もある。

現に俺も自分の傷を治そうと試みたが今以上には治らなかったからな。


だから、これも応急処置レベル。

戦いが終わってから専門の医師に診せなければならない。



「椿……助かった。篠原はどうだ……?」


「今、奴と戦ってる。将さんはここで………」



《ユートピアドーパント!》


「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!」


直後、火だるまになったアイン・ライダーフォームが蹴り飛ばされこちらまで転がってくる。



「輝っ!」

「篠原っ!!」


「……そんなもんかよ。

つまんねぇなぁ……
満たされねぇなァ………!

全然満たされねェ……!!


誰が俺を満たしてくれるんだよォォォォォォォォ!!!」


火だるまになり蠢くアイン。
アインならそのエネルギーも自分のものにできるはずだ。

一体、何が起こってるんだ………!?



「……ちっ……くしょ………!!」

アイン・ライダーフォームのベルトの風車が回転する。
風車の回転と共に周囲のエネルギーを取り込み、自らの風エネルギーへと変えるのだ。


しかし………



「だから無駄だっていってんだろ……!」


「グッ………!」


握りつぶさんと言わんがばかりにアインの頭を掴む。

その瞬間、アインの体から奴の腕へと取り込んだエネルギーが流れていく。

バックルの風車の回転が弱くなっていることからエネルギー残量が減っているのが分かる。



「まずいっ……!あのまま奴にエネルギーを吸わせたら篠原の生体エネルギーまで吸われるぞ!」


「っ!!」


《ヴァルツガン!》


将さんの言葉を聞くと俺はエクスライザーをヴァルツガンと呼ばれる射撃モードへと移行させるとヴァルツガンからエネルギー弾を射出する。



「ぐっ……!」


エネルギー弾が奴の右肩に当たると奴はアインの頭から手を離した。



「大丈夫か輝……!」


「わりぃ、助かった……。
あともうちょっと遅かったらやられてたぜ……」


「あまりイラつかせんなよな雑魚どもが……!」


《パールシェルファンガイア》


アインを助けることに成功したのも束の間、奴の攻撃の勢いは依然として止まることはない。

むしろ先ほど以上にその勢いは増している。

俺たち3人はその攻撃の威力とスピードに終止押されてばかりだ。



「ぐっ………!」

途切れ途切れになる意識。
あまりの勢いに反撃する暇すらない。

このままじゃ全滅する……!



《キャッスルハードスマッシュ》
《オウルハードスマッシュ》
《スタッグハードスマッシュ》



「てめぇら全員………」



《エクスライザーノヴァ………!》



「………俺の前にひれ伏せェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」


その身に重なる3体の怪人の幻影。
それと同時に天高く飛び上がるスキャッフォルドオーガ。

その瞬間、奴の右足に纏われる巨大な赤い装甲。

黄色の光の翼で加速し、青い刃状のエネルギーが右足の装甲に纏われ、ドリルのように旋回する。



「くっ…………そォォォォ……!!」


未だに真珠型の弾丸の処理に手こずっている俺たちにはその最強の一撃を避けることも、またそれを防ぐことも出来ない。


「ぐわぁぁぁぁぁぁっ!!」


「「あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」


最初の一撃がクロスの体に叩きつけられると膨大なエネルギーの奔流が俺とアインを飲み込み、その鎧を容赦なく破壊する。

そしてクロスを中心に蓄積されたエネルギーが炸裂すると俺やアインをも巻き込み爆ぜた。


地面に叩きつけられる俺たち3人。



「将さん……輝…………!!」


「……こんなもんかよ、ホントくだらねぇな」


生憎直接食らった訳ではないし、元々のヴァルツの装甲が堅牢だったこともあり、俺だけは意識を保っていられた。

しかし、直接攻撃を食らった将さん、それからその直前に強烈な攻撃を食らっている輝はピクリとも動かない。



まさに絶対絶命のピンチ。


……万策尽きた、とはこの事だろうか。
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