Episode.1 VALZ

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バイクにノエルを乗せ、来栖さんの待つ先ほどのカフェへと向かう。


そこが待ち合わせ場所だ。


無事にカフェにたどり着くと、そこにはカフェの入り口付近で待っている来栖さんの姿が。





「流石ですね………時間もぴったりだ」




バイクを停車させると来栖さんが歩み寄ってくる。





「仕事ですからねェ………」




ノエルを来栖さんのところまで送り届ける……これで俺の仕事は終わる。

普通だったらそうだろう。

だけど俺は……いや、俺達はバイクからは決して降りない。






「あ………あぁ………!!」



ノエルの様子が明らかにおかしい。

目を見開き震えている。まるで来栖さんに怯えているかのように。



やっぱりか………。




「………さぁ、ノエル……こっちにおいで」


ノエルに歩み寄る来栖さん。





「何をしているんだ………早く降りろと言っているんだ!」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」



業を煮やしたのか来栖さんはノエルに掴みかかり無理やりノエルをバイクから降ろそうとする。





「ッ!!」

どうやらこっちの勘もビンゴだったようだ。
俺は来栖さんを蹴り飛ばすとエンジンを吹かし、バイクを走らせた。
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