Episode.6 RAINY

──ROSE SIDE──

次の日。


あれから輝くんから連絡があり、勇騎さんとアルちゃんが何者かに倒されたと連絡があった。

アルちゃんはともかく、勇騎さんは重症だったようでそのまま入院することになった。

勝利くんを襲撃したというゼロワンの仲間だろうか。


アルちゃん曰くカプセルを使って変身する怪人だったらしいし。



「やっぱり勇騎さんと合流すれば良かったよな………わりぃ」


「いや、勇騎さんと合流してたってあの傷じゃどのみち戦えないでしょ。

だから勝利くんのせいじゃないって」


昨日のうちに手当ても済ませ、勝利くんも勇騎さんと一緒に入院させるつもりでいたが勝利くんが断固として入院を拒んだため、結局入院することになったのは勇騎さんだけとなった。


やっぱり勝利くんもなんだかんだ言って勇騎さんが心配みたい。
昨日の夜からずっと落ち込んでいる。



「……とにかく!

暖かいものでも食べて元気出さなきゃ!
右手は動かせるよね?」


「お、おぅ………」


「ハイ、じゃこれ食べて!」


言いながら、ボクは勝利くんの口にたっぷりとハチミツを縫ったトーストを突っ込んだ。

モゴモゴ言いながら、右手でトーストが落ちないように支えながら咀嚼する勝利くん。


……元気を出さなきゃ行けないのはボクの方かもしれない。

ふと外を見てみれば昨日と同じように朝から雨が降り続けている。


確かに姫矢市が存在する北陸は降水量が多く、年間の日照時間が短いと聞く。


まさかここまでとは……しかも今七月の後半だよね?

なんていうか梅雨が1ヶ月遅れでやってきたみたい。


しかも、今日もラジオからはまた何処かで聞いたような懐かしいメロディが流れている。

たまに感傷に浸るのはいいが2日連続は流石にノーサンキューだ。



「……はぁ」


結局ボクもため息をつくことしか出来ない訳で。

すると、ボクが突っ込んだトーストをお冷やで流し込み終えると勝利くんが口を開いた。




「……なぁ、理緒」


「なに?」


「昨日言いそびれたことがあるんだけど」


そういえばそうだった。

確かボクが昔の出来事を話したとき、勝利くんは何かバツの悪そうな顔をして、何か言いづらそうにしてたんだっけ。


──正直聞きたくない。

きっと勝利くんもボクを責めるんだろうな。

すました顔をして、戦いから、自分の世界から逃げて……


ボクだって、そんな自分が嫌で仕方がない。



「聞きたいことがあるって言ったじゃん。

巴ちゃんのこと、凄く辛かったと思う。


『でも』、いや『だから』なんだろうけど……なんていうかさ………」


きっと『乗り越えろ』とかそんな言葉なんだろう。
分かってる。乗り越えなきゃならないってことは。



でも…………。





「───それって無理して乗り越えなきゃいけないことなの?」



「………え……?」




──勝利くんの口から出た言葉は意外なものだった。
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