Episode.6 RAINY

──RIVEL SIDE──

「……む しゃ む しゃ」

「お前はいつまで俺の頭をかじってんだ……!」


結局あれから俺、呼道勇騎と食いしん坊娘ことアルは件の不良グループが根城として使っていると思われる、『なんたらステーション』?……いや『なんたらターミナル』?
……とにかく勝利が言ってたであろう場所にたどり着いた。

来たときからずっと雨が降っているので高床式の倉庫となっている内部に入りそのまま物陰に隠れると、アルにかじられながら日が暮れるまで待っていた。

それから日が沈みきった頃、続々とバイクに乗った若者たちがこの場所に集まってきた。
 
どうやらアタリだったらしい。
 
それにしてもコイツら、雨が降ってるってのにわざわざご苦労なこった………。
まぁ今は文句なんて言ってる場合じゃねぇけど。



「……やっぱ、ここがあいつらの根城だった訳だ」


はやる気持ちを抑え、俺は奴らの動きを探る。

奴らがジュエルドライバーを所持しているところやドライバーやジュエルを取引しているところを抑えなきゃいけない。
証拠を抑えなければただの犯罪者だ。

奴らを取り押さえるなら言い逃れの出来ない証拠を掴んでからだ。

これで間違いだったら意味がないからな。



「……ウッヒョーーー!このジュエル、レアもんじゃね!?」

「リーダー、こんなのもありますよ!」

「おぉ!」


やがて、メンバーのひとりと思われるメガネの男がバイクにくくりつけてあったアタッシュケースを開き、リーダー格と思われる男にその中身を見せる。

アタッシュケースの中身は見えない。

だがリーダー格がその中身に入っていたものを取り出した時、それがこちらからも確認できた。

奴が持っているのは『ライダージュエル』。
あらゆる仮面ライダーや怪人の“力”が内包された宝珠。

かつて俺の世界にも流通していた魔性のチカラ……。

信じたくはない。
だけどやはりそういうことなのか……。

“アイツ”の言う通り、俺の世界はもう………。


───いや、これはここでの仲間には言えない事。
今は顔に出すな。しっかりしろ俺……!



「アル、離れてくれ。そろそろ“仕事”だ」

「うん………」


嘘をつき続けることは、未来永劫苦しみ続けること。
そんなこと分かってる。

それでも俺は嘘をつき続けても仲間を守り続けることを決めた。
いつか俺たちの世界を救うと決めた。

アルが俺の頭をかじるのをやめると、俺は自身のジュエルドライバーを構え、物陰から姿を出そうとする。


しかし…………。




「…………よぉ」


「……あァ?なんだてめぇ?」


ガシャンとシャッターが勢いよく開くと、何者かがこの高床式倉庫に入ってきた。

臨戦状態になる不良たち。



「面白そうなモン持ってんな………俺も混ぜてくれよ」

コツン……コツンと靴音を鳴らしてこちらに歩み寄ってくる男。
この男を知っている……ていうかかつて共に戦った“仲間”と同じ顔をしている。



「………嘘だろ………?あり得ねぇ……!」


確かアイツは戦争で政府に雇われて、それで仮面ライダーとして戦っていた。

たった一度きり共に戦ったという程度だが、それでもアイツがオレ達の仲間であることには変わりはない。

そのはずだった………!





「猿渡……一海……!」
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