Episode.6 RAINY

──RIVEL SIDE──

「……ねぇ、勇騎。思ったんだけど」

案内役の勝利とはぐれて数分。
俺……呼道勇騎とアルは雨の降る埠頭を目的地も分からぬままさ迷っていた。

どうやら俺がアルを気にかけて、油断していた隙に置いていかれたらしい。


あの野郎……ひとりでスタコラサッサかよ。


俺たちはこの街の土地勘なんかねぇのに、なにやってんだよ。



「ねぇってば」

「……どうした、アル?」

さっきから俺のうしろにいたアルが俺の服の裾をつかみ話しかけてくる。




「……思ったんだけど、そのバンディットアローとかいう奴らが暴れるのって、夜なんじゃない?今昼間だけど」



「……………あ」



やばい。そうだった。

よくよく考えてみればアイツらがこんな真っ昼間からタムロしてる訳がない。

何かしろ行動するなら真夜中。
そしてその証拠を押さえるのもまた然り……だ。



うーむ……参った。地味にやらかしたような気がするぞコレ。



「「…………」」


どうしよう。

めちゃくちゃ気まずいぞコレ。


今さら早とちりでしたとか言えねーよコレ。




「……おなかすいた」


「早すぎねぇ?」


「おなかすいた」


「それ今聞いた」


「おなかすいた」


「………」


「おなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいた………」



「だーーーーーー!!噛むなーーーーーーーーー!!!

ていうか俺にどうしろって言うんだよ!!」


うっせぇ。……本当にうっせぇわ。
ていうかアルのやつもう腹減ったのかよ。

腹減りすぎたのかアルも奇行に走るようになった。

遂に俺の頭に噛みつくようになったのだ。


勝利ともはぐれたし、帰り道もわかんねぇ。

俺はいったいどうすればいいのだろう?


俺たちは……どおして、こんなところに来てしまったのだろう……?




「む しゃ む しゃ」


「いやーーーーーーーーーーー!!!」


とりあえず俺はアルがおとなしくなるまで、俺はおもちゃとして俺の責務を全うすることにしよう。


ていうか誰がおもちゃだ!!
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