Episode.6 RAINY

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「金が…………」

「……ステーキおいしかった。ありがと」

「ごちそうさま~」

あれから俺とアルは勇騎さんの金でたらふくご馳走を食べてやった。

食いしん坊のアルもいたこともあり、勇騎さんの財布はすっからかん。

いやぁ、実に美味しかった。本当にね。

このまま帰宅して寝てもオーケーだわ………


「……それはいいとして。
お前たちふたりとも、元の目的を忘れた訳じゃねぇよな?」








「「あ」」



「忘れてたのかよ……」

あぶねぇ。
このままじゃ勇騎さんたちに飯代奢ってもらうだけ奢ってもらってそれだけで解散になってしまう所だった。

まっ、飯も奢って貰ったことだし奢って貰った分だけ働きますかね。


「じゃあ、とりあえず星葉埠頭まで案内するから着いてきてくれ」

「あぁ……」

「分かった」

そして俺と勇騎さんはそれぞれバイクに跨がるのだが……


「なぁ、勝利……アルの奴乗っけてってくれねぇか?」

「は?」

「アルの奴、今日歩いて来たみたいなんだわ」

……これまた予想外の展開である。
アルはアルで今日は徒歩ですか。
まぁ、雨降ってたからか、それともたまたま近くにいたからなのか……。

いずれにしてもアルだけ置き去りにするのも忍びない。


て言うか勇騎さん、自分で乗せてけばよくね………


………って無理ですよねー☆


女の子に触れないもんね勇騎さん。ハハハ。



「……勝利、お前今とてつもなく失礼なこと思ったろ?」

「いえ別にー」

こうして結局俺がアルを後ろに乗せる形で星葉埠頭へと向かったのであった。
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