Episode.6 RAINY

「あぁぁぁぁ………!腕がァァァァ……!
俺の飯がァァァァァァ……!!」

「…………で、勇騎さん。
その大切な話って何さ?」

話の途中で呼び出された挙げ句、大切な話もされることなく終わるってのは流石にゴメンだ。

俺は早速本題を切り出すことにした。


「……あ、あぁ。
それなんだけどな。とりあえずこれを見てくれ」

自分の手を2、3回擦るとバッグからタブレット端末を取り出した。

あれ?これ本当にマルチの勧誘?

本当にそうだったらアルに勇騎さんの頭をむしゃむしゃさせて、俺はBATTLERに帰るぞ?

……などと思っていたが、そこに映っていたのは何かの事件の記事だった。


「何これ?」

「……つい先日から明らかに人間のものとは思えない事件がこの辺りで起こっててな。

建物ごと燃やされたり、人間がドロドロに溶けて死んでたり………こんなことが出来るのは人間じゃない。

それで俺も独自で調査してたんだがな、それで落ちてたものがこれだ。」

そして、勇騎さんがタブレット端末の画面をスワイプすると今度は見たことある形のデバイス……。

これは勇騎さんの使うジュエルドライバーとジュエルに似ている……というかジュエルドライバーとジュエルそのものだ。


「これって……!まさか勇騎さん、アンタ自分のアイテム盗られたのか!?」

「違う!……そもそも俺のジュエルドライバーは量産されてるものなんだ。

俺の世界にいた組織がジュエルとジュエルドライバーをバラまいてた。

俺は、俺の仲間たちと一緒にそのジュエル使いやその組織と戦ってた」

「……それでなんで俺たちの世界にアンタたちの世界のものがバラまかれてるんだよ?
まさかアンタの世界の連中がバラまいてんのか?」

なんとなく事情は分かった。
要するにまた俺たちの出番ってことだろう。
でもその前に気になることがある。

勇騎さんの世界のものだというベルトとジュエル。
それがなんで俺たちの世界にあって、それで誰がそれをバラまいてるのか……ってことだ。

もし仮に勇騎さんの世界の組織とやらがベルトをバラまいてるのだとしたら、さらに面倒なことになる。

あの来栖さんやそれからアンゲロスたちの他にも敵が増えるからな。
それに、その三大勢力が手を組む……って可能性もある。

動くのならまず、その詳細を聞いて作戦を考えてからだ。


「……いや、それはない」

「そうなのか?」

「ジュエルドライバーとジュエルをバラまいていた組織は俺たちが壊滅させたからな……

恐らく、俺たちの世界にいた組織の技術を何者かが利用してるんだと思う」

“壊滅した組織の技術の利用”。

確かにあり得なくもない。
現に俺もコルプスというかつてこの街を牛耳っていた連中が使っていたベルトを使っていたからな。


「そして………そんな事が出来るのは恐らくアイツらだろうな。
『来栖黎人』………。

勝利……お前の持つ『エクスライザー』を開発した奴らしか………!」
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