Episode.6 RAINY

────

「…………だーっ!もういいじゃん!
こんだけ謝ってんだしィ!」


「よくねぇわボケナス!
大事な話あるから集まるって昨日連絡したろうが!
それですっかり忘れて理緒とお茶してたって!?
どんだけたるんでんだお前!」


「いやいや!

大事な話があるって言ってなんで集まるところがファミレス!?
何?マルチの勧誘でもやってんの!?
俺これから何十万もする情報商材でも買わされんの!?こわっ!!」


「違うわボケェ!」


──昼過ぎ。願葉区のファミレス。


BATTLERを飛びだし、慌てて集合場所に向かった俺はこうして勇騎さんと、こないだ仲間になったばかりのアルのふたりに合流したのだが、のっけから勇騎さんの説教が始まり今に至る。

うーん……この調子なら本当に本題が始まらない気がする。



「……む しゃ む しゃ」


アルに至っては俺たちを無視して、ひとりでステーキをむしゃむしゃしてる有り様だ。

この後勇騎さんの持ち合わせが消えるのは目に見えて分かってる。

御愁傷様です勇騎さん……などと横目でアルを見ながら思う。



「ちょっと待てアル!お前食べ過ぎじゃね!?

て言うか俺の分まで食うんじゃねぇ!」


当然勇騎さんもアルの様子に気づいたのかアルから料理の皿を取り上げようとするのだが…………






「………む しゃ む しゃ」


design


「あーーーーーーーーーー!!

だから俺の手ごとむしゃむしゃすんなーーーーーーー!!!」



うーん…………本当に大丈夫なんだろうか。
理緒からあんな話聞いたばっかりだからさ、コントする気にはなれねぇんだよな………。


俺は窓に視線を移す。

雨は未だに止むことなく振り続けていた。
8/45ページ
スキ