Episode.6 RAINY
「………それってどういうことだよ?」
驚愕に満ちた顔で勝利くんはボクの顔を覗き込んでくる。
そんな顔をしてしまうのも無理はない。
「……そもそもボクは仮面ライダーなんて名乗ってるけど、本当はね仮面ライダーでもなんでもなくただの魔人なの」
「魔人?」
「ボクたちの世界にいる怪人だよ。
ボクたちの世界はね、ボクたちの通う学園の生徒会の生徒がね魔人っていう怪人を操って学園を支配してたの。
そして、ボクも薔薇魔人。
アイツらに弱みを漬け込まれて悪の手先に落ちた……それがボクの正体。
でも、そんな薔薇魔人に『仮面ライダー』の名前をつけてくれたのがその巴ちゃんさ……」
「………」
一息つくとボクは自分で淹れたコーヒーを啜る。
……うん、やっぱり不味い。
こんなの巴ちゃんのコーヒーに比べたらただの泥水だ。
なんでこんなにしょっぱいのかな……?
「……いわばボクは裏切り者。
当然他の魔人たちはボクを始末しようと次々と現れた。
ボクと巴ちゃんは来る日も来る日も戦ったよ。
誰も知らないところでずっとふたりきりで………」
ボクを救ってくれたのは巴ちゃんだった。
魔人として他の学生を襲うことに罪悪感を感じていたボクの心を解き放ってくれたのは。
だから戦ってこれた。
頼もしい親友が隣にいてくれたから。
ボクの全てを受け入れてくれた彼女がいたから。
でも………
「……やっと魔人を操っていた生徒会の役員を捕まえて、ようやくその裏にいる奴の存在を突き止めたんだ。
それは学園の理事長。
学園内の生徒や教師を支配し、日本の教育を支配し、やがては世界を支配する。
そんな意味の分からない、そんなくだらない理由の為にボクも、他の学園のみんなも学園の不適合者を排除するために魔人の力を与えられた。
でも、そんな訳の分からない理由で始まった悲劇も終わる。
そう思ってた………」
「……それでどうなったんだ?」
勝利くんはいい淀んだボクの目を見て、静かに訪ねる。
こっちから話を振った以上、話さなきゃ。
でも……やっぱり辛いや。
もう、終わったことなのに。
既に起こってしまったことは変えられないのに。
やっぱり認めたくない自分がいる。
「……早とちりしたんだ。
この戦いさえ終わればボクたちの学園は救われる。
冷静さを失ったボクは巴ちゃんの制止すら聞かずに理事長の部屋に単身突入したんだ。
当然それは罠。
魔人となった生徒会の連中に待ち伏せされててさ……
……まるで歯が立たなかった。
数も、ひとりひとりの実力も段違い。
そして、ボクを庇って巴ちゃんは殺された。
あの時……巴ちゃんの忠告を聞いていれば………
ボクが冷静に判断出来ていれば………
巴ちゃんは、死なずに済んだんだ………」
ここまで話し終えると、ボクは何も喋れなくなった。
勝利くんも何も喋らない。
あの日の話をするとどうしても後悔ばかりが頭を駆け巡る。
あの時、冷静になっていれば。
あの時、勝利を目前にして功を焦らなければ。
なんであの時に限って、あんなに無謀な行動をしてしまったのだろう。
でも、どれだけ悔やんでも。
どれだけ嘆いても、時は巻き戻りはしない。
終わった“後”にしか“悔”やめない。
だからこそ“後悔”なのだ。
そんなことは分かってる。
そのはずなのに…………。
驚愕に満ちた顔で勝利くんはボクの顔を覗き込んでくる。
そんな顔をしてしまうのも無理はない。
「……そもそもボクは仮面ライダーなんて名乗ってるけど、本当はね仮面ライダーでもなんでもなくただの魔人なの」
「魔人?」
「ボクたちの世界にいる怪人だよ。
ボクたちの世界はね、ボクたちの通う学園の生徒会の生徒がね魔人っていう怪人を操って学園を支配してたの。
そして、ボクも薔薇魔人。
アイツらに弱みを漬け込まれて悪の手先に落ちた……それがボクの正体。
でも、そんな薔薇魔人に『仮面ライダー』の名前をつけてくれたのがその巴ちゃんさ……」
「………」
一息つくとボクは自分で淹れたコーヒーを啜る。
……うん、やっぱり不味い。
こんなの巴ちゃんのコーヒーに比べたらただの泥水だ。
なんでこんなにしょっぱいのかな……?
「……いわばボクは裏切り者。
当然他の魔人たちはボクを始末しようと次々と現れた。
ボクと巴ちゃんは来る日も来る日も戦ったよ。
誰も知らないところでずっとふたりきりで………」
ボクを救ってくれたのは巴ちゃんだった。
魔人として他の学生を襲うことに罪悪感を感じていたボクの心を解き放ってくれたのは。
だから戦ってこれた。
頼もしい親友が隣にいてくれたから。
ボクの全てを受け入れてくれた彼女がいたから。
でも………
「……やっと魔人を操っていた生徒会の役員を捕まえて、ようやくその裏にいる奴の存在を突き止めたんだ。
それは学園の理事長。
学園内の生徒や教師を支配し、日本の教育を支配し、やがては世界を支配する。
そんな意味の分からない、そんなくだらない理由の為にボクも、他の学園のみんなも学園の不適合者を排除するために魔人の力を与えられた。
でも、そんな訳の分からない理由で始まった悲劇も終わる。
そう思ってた………」
「……それでどうなったんだ?」
勝利くんはいい淀んだボクの目を見て、静かに訪ねる。
こっちから話を振った以上、話さなきゃ。
でも……やっぱり辛いや。
もう、終わったことなのに。
既に起こってしまったことは変えられないのに。
やっぱり認めたくない自分がいる。
「……早とちりしたんだ。
この戦いさえ終わればボクたちの学園は救われる。
冷静さを失ったボクは巴ちゃんの制止すら聞かずに理事長の部屋に単身突入したんだ。
当然それは罠。
魔人となった生徒会の連中に待ち伏せされててさ……
……まるで歯が立たなかった。
数も、ひとりひとりの実力も段違い。
そして、ボクを庇って巴ちゃんは殺された。
あの時……巴ちゃんの忠告を聞いていれば………
ボクが冷静に判断出来ていれば………
巴ちゃんは、死なずに済んだんだ………」
ここまで話し終えると、ボクは何も喋れなくなった。
勝利くんも何も喋らない。
あの日の話をするとどうしても後悔ばかりが頭を駆け巡る。
あの時、冷静になっていれば。
あの時、勝利を目前にして功を焦らなければ。
なんであの時に限って、あんなに無謀な行動をしてしまったのだろう。
でも、どれだけ悔やんでも。
どれだけ嘆いても、時は巻き戻りはしない。
終わった“後”にしか“悔”やめない。
だからこそ“後悔”なのだ。
そんなことは分かってる。
そのはずなのに…………。