Episode.6 RAINY

──ROSE SIDE──

夏にしては珍しくこの日はずーっと雨が降っていた。

最近ずっと暑い日が続いてたから、たまには雨が降ってくれるのはありがたい……なんて話を聞くが正直ボクはあまり雨が好きではない。

だけど、ボクは暑いのもあまり耐えられる方ではない。


『なにをワガママ言ってるんだ』って?

ボクもたまにはワガママ言ってみたくなるのさ。


……あ、ごめんごめん。自己紹介忘れてたよね。

どうも。村瀬 理緒です。



『───人影も見えない午前0時

電話BOXの外は雨………』


ラジオからはテレビでも何度も流れるほどに有名な懐かしの曲が流れてくる。

ボクはカウンターの端の席に座ると頬杖をつきボンヤリと窓の外に視線を向ける。


窓の外から見える向日葵畑の向日葵たちが雨に打たれている様が目に入る。

向日葵にとってこの雨は恵みの雨なのだろうけども、ボクにとってはただただ嫌なことを思い出させるものに過ぎない。



「…………巴ちゃん」

ふと、最愛の親友の名を呟く。
『今』を生きているようで『過去』を生きている。
あの雨の日からずっとそう。

ボクはずっとその両目で『過去』を見て生きている。

誰にも悟られないように、自分の本心を忘れるように、笑顔の仮面を被ってさ……。



『……レイニーブルー もう終わったはずなのに
レイニーブルー 何故追いかけるの』


ラジオから流れる音楽が店内に響き渡る。


…………そうだよ、終わったはずなのに。

追いかけても仕方ないはずなのに。


それでも、ボクは今でもあの子の面影をずっと追いかけてる。




───護ってあげることの出来なかったあの子の面影を。
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