Episode.5 DUAL FUSION

────VALZ SIDE ───


「…………ノエルは………ノエルはどこだよ………っ!」


洋館の中。

ヴァルツ・ディアマンテエモーションに変身したまんまの俺はノエルを探して館内を右往左往。


古びた洋館なのに奴らが根城に使っているからなのか意外と中は整備されていて、綺麗なのだが…………とにかく広い!

しかも外から見た以上に複雑になってやがる。


なんていうか………迷路かよっ!!



『……利…………!』


「……っ!?」


『勝利っ!!』


突然響き渡る声。




これは………ノエルの声だ!



「の、ノエルなのか!?いまどこ!?怪我とかしてない!?」



突然のことで混乱する俺。

ノエルの無事を確認したくて大きめの声で叫んでしまう。敵のアジトの真っ只中というのに。



『落ち着いて。

今、私………あなたより、上の部屋。


静かに、来て…………案内、する』



「…………わかった」



…………そうだ、今は冷静に動かなきゃ。


じゃなきゃ助けられない。



『まず突き当たりを右………』


「お、オーケー…………」



俺はなるべく静かに静か~~に、歩く。


変身を解除しろ、という話だが………正直解除しない方が静かに歩ける気がする。


そういう足音を立てないギミックもこの手のパワードスーツには標準装備されているからな。



………こういう局面での戦いを想定してのことだろうか。



敵に見つからないようにそっと歩き………



「……さーらりとした~う~せ~つ~~」


なるべく小声でなるべく音をたてずに右折。

さらりとしているかは疑問だが、ここまで敵の影はない。



『……勝利。シーッ…………』


………あぁ、ごめんごめん。


ネタかましてる場合じゃ、ないよな。



そして、右折した先には階段があった。



「この階段登ればいいのか?」



『………登って、そのすぐの部屋

私、そこにいる』



近づいている。ノエルはすぐそばにいる。


はやる気持ちを抑え、俺は階段を昇る。



………もちろん音を立てずに、だからな?
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