Episode.5 DUAL FUSION

──ALPHA SIDE──

やっと私の番が来た……と言うべきところなのだろうが、私はこの姿があまり好きではない。


私は………

………『アル』とでも名乗っておくことにする。


みんな……自分の世界に残してきたあの人もそう呼んでくれてたし。

少なくとも『α』なんて呼ばれるよりかはマシだ。


赤津将とかいうあの男が怪物共のリーダーであろう少女と戦っている頃、私も敵と対峙する。

私を取り囲むのはイカのような姿をした怪物。
肌が透け、内臓が蠢く様子が肉眼でハッキリと見えている。

なんともグロテスクな姿であり、私が戦ってきた奴らとなんとなく雰囲気が似ている。


「……狩る」

あいつらの事は詳しくは知らないが、こちらにも事情がある。

私は……私たちは元の世界に帰らなきゃならないんだ。

大切な人が待ってる自分たちの世界に。

あの人が待ってる私たちのお店に……!



「ーーーー■■■■■■!!!」

獣のごとき雄叫びを上げ、2本の触腕を伸ばす。
触腕は別の生物かのように空気を切り裂きながら蛇行し迫る。

ライダーに変身していても気を抜いてしまえば触腕の餌食となるだろう。


「…………ッ!」

“野生の勘”という奴だろうか。
紙一重で奴の攻撃を回避しつつ、奴に肉薄。
センザンコウの鱗を模した装甲に触腕が掠め火花を散らすがお構いなしだ。ダメージはない。


「カァァァッ!!」

肉薄した勢いのまま、爪で奴の腹を貫く。
グチャッという音と共に赤黒い体液が周囲に撒き散らされる。


「!?!?!?」

奴の体を持ち上げるとそのまま上空へ投げ飛ばす。


「これで………終わり………!!」

《GENOCIDE……FANG 》

口許の“封印”が解け、口内に夏特有の蒸し暑い空気が流れ込んでくる。

怪物としての牙が露になった証だ。



そして私は…………






「────イタダキマス」


落ちてきた奴の体を食い破り、文字通り“食い尽くした”のであった。
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