「行かせるか！」


洋館へと向かう俺の前に立ちはだかる優里香。否、クイーンワスプアンゲロス。

その手にはメインウェポンであろう槍が握られている。

………正直人間と大差のないその姿と戦うのはなんか気がひける。

でも邪魔するのであれば戦う。ノエルを救うためにも。



「悪いけど、そこをどいてもらう！」


《ヴァルツクロー！》


ヴァルツクローを構えると、そのまま奴に斬りかかる。

しかし奴は………クイーンワスプアンゲロスはその槍でいとも簡単に攻撃を防いでしまう。

見た目は可愛らしい格好をした幼い少女でも中身はれっきとしたアンゲロスって事だ。



「…………！」


俺はヴァルツクローを握る手に更に力を込め、押し返そうとする。


しかし…………



「てやっ！」


「うわっ！」


視界から奴が消えた瞬間、景色が回転。

そして地面に勢いよく叩きつけられる。

一瞬の間を置いて足払いされたと気づいた頃には首筋に嫌な感覚が。

そう、奴の槍の穂先が俺の首筋を捉えていたのだ。



「さぁ、これでチェックメイトよ。降参して。

そうすれば、命までは取らないわ」


「そうか………降参するしかないか」


言いながら槍の穂先を握る。

グローブが裂け、血が滲む。


ピンチな状況がなんだ。

殺されそうなのがなんだ！


「な、なに………？」


「………なめるなよ………こっちはハナから命がけなんだよ！」


立ち上がり、穂先を握る手に力を込める。

すると奴の槍の穂先はくだけ散る。



「う、嘘！？私の槍が！？うぅっ！」


槍を砕かれ動揺するクイーンワスプアンゲロスを蹴り飛ばすと腰のカプセルホルダーからカプセルを2本取り出す。


そう、俺の新しい力………リベルとアインのカプセルだ。




「そのカプセルは………！」


「これが俺の新しい力………！さぁ、一丁反撃開始と行くぜ！」


………その瞬間、2本のカプセルから眩い光が放たれた。