Episode.5 DUAL FUSION

「これって………!」


「これで少しは戦えんだろ」


そう言ってサムズアップする輝。

歳もそんなに変わらないはずなのに、先輩ライダーとしての威厳というか、歴戦の戦士の貫禄というか………そんな頼もしさのようなものが感じられた。


俺もいつかそんな頼もしい先輩ライダーになれるだろうか……?



「輝………!」


「さぁ、特訓再開しようぜ!俺たち4人で鍛えれば勝利も少しは強くなれんだろ!」


「俺もやるのか……?まぁいいけど」


「仕方ねぇな………」


輝の特訓の再開の提案に乗ってくれる勇騎さんと将さん。

輝を含めた3人はベルトを装着する。



しかし、アルはというと…………



「待って」


「どうしたよアル?ノリわりぃぞ~……」


「おなかすいた」


「は?」


「おなかすいた」


真顔のまま固まっているアル。
どうやらお腹を空かせているみたい。

なんかクールビューティーって感じなのにかわいいところもあるんだな。



「待っててくれ。確か………あったあった」

痛みを堪えつつ自身のバイクの元に行くと、コンビニ袋をとりだし、中からメロンパンを取り出す。

ここに来る前、念のために朝飯を買っておいたのだ。
ノエルがさらわれているとはいえ、やはり軽くでも食べておかなければ全力は出せない。

呑気と言われるかもしれないが、準備はしっかりしなければ。

冷静になった後に特訓を受けたのもヴァルツの能力をしっかりと把握しておきたかったから……というのもある。


本当にここの人たちにはお礼を言っても足りないくらいだ。



「これあげるよ」

俺は袋を破くとアルにメロンパンを差し出した。

結構華奢だしそんなにがっついて食べることはないだろう。

俺は、その余ったメロンパンを食べることにしようかな……あまり腹も減ってないし。
























「む し ゃ む し ゃ」



design





「──────ゑ?」





あれ?


アルちゃん、一口だけかじるって感じじゃないの?

ていうかどこが華奢なのこの子?

ていうか誰が華奢とか言い出した?



………ちょっと待って。

なんか、メロンパンどころか俺の手ごとむしゃむしゃされてるよコレ。










「ギィィイャアァァーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」




俺の断末魔が廃工場内にこだました。
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