Episode.4 CROSS

──??? SIDE──


「さて………流石に部下に仕事を押し付けるばかりじゃ頭(ヘッド)としては無能だよな」


俺の力を受け継いだアイツ……椿勝利ら若き仮面ライダーたちの戦いが終わり、少し経った深夜。

夜の闇が辺りを支配する中、俺もまたアンゲロスと対峙する。


どうやらコイツらも囮としてやってきたのだろう。




──さて、そろそろ俺も“物語”に参加させてもらおうか。



むしろ本来の主役は“俺”だからな。



………なに?『お前誰だよ?』って?


あの阿呆……椿勝利がヴァルツに変身した時、俺もいただろうが。


俺だよ、俺。

……それともノエルにエクスライザーを渡した“もう一人のヴァルツ”とでも言えば分かるか?



そう………それが“俺”だ。





「────!!」


俺を取り囲んでいる怪物は全部で10体。
どれもこれも人体模型のように皮膚が透き通っており、蜘蛛を思わせる細い腕と、複数の眼球をもっている。

その醜悪な見た目のソイツ……スパイダーアンゲロスは眼球を全てこちらに向けて威嚇している。


どうやら俺をエサにしたいようだ。




「……仕方ねぇ」 

アイツらにノエルを取り返して貰わなければ俺も困る。
それに、部下たちには”それなりに”面倒臭い仕事を押し付けてある。

これから“レギナサギッタ”なる国に出向し、現地の軍隊と合流。
レギナサギッタ軍と共に隣国の“シャングリラ”に侵攻する……といったものだ。

一見するとこの街にいるライダーたちとの戦いに何ら関係なく思えるだろうが、あの土地に………シャングリラに眠る“あるモノ”こそが文字通りの“カギ”になる。



──だからこそ、だ。


シャングリラへの侵攻と姫矢での戦いを同時に進めなければならないし、俺は双方の国を往復し、同志たちを導かなければならない。

ただ椅子でふんぞり返っているわけではないってことだ。



………本当は物理学者なんだけどな、俺は。




《エクスドライバー!!》

design

取り出した青いバックル型アイテムを腰に推し当てる。
やたらとテンションの高い女の声と共にバックルからベルトが伸び、俺の腰に巻き付いた。


コイツは『エクスドライバー』。


俺と……そして俺が愛したただ一人の女と2人で作り上げたドライバーであり、アイツの形見。

ノエルを使ってあの阿呆に渡した『エクスライザー』のアーキタイプとなったドライバーであり、財団Xにも一部データが横流しされたようで、赤津将の使う『クロスドライバー』にもコイツのデータが一部反映されている。


つまりはこのエクスドライバーこそがオリジナルというわけだ……。




さて、もったいつけて名前を隠すのも飽きたことだ。


変身する前に、お前たちに自己紹介しておこうか……。






──俺は“ジニア”。


先程も話した通り、ただの天才物理学者って奴だ。
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