Episode.4 CROSS

「勇騎さん!」


「へぇ………仮面ライダーが3人も………」


眼前に立ちはだかるエグゼイドとアイン、そして背後にいる俺を一瞥して、クイーンワスプアンゲロスは不敵な笑みを浮かべる。

月光に照らされたその表情は小さな子供のソレとは思えないほど妖しく、そして美しいとすら思ってしまう。




「でもそんなんじゃ私は止められないよ!」


俺が先ほどやられた黒い塊………無数のスズメバチ型爆弾がアインとエグゼイドに襲いかかる。

爆音と轟風が辺りを支配し、月光すら覆い尽くす。



万事休すか………?しかし………




「ハッ!甘ぇよ!」


……輝の声だった。

直後、爆音と共に空を覆い尽くさんがばかりの閃光。

閃光が晴れると無傷のアインとエグゼイドがその姿を現した。



「さぁ、ノエルを返してもらおうか!」


「………」


見てるだけというのはなかなかもどかしい気分になるが、見たところクイーンワスプアンゲロスの能力は先ほどの爆弾と武器生成能力ぐらいであり、脇にノエルを抱えていれば実力を出し切れないのは明白。

対するこちらは空中戦が出来るライダーが2人もいる上、実力の差も歴然。

これであの娘も降参せざるを得ないだろう。



………そんな甘い考えが俺を支配した瞬間だった。




「ふふっ………」


彼女は………クイーンワスプアンゲロスは笑った。

この圧倒的に不利な状況で笑ったのだ。
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