Episode.1 VALZ
どれだけ走っただろう。
いつの間にか街灯もロクに整備されていない街はずれにまで来てしまった。
俺はバイクを停車させるとあたりを見回す。
街の開発から取り残され、そこに並ぶ家々も人が住んでいるかどうかも怪しい。
そんな街並みを支配するのはペンキをひっくり返したかのように真っ黒な夜の闇だけだ。
「そろそろ帰んなきゃな………」
こんな薄気味悪いところに長居は無用だ。
さっさと仲間の元に帰るとしよう。
アクセルをふかしバイクを走らせようとするが………
「椿 勝利さんですね?」
何者かに呼び止められてしまう。
振り返ってみるとそこには夜の闇に隠れてしまいそうな黒いスーツを着た男が立っていた。
顔はよく見えないが声を聞く限り若いというのは分かる。
「アンタは………?」
「私は来栖 黎人(くるす れいと)。姫矢コーポレーションで技術主任をしています」
「姫矢コーポレーションの………?」
『姫矢コーポレーション』。
願葉区に本社を構える、家電から食品、医療系、福祉系など様々な事業を手掛ける世界的に有名な大企業だ。
1990年代当初、寂れた田舎町だった願葉市を新興都市・姫矢市として経済的に活気を取り戻させ地域社会に貢献している他、2016年の血の生誕祭以降の姫矢市の復興にも一役かっている。
そんな大企業の技術主任殿が俺に何の用だろうか?
……正直怪し過ぎないか?
いつの間にか街灯もロクに整備されていない街はずれにまで来てしまった。
俺はバイクを停車させるとあたりを見回す。
街の開発から取り残され、そこに並ぶ家々も人が住んでいるかどうかも怪しい。
そんな街並みを支配するのはペンキをひっくり返したかのように真っ黒な夜の闇だけだ。
「そろそろ帰んなきゃな………」
こんな薄気味悪いところに長居は無用だ。
さっさと仲間の元に帰るとしよう。
アクセルをふかしバイクを走らせようとするが………
「椿 勝利さんですね?」
何者かに呼び止められてしまう。
振り返ってみるとそこには夜の闇に隠れてしまいそうな黒いスーツを着た男が立っていた。
顔はよく見えないが声を聞く限り若いというのは分かる。
「アンタは………?」
「私は来栖 黎人(くるす れいと)。姫矢コーポレーションで技術主任をしています」
「姫矢コーポレーションの………?」
『姫矢コーポレーション』。
願葉区に本社を構える、家電から食品、医療系、福祉系など様々な事業を手掛ける世界的に有名な大企業だ。
1990年代当初、寂れた田舎町だった願葉市を新興都市・姫矢市として経済的に活気を取り戻させ地域社会に貢献している他、2016年の血の生誕祭以降の姫矢市の復興にも一役かっている。
そんな大企業の技術主任殿が俺に何の用だろうか?
……正直怪し過ぎないか?