Episode.3 EIN

「ショーリ!お前もなんか言ってやれよ!」


パチモンと言われてよほど納得がいかないのか俺にまで話を振ってくる孟。



「どうでもいい」


「なんでだよ!?」


「いや、だってなぁ…………」




正直言ってそれは俺も薄々感じてたし………
とは流石に言えねぇけど。


それ以上にさっきの女子高生の涙を見たらそんな事なんてどうでもよく思えてしまう。

いつものバーに戻ったらあの動画………スネークアンゲロスの最期を映した動画をアップロードしなきゃいけないのか……。


そう思うとなんか憂鬱な気分になる。


………あのカメラ壊れないかな。




「………ところでよ、そのカメラ貸してくれよ」


ふと輝と視線があったと思うと、輝は亨多にビデオカメラを貸して欲しいと言い出した。



「ん?いいけど?」


少し不思議そうな顔をするも亨多はビデオカメラを輝に手渡す。



「へぇ、いいカメラじゃんか…………あ」


しばらくビデオカメラを見ていたが、まるで手が滑ったとでも言いたげにビデオカメラを手放す。

………勢いよく地面に叩きつけられるビデオカメラ。




「「あーーーーーーーーーーー!!!」」


「何すんだよ!コレ高かったんだぞ!?」


慌ててカメラを拾い上げる孟と亨多。

しかし打ち所が悪かったのかカメラは何も映さない。



「悪い悪い。手が滑っちまって。

……きっとバチが当たったのかもな」


あっけらかんとしていう輝。



「あぁ?」


「ま、アンゲロス狩りなんてバカな事なんて止めて真面目に働けって事だな。

………いいとこ紹介するからよ」


そういうと輝はチラリと俺の方を見る。


『これで良かったんだろ?』と言わんがばかりに。


へへっ、こいつ………やってくれるじゃないか。




「カメラの事はもういいじゃねぇか。
それより行こうぜ2人とも。
あそこのコーヒー旨いから」


「………なんでカメラ壊されたのに嬉しそうなんだよ?」


「いーや、別にっ」


何故だろう。
殺らなきゃ殺られる。

だからどんなに犠牲を出しても
誰が犠牲になっても。

俺たちは……この街に黙殺された俺たちは
アンゲロスを滅ぼさなきゃいけない。

そして、アンゲロスを倒してそれを撮影した動画の広告収入で生活出来るくらいになった。


こんな胸糞悪い動画がガンガン伸びるのも、俺たちの真似をしてアンゲロス狩りの真似事をする連中までいるのも正直ウンザリだった。


それでも生きるために。

俺たちのような子供たちが生まれないためにも、アンゲロスを滅ぼさなきゃいけないんだ。


そんなことは分かってる。


でも……………

ほんの少し………ほんの少しだ。

この瞬間だけは、なんだか気分が晴れたような気がしたんだ。
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