Episode.1 VALZ

───


街はずれの今は使われていない古いバー。

ここが俺たちの隠れ家だ。


ここで『カエル先生』なる人物に許可を得てみんなで暮らしている。

俺たちはアマゾン狩りならぬアンゲロス狩りを終え、隠れ家に帰ってきた。



「今日もガッポリ稼いだし今日も鍋パだぜ!」

隠れ家について早々鍋とコンロを持ってくる孟。

それを見て亨多はあからさまに困惑する。



「ちょっと~~~毎日やって飽きないわけぇ?たまには焼肉とかさぁ………」

「だって食いに行くのめんどいじゃん」


「はぁ…………」


「どーしたよショーリ?まさかお前も鍋嫌とか?」

「そんなんじゃないけどさ………」


俺は今日のアンゲロス狩りのことを思い出してため息をつく。

………またやってしまった。ていうかいつもこうだ。

戦いになると我を忘れてしまう。

まるで自分の中の獣が解き放たれたかのように。




「まぁ、今日のアンゲロス狩りの事なら別にいいんじゃね?ショーリのおかげで稼げてるようなもんだし」

「だよねだよね。たまに手ェつけられなくなるけど」


俺は人間だ。アンゲロスなんかじゃない。

でも自分が自分じゃなくなっていくような………戦いを繰り返していく度にもっととんでもない化け物に近づいているようで………。

そう思うと怖くて仕方ないのだ。





「………お前らにゃわかんねぇよ」

「ちょっ………ショーリ!」

ここにいてもウジウジと考え込んでしまうだけだ。

こんな時はひとっ走りしてくるに限る。

俺は外に出てバイクに跨るとエンジンをふかしバイクを走らせるのであった。
10/39ページ
スキ