予算会議に挑みましょう
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『兵助お待たせ。火薬委員の予算は取れたわよ。』
「く〜〜っ、名前先輩ありがとうございます!!!」
兵助に会計委員会の印の入った予算案を差し出すと嬉しさの余り抱き着いてくる兵助。そんな光景に辺りから刺すような嫉妬の入った視線が突き刺さる。
『ちょっと兵助。嬉しいからって抱き着きすぎよ。』
「あっ………し、失礼しました!」
予算が最初に通ったからこうなるのも無理ないか。しかし次は生物委員会が残っている。これからの順番は作法に残り図書、用具、保健委員会が控えている。このような感じなら生物は最後になるだろう。他委員会の予算の通り具合では見込みはあるが果たしてどうなるか。
仙蔵が文次郎に予算説明をしている。作法委員会は生首実験に生首フィギュアを管理をしている為特に問題がなければ比較的予算が通りそうだ。
『作法委員会は通りそうね。』
「それは立花先輩がおられますからね。」
『でもあの文次郎だから簡単ではないわよ?』
「確かに。でも我々五年生で説得するのは余程難しい事ですからね。」
『でも私が出るのは今回だけよ兵助。』
「………そうですよね。」
話し込んでいると作法委員会の予算案の虚偽が発覚し受理は不可能になった。
『作法委員会残念。』
「先輩……………僕達は大丈夫ですかね?」
『八。念には念を持って削減して必要最低限な物で予算案作成したから強気でいけるわ。』
「そうですよね!」
『そんな弱気になる事ないわ。自信を持ちなさい。飲み込まれるわよ。』
生物委員の後輩達の所に控えていた生物委員会委員長代理の竹谷八左ヱ門が側にやってくる。
六年生の予算のやり取りを見て気弱になっている為か後輩を奮い起こす。
次に用具委員会が続き用具委員会特製の漆喰砲が飛び交う。あの文次郎と留三郎の事だ。普段犬猿の仲だが予算会議ではまともな話し合いができると思っていたが会議ではお互い揶揄する発言が見られその上乱闘騒ぎなり用具委員は予算が取れずに終わった。掴みかかっている二人の間に左門と三木エ門が仲裁に入る。
『あの二人は成長しないわね。』
「まぁあの先輩方は………」
その光景に後輩達が引いている。
その次に図書委員が続き長次の不気味な笑みが炸裂する。その雰囲気に蹴落とされている文次郎。図書にある本が虫喰いされボロボロになっておりその修補に使う糊などの材料費を請求している。図書委員の後輩であるきり丸、怪士丸、久作、雷蔵も参戦し図書の貸し出しカードで会計委員に攻撃を行う。その内の一枚がこちらの生物委員の一年生に向かってきた為挟み取る。
「ひっ!……… 苗字先輩!」
『………これだから予算会議はいやなのよ。』
貸し出しカードを投げ捨て地面に突き刺さる。長次の様子を伺う。文次郎もその言い分に流石に観念したのか図書委員の予算案は認められ印が押される。火薬委員以外に予算が取れた為、歓喜の声はどよめきにまで高まった。勝ち取った予算案を持って図書委員がこちらに戻ってくる。すれ違う時長次と目が合う。
『長次。おめでとう。』
「名前………幸運を祈る………もそっ…。」
『ふっ。上等よ。』
その言葉に笑いかけ拳を握りお互いに拳を合わせる。
最後より二番目の保健委員会が伊作を筆頭に会計委員会に挑んでいく。保健委員の武器は使用済みの包帯や期限切れの薬など脅威になり得る物ばかりだ。長屋に向かう途中、伊作が盛大に転けその武器を会計委員の部屋にぶちまけるという出来事が発生しその有毒な匂いはこちらにまで漂ってくる。しかもぶちまけた自分達の武器で予算案が汚れ何を書いていたのか分からなくなるという不運まで発生し完全な自業自得な結果となった。
予算会議も大詰めとなり最後になった。生物委員会のメンバーに声を掛ける。
『今回の予算会議は私達で最後。』
「名前先輩!僕達の番です!」
『今で予算を取れたのは火薬、図書のみ。気を引き締めるわよ。』
「「はい!!!」」
後輩達の返事が重なる。最後の生物委員が会計委員に挑む。懐からあたためた予算案を取り出し文次郎に挑む。
『最後に生物委員会委員長代理のこの苗字名前が会計委員に物申す!』
「生半端な予算を通す訳にはいかん!!!」
『こちらには完全な策がある!行くわよ文次郎!!!』
「名前先輩に続け!!!」
予算案を叩き付け正面堂々と向かい合う。
『ふぅ……。』
「「名前先輩、お疲れ様でした!この御恩を忘れません!!!」」
『無事勝ち取れてよかったわ。八も皆んなもお疲れ様。』
文次郎から予算案を勝ち取れた事に火薬委員、生物委員皆んなで食堂で祝祭を上げる。生物委員は毒虫を取り扱う事に予算の大半を使っているがその毒虫を使って毒の生成に取り組んでいるのも事実。
顧問である木下先生も涙を流しながら歓喜していた。普段から委員会が毒虫達を逃している為肩身が狭かったのだろう。ようやく肩の荷が降りる。その様子に食堂にやってきた会計委員会委員長の潮江文次郎から声を掛けられる。
「名前。お前ずるいだろう。」
『ふふっ、戦略的って言ってもらえる?』
「他の委員会もそうでしたけど、ここの火薬と生物は特にちゃんとした予算書でしたからね。」
「分かりやすかったですし、あれは文句なかったです。」
文次郎の後ろから三木エ門と左門が顔を出す。
『三木エ門、左門ありがとう。』
周囲には傷だらけな委員会もいる。それだけ予算会議は危険が付きものなのだ。図書委員もおり長次が近寄ってくる。
『長次!お疲れ様。』
「もそっ…… 名前の予算案は参考になる……今度話しをしよう………」
『いいわよ。私も長次に聞きたい事あるから。』
そう言葉を交わすとその他の委員会から声が掛かり始める。その様子に両端から兵助と八左ヱ門に挟み込まれ逃げられないようにされる。
「行かせません。」
「名前先輩は僕らの委員長です。」
『兵助。八。私は今回だけって言ったわよね。』
「「そんなの嫌です!!!」」
「お前ら調子に乗っているだろう。」
「そうだ。名前を独り占めとは見過ごせないな。」
「お前達私達に歯向かおうというのか?」
「いくら先輩方でも名前先輩は譲れませんね。」
そんな後輩同級生の行動に溜め息が出る。後輩二人に六年生である仙蔵、留三郎、小平太が詰め寄り一触即発となる。都合よく利用されるとは気持ちよくないものだ。
「もうお前達火薬、生物委員会はもういいだろう。次はこっちをやってもらうぞ。」
『仙蔵が委員長だから私が参加するのは無理です。』
「なぁ次は用具委員の予算案を見てもらえないか?」
『それならいいわよ留三郎。』
「それなら体育委員もいいだろう?名前宜しく頼む!」
「小平太それは楽をしたいからでしょ。それに体育委員は殆ど予算かかってないじゃない。」
あれよこれよと委員会から声が掛かる。しかしもうあんな責任重大な事を任されるのは暫く嫌だ。
今度からの予算会議に二度と参加しない事を決めた。
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(名前〜この予算案どうにかしてくれよ〜)
(どれどれ……伊作この予算案は?)
(汚れて全部分からなくなった。)
(伊作。これは私でもどうにもならないわ)
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