短編
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巡り合い
『や〜っと終わった。』
その日は前日にシナ先生から出された課題、本日中のやるべき事は終了した。
今日はこれから何をしよう。この間街にも出て、必要なものは買ったしこの通り課題も終わった。
そう言えば最近自主練を疎かにしていたから外でトレーニングするのもありだよね。そう思い立つとくのたま長屋を後にし外へ出る。
外に出ると後輩達がそれぞれの時間を過ごしている。その光景を横目に、一人裏裏山へと向かう。
誰も近くにいないことを確認し、自主練や精神統一に取り掛かる。静けさを持つ森は独特な雰囲気を放ち、昼間だと云うのに辺りは暗く、何か出てきそうな気がする。
自主練を始め数刻が経つ。辺りの暗さに拍車がかかる。いつからだろうか。背後から殺気を滲ませた絡み付くような視線を感じる。敵か?そんな奥に来ていたのか。いつからそこにいる?私とした事が気配を感じることができなかったのは不覚だった。忍装束で口元を覆う。
意識をそこに集中すると背後からパキッと枝を踏む音がし、思わず振り向くと同時に反対方向から何かが飛んでくる。すかさず持っていた苦無で弾き飛ばす。
キイィィンッ!っと金属音が木霊し苦無で応戦。地面に落ちたものをみると手裏剣だ。手裏剣が打ってきた方向を確認すると、そんなに距離は遠くない。すかさず他の手裏剣も打ち込んでくるが避けれないものではない。すると視界の前に忍びが飛び込み、再び苦無で応戦する。
金属音が辺りに響き渡り、その音が木々に反響する。相手の体術も出てきてこちらも体術で攻防。確実に急所を狙っているが中々命中しない。こいつ手慣れている。相手の蹴りが頬を擦り、少し血が流れる。もし刃物でも仕込まれていて、あと僅か上だったら眼をやられていた。防御を取り隙を伺うが、一撃一撃が重い。同級の忍たま達との力の違いに思わず頬が緩む。やばいスイッチが入りそう。すると攻撃が止み、お互いに距離をとるが今だに対峙を続ける。
背を向けるとやられる。この高揚感と緊張感、久しぶりすぎる。思わず顔がにやけてしまうがそれを必死に取り繕う。まだ戦える。再び体制を整え戦闘態勢に入り声を掛ける。
『………貴様は誰だ?』
そう伝え、目を細めて相手の姿を確認すると、差し込んだ太陽光の日差しと共に明るくなり、黄昏色の忍装束に身を纏め、一部の眼孔を除き顔面まで包帯を巻いている男性だと気付く。姿が確認できると相手からも返事が返ってきた。
「………気付くのが遅かったんじゃないか?……お前は何処のくノ一だ?」
開口したと思えばそんな事を聞かれ思わず顔から笑みが出る。
『其れを云う必要があるのか?名を聞くなら自分からまず名乗ったらどう?それが礼儀というものだ。』
「……………タソガレトキ城の雑渡昆奈門だ。」
タソガレトキ?あの戦好きで有名な城の忍者?でもそこら辺の忍者とは違う。恐らく多くの戦闘を経ているのだろう。今までの敵と明らかに漂う雰囲気が違う。その証拠に背中を伝う汗が止まらない。立ち振る舞いから何処にも隙がない。また動いたら此方がやられる。その存在感だけで嫌でも相手の強さが分かってしまう。
これは勝てない。
『私は忍術学園のくノ一教室、名前という者です。』
取り敢えず相手が名乗ったので此方も名乗り返す。
「そういえばキミの装束は何処かで身に覚えがあると思ったら……もしかして伊作君のお友達?」
思いがけない名前が出てきたので思わず緊張の糸が切れてしまう。
『そうですけど、なんで伊作の名前を知っているんですか?』
「あの子とは訳あって、少し前に知り合ってね。そこからの仲なんだよ。」
そう云うと懐から竹筒を取り出し吸い口を口に含み、座り込む。自由人だなこの人。さっきまでお互いピリピリしていた筈なのに。
「君はなんでこんな処に居たの?今我々は合戦中の準備中でね、私達以外の忍者もここら辺に沢山いるんだよ。危ないよ。」
『それでしたら先程二、三人は攻撃してきましたのでやり返しました。』
「え、?ごほっ!!!」
思いもよらない返答だったのか雑渡さんは吸い物でむせてしまっていた。
「ちょっと!大丈夫ですか?」
思わず側に駆け寄ってしまう。
「ごほっ、だ、大丈夫だ。ここいらの忍者はそれ相応の実力を持つプロ忍者だ。よく怪我してないね。」
『それなら先程貴方に怪我を付けられましたよ。他の忍者はくノ一のクセにとか言ってきましたから。少しむかついて腹いせに普段以上の実力が出っちゃったのかもしれません。』
「ほう……。」
そう言うと雑渡さんの目は細くなり、興味が湧いたのかそれを感じ取り思わず後退りをしてしまう。やっぱりこの人危険だ。
「でも雑渡さんは気配からして違いました。私は己の実力不足を感じましたし、また修行に精が出ます。」
「確かにきみはまだ外の世界を知らないが、くノ一の中では実力はあるよ。けどまだまだその力は伸びる。一戦を交えた私が保証する。」
『それは大変有り難いお言葉です。』
そう言い少し距離を取ろうと腕を掴まれる。力強いなこの人。
「君、卒業したらうちの城に来ないか?君なら大歓迎だ。むしろ私直々に鍛えたい。」
『お誘いは嬉しいですが、戦は余り好きではありません。程よく働ける所がいいですね。』
「ここいらの城は余り評判の良いことは聞かないが、もし興味があったらまた私を尋ねるといい。何時でも協力しよう。」
『………成るべくお会いしない方がいいですがもしもの時は宜しくお願いします。』
「これからも関わると思うと楽しみだね。」
右眼だけで笑う雑渡さんが少しだけ近づきやすい雰囲気になった。けど油断は禁物。この人が学園にとって脅威になる時は敵となる為その時は対峙しないといけないと思うと少し悲しいな。
そう思っていると掴まれていた腕を引っ張られ彼の首元に吸い寄せられる。今、どうなったか一瞬状況が分からない。
「君は手放したくないねぇ。ねぇ、もしよかったら僕のお嫁さんになってくれないかい?」
耳元でそう囁かれて、時が止まる。うん?オヨメサン?……言葉の意味が分からず思わず彼をものすごい勢いで押し退け距離を取る。
「………そんな距離を取られるとおじさん悲しいんだけどな。」
そんな事は知らない。今のは誰にでも言ってるんだろうな。きっとそうだ。聞かなかった事にしようと自分にいい聞かせ、平静を装う。
『会ったばかりの人に何を言ってるのかお分かりですか?そのような事は簡単に言わない方がいいですよ。あとそのような女性ならお困りではなさそうに見えますが。』
「君だから言ったんだよ。君の心が欲しい。
それだけおじさん惚れちゃったんだ。でもそういう風に意識してくれただけでも今日は大満足だよ。」
『………そんな簡単に惚れない方がいいですよ。人はみかけによらないので。』
「………ここは近々合戦がある。本当だからここいらには余り近づかないでね。また会うのを楽しみにしている。」
そういうと不敵な笑みを浮かべ彼は立ち上がり、素早く去っていく。
なんだった今の出来事は。先程までの事を思い返し、取り敢えず山を降り学園に戻る。傷を作り少し破れた忍装束を伊作に見られ、手当てを受ける羽目になり説教も受けることになった。
___________________________________________
(名前!こんな怪我をして!きちんと直さないと痕になるんだから気をつけてよね!)
(伊作、雑渡さんって知ってる?)
(ほぇっ!まさか名前会ったの?何か言われた!?((雑渡さんまさか口説いた?)))
(へっくしょん!)
(組頭大丈夫ですか?)
(いや、大丈夫。ちょっといい娘を見つけてね。)
(組頭!!?)
『や〜っと終わった。』
その日は前日にシナ先生から出された課題、本日中のやるべき事は終了した。
今日はこれから何をしよう。この間街にも出て、必要なものは買ったしこの通り課題も終わった。
そう言えば最近自主練を疎かにしていたから外でトレーニングするのもありだよね。そう思い立つとくのたま長屋を後にし外へ出る。
外に出ると後輩達がそれぞれの時間を過ごしている。その光景を横目に、一人裏裏山へと向かう。
誰も近くにいないことを確認し、自主練や精神統一に取り掛かる。静けさを持つ森は独特な雰囲気を放ち、昼間だと云うのに辺りは暗く、何か出てきそうな気がする。
自主練を始め数刻が経つ。辺りの暗さに拍車がかかる。いつからだろうか。背後から殺気を滲ませた絡み付くような視線を感じる。敵か?そんな奥に来ていたのか。いつからそこにいる?私とした事が気配を感じることができなかったのは不覚だった。忍装束で口元を覆う。
意識をそこに集中すると背後からパキッと枝を踏む音がし、思わず振り向くと同時に反対方向から何かが飛んでくる。すかさず持っていた苦無で弾き飛ばす。
キイィィンッ!っと金属音が木霊し苦無で応戦。地面に落ちたものをみると手裏剣だ。手裏剣が打ってきた方向を確認すると、そんなに距離は遠くない。すかさず他の手裏剣も打ち込んでくるが避けれないものではない。すると視界の前に忍びが飛び込み、再び苦無で応戦する。
金属音が辺りに響き渡り、その音が木々に反響する。相手の体術も出てきてこちらも体術で攻防。確実に急所を狙っているが中々命中しない。こいつ手慣れている。相手の蹴りが頬を擦り、少し血が流れる。もし刃物でも仕込まれていて、あと僅か上だったら眼をやられていた。防御を取り隙を伺うが、一撃一撃が重い。同級の忍たま達との力の違いに思わず頬が緩む。やばいスイッチが入りそう。すると攻撃が止み、お互いに距離をとるが今だに対峙を続ける。
背を向けるとやられる。この高揚感と緊張感、久しぶりすぎる。思わず顔がにやけてしまうがそれを必死に取り繕う。まだ戦える。再び体制を整え戦闘態勢に入り声を掛ける。
『………貴様は誰だ?』
そう伝え、目を細めて相手の姿を確認すると、差し込んだ太陽光の日差しと共に明るくなり、黄昏色の忍装束に身を纏め、一部の眼孔を除き顔面まで包帯を巻いている男性だと気付く。姿が確認できると相手からも返事が返ってきた。
「………気付くのが遅かったんじゃないか?……お前は何処のくノ一だ?」
開口したと思えばそんな事を聞かれ思わず顔から笑みが出る。
『其れを云う必要があるのか?名を聞くなら自分からまず名乗ったらどう?それが礼儀というものだ。』
「……………タソガレトキ城の雑渡昆奈門だ。」
タソガレトキ?あの戦好きで有名な城の忍者?でもそこら辺の忍者とは違う。恐らく多くの戦闘を経ているのだろう。今までの敵と明らかに漂う雰囲気が違う。その証拠に背中を伝う汗が止まらない。立ち振る舞いから何処にも隙がない。また動いたら此方がやられる。その存在感だけで嫌でも相手の強さが分かってしまう。
これは勝てない。
『私は忍術学園のくノ一教室、名前という者です。』
取り敢えず相手が名乗ったので此方も名乗り返す。
「そういえばキミの装束は何処かで身に覚えがあると思ったら……もしかして伊作君のお友達?」
思いがけない名前が出てきたので思わず緊張の糸が切れてしまう。
『そうですけど、なんで伊作の名前を知っているんですか?』
「あの子とは訳あって、少し前に知り合ってね。そこからの仲なんだよ。」
そう云うと懐から竹筒を取り出し吸い口を口に含み、座り込む。自由人だなこの人。さっきまでお互いピリピリしていた筈なのに。
「君はなんでこんな処に居たの?今我々は合戦中の準備中でね、私達以外の忍者もここら辺に沢山いるんだよ。危ないよ。」
『それでしたら先程二、三人は攻撃してきましたのでやり返しました。』
「え、?ごほっ!!!」
思いもよらない返答だったのか雑渡さんは吸い物でむせてしまっていた。
「ちょっと!大丈夫ですか?」
思わず側に駆け寄ってしまう。
「ごほっ、だ、大丈夫だ。ここいらの忍者はそれ相応の実力を持つプロ忍者だ。よく怪我してないね。」
『それなら先程貴方に怪我を付けられましたよ。他の忍者はくノ一のクセにとか言ってきましたから。少しむかついて腹いせに普段以上の実力が出っちゃったのかもしれません。』
「ほう……。」
そう言うと雑渡さんの目は細くなり、興味が湧いたのかそれを感じ取り思わず後退りをしてしまう。やっぱりこの人危険だ。
「でも雑渡さんは気配からして違いました。私は己の実力不足を感じましたし、また修行に精が出ます。」
「確かにきみはまだ外の世界を知らないが、くノ一の中では実力はあるよ。けどまだまだその力は伸びる。一戦を交えた私が保証する。」
『それは大変有り難いお言葉です。』
そう言い少し距離を取ろうと腕を掴まれる。力強いなこの人。
「君、卒業したらうちの城に来ないか?君なら大歓迎だ。むしろ私直々に鍛えたい。」
『お誘いは嬉しいですが、戦は余り好きではありません。程よく働ける所がいいですね。』
「ここいらの城は余り評判の良いことは聞かないが、もし興味があったらまた私を尋ねるといい。何時でも協力しよう。」
『………成るべくお会いしない方がいいですがもしもの時は宜しくお願いします。』
「これからも関わると思うと楽しみだね。」
右眼だけで笑う雑渡さんが少しだけ近づきやすい雰囲気になった。けど油断は禁物。この人が学園にとって脅威になる時は敵となる為その時は対峙しないといけないと思うと少し悲しいな。
そう思っていると掴まれていた腕を引っ張られ彼の首元に吸い寄せられる。今、どうなったか一瞬状況が分からない。
「君は手放したくないねぇ。ねぇ、もしよかったら僕のお嫁さんになってくれないかい?」
耳元でそう囁かれて、時が止まる。うん?オヨメサン?……言葉の意味が分からず思わず彼をものすごい勢いで押し退け距離を取る。
「………そんな距離を取られるとおじさん悲しいんだけどな。」
そんな事は知らない。今のは誰にでも言ってるんだろうな。きっとそうだ。聞かなかった事にしようと自分にいい聞かせ、平静を装う。
『会ったばかりの人に何を言ってるのかお分かりですか?そのような事は簡単に言わない方がいいですよ。あとそのような女性ならお困りではなさそうに見えますが。』
「君だから言ったんだよ。君の心が欲しい。
それだけおじさん惚れちゃったんだ。でもそういう風に意識してくれただけでも今日は大満足だよ。」
『………そんな簡単に惚れない方がいいですよ。人はみかけによらないので。』
「………ここは近々合戦がある。本当だからここいらには余り近づかないでね。また会うのを楽しみにしている。」
そういうと不敵な笑みを浮かべ彼は立ち上がり、素早く去っていく。
なんだった今の出来事は。先程までの事を思い返し、取り敢えず山を降り学園に戻る。傷を作り少し破れた忍装束を伊作に見られ、手当てを受ける羽目になり説教も受けることになった。
___________________________________________
(名前!こんな怪我をして!きちんと直さないと痕になるんだから気をつけてよね!)
(伊作、雑渡さんって知ってる?)
(ほぇっ!まさか名前会ったの?何か言われた!?((雑渡さんまさか口説いた?)))
(へっくしょん!)
(組頭大丈夫ですか?)
(いや、大丈夫。ちょっといい娘を見つけてね。)
(組頭!!?)