短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
悪戯完了
『…………』
「人の顔をジロジロ見るんじゃない。」
私が興味深く見つめる先には鉢屋三郎がいる。
ぼぉーっと完璧な変装に包まれている彼を足から先まで見つめるが、この男の変装がいつ解かれるか気になっている。
目の前の三郎の顔は同じ同級生である不破雷蔵の顔である。噂によれば三郎の素顔は先生方ですら知らないとか。
果たしてそれは本当に可能なのか。先生が知らないとなると学園の生徒は勿論の事、無論私も例外ではない。
しかしよくよく考えると寝食を共にし、ずっと変装で過ごす事自体無理があるのでは。
でも、いやあるいは同室の雷蔵なら素顔を知っているかもしれない。
しかしこのほのぼのとした雰囲気の中でも三郎は決してぼろを見せない。それは至る所をみてもだ。
さすが変装の達人、隙がない。
でもここで疑問に思う。隙がないなら作ってみたらどうか。ここは鎌を掛けて油断させたら、三郎の顔の変装が外れるのではとよからぬ考えが頭をよぎる。
『ねぇ、三郎。』
「なんだ、名前?」
『私、三郎の素顔知ってるよ。』
「それは嘘だな。」
『あ、私の言葉信じてないな。』
まさかの即答と私の言葉を鼻で笑う三郎。微塵も信じてないのが分かる。
いや、分かるけど少しぐらい私の言葉を信じてよくない?
『むかつく。本当だと思わないの?』
「ふっ、私の素顔が名前みたいな軽い奴に簡単にバレてしまったら大問題だ。」
んっ?これ私馬鹿にされてる?てかここまで言われるとは。
冗談が倍になって返ってきたうえに私の扱い酷くない?
あまりの言われように気づいたら腹が立ってきた。
『酷いな。少しぐらい信じてもいいじゃん。』
「名前が馬鹿な事を考えるからだ。」
『はいはい、私が悪うございました。もう結構でーす。』
三郎に絡んだ自分が馬鹿みたい。しかも酷い言われようだ。なんだが悲しくなり惨めな気分になってきた。
「おっ、諦めたか?」
『まぁね、どうせ教えてくれないし。』
必死になるのは馬鹿らしい。つまらないしもう興味も無くなったから三郎の前から消えようかな。
片膝をついて立ち上がると、黙って視線を動かす三郎。今更後悔しても遅いんだから。
「なんだ、やけにあっさりだな。」
ここで泣き真似でもしたら、さすがの三郎も悪いと思うかな。
三郎の反応を想像して心の中でクスクス笑っていると三郎が口を開く。
「もう少し粘ったら教えたかもしれないのにな。」
『嘘を言っても無駄ですー。もういいもん。』
「へぇー、これでもかな?」
『えっ?』
はい?って思って振り返るといきなり腕を掴まれ引っ張られる。その拍子にバランスを崩すと目の前の三郎の胸に思いっきり顔をぶつける。
『ぶへっ!』
「ははっ!色気のない声だなぁ!」
『いった!いきなり引っ張ったらぶつかるに決まってるでしょ!』
「それはそうだな。まぁ固い事言うな。」
『誰が言わせたと思って!』
「はいはい、うるさいな。」
簡単にあしらわれたと思ったら、温かくて柔らかい温もりが自身の唇にあたる。
冗談のような軽い口吸い。時が過ぎていくのが早いようにチュっと音がするとすぐ離れた。
『三郎…何して……』
「黙らないならまたするぞ?」
三郎の指が自身の唇に沿いビクッと身体が反応する。その手付きはやらしく、そそられるような艶めかしい。
でもその感触はまるで……。
「口吸いぐらいで顔を赤くしたらこの先もたないぞ。」
意地の悪い笑みを浮かべる三郎。顔面に熱が帯びるのが分かる。
『いや、だって……これって…』
予期せぬ出来事に言葉が思うように出ない。だってこんなの不意打ちじゃないか。
「んっ?もう一度お望みかな?」
三郎が顔を近づける。三郎の吐息がかかるかかからないかの距離に鼓動が早くなる。
『けっ、結構です!』
三郎に迫られると顔を直視できない。目の前の三郎を押し退け、もたつく足を動かしながら懸命に逃れる。肝心の三郎は笑い飛ばしていて、もう散々な結果に今は逃げる事しか考えられなかった。
三郎の姿が見えなくなってから立ち止まる。
口吸いされた時、一瞬面の口元が外されたような気が。でも一瞬だったから確証はない。
しかしあの感触、変装の唇ではなかった。自身の唇に指を沿わせる。
『いや、そんなまさか。』
あの三郎が変装の一部でも外すような事はしない筈。
でもこの唇に残った感触が忘れられない。
自身に言い聞かせてもこの頬の熱は暫く落ち着かなさそうだ。
________________________
(さすがに本物だと気付いたかな)
(おーい三郎!)
(雷蔵じゃないか。どうした?)
(学級委員長委員会で呼ばれているよ。んっ?)
(なんだ雷蔵。私に何か?)
(三郎、耳赤いけどどうしたの?)
(あぁ、ちょっとした悪戯の反動だよ)
『…………』
「人の顔をジロジロ見るんじゃない。」
私が興味深く見つめる先には鉢屋三郎がいる。
ぼぉーっと完璧な変装に包まれている彼を足から先まで見つめるが、この男の変装がいつ解かれるか気になっている。
目の前の三郎の顔は同じ同級生である不破雷蔵の顔である。噂によれば三郎の素顔は先生方ですら知らないとか。
果たしてそれは本当に可能なのか。先生が知らないとなると学園の生徒は勿論の事、無論私も例外ではない。
しかしよくよく考えると寝食を共にし、ずっと変装で過ごす事自体無理があるのでは。
でも、いやあるいは同室の雷蔵なら素顔を知っているかもしれない。
しかしこのほのぼのとした雰囲気の中でも三郎は決してぼろを見せない。それは至る所をみてもだ。
さすが変装の達人、隙がない。
でもここで疑問に思う。隙がないなら作ってみたらどうか。ここは鎌を掛けて油断させたら、三郎の顔の変装が外れるのではとよからぬ考えが頭をよぎる。
『ねぇ、三郎。』
「なんだ、名前?」
『私、三郎の素顔知ってるよ。』
「それは嘘だな。」
『あ、私の言葉信じてないな。』
まさかの即答と私の言葉を鼻で笑う三郎。微塵も信じてないのが分かる。
いや、分かるけど少しぐらい私の言葉を信じてよくない?
『むかつく。本当だと思わないの?』
「ふっ、私の素顔が名前みたいな軽い奴に簡単にバレてしまったら大問題だ。」
んっ?これ私馬鹿にされてる?てかここまで言われるとは。
冗談が倍になって返ってきたうえに私の扱い酷くない?
あまりの言われように気づいたら腹が立ってきた。
『酷いな。少しぐらい信じてもいいじゃん。』
「名前が馬鹿な事を考えるからだ。」
『はいはい、私が悪うございました。もう結構でーす。』
三郎に絡んだ自分が馬鹿みたい。しかも酷い言われようだ。なんだが悲しくなり惨めな気分になってきた。
「おっ、諦めたか?」
『まぁね、どうせ教えてくれないし。』
必死になるのは馬鹿らしい。つまらないしもう興味も無くなったから三郎の前から消えようかな。
片膝をついて立ち上がると、黙って視線を動かす三郎。今更後悔しても遅いんだから。
「なんだ、やけにあっさりだな。」
ここで泣き真似でもしたら、さすがの三郎も悪いと思うかな。
三郎の反応を想像して心の中でクスクス笑っていると三郎が口を開く。
「もう少し粘ったら教えたかもしれないのにな。」
『嘘を言っても無駄ですー。もういいもん。』
「へぇー、これでもかな?」
『えっ?』
はい?って思って振り返るといきなり腕を掴まれ引っ張られる。その拍子にバランスを崩すと目の前の三郎の胸に思いっきり顔をぶつける。
『ぶへっ!』
「ははっ!色気のない声だなぁ!」
『いった!いきなり引っ張ったらぶつかるに決まってるでしょ!』
「それはそうだな。まぁ固い事言うな。」
『誰が言わせたと思って!』
「はいはい、うるさいな。」
簡単にあしらわれたと思ったら、温かくて柔らかい温もりが自身の唇にあたる。
冗談のような軽い口吸い。時が過ぎていくのが早いようにチュっと音がするとすぐ離れた。
『三郎…何して……』
「黙らないならまたするぞ?」
三郎の指が自身の唇に沿いビクッと身体が反応する。その手付きはやらしく、そそられるような艶めかしい。
でもその感触はまるで……。
「口吸いぐらいで顔を赤くしたらこの先もたないぞ。」
意地の悪い笑みを浮かべる三郎。顔面に熱が帯びるのが分かる。
『いや、だって……これって…』
予期せぬ出来事に言葉が思うように出ない。だってこんなの不意打ちじゃないか。
「んっ?もう一度お望みかな?」
三郎が顔を近づける。三郎の吐息がかかるかかからないかの距離に鼓動が早くなる。
『けっ、結構です!』
三郎に迫られると顔を直視できない。目の前の三郎を押し退け、もたつく足を動かしながら懸命に逃れる。肝心の三郎は笑い飛ばしていて、もう散々な結果に今は逃げる事しか考えられなかった。
三郎の姿が見えなくなってから立ち止まる。
口吸いされた時、一瞬面の口元が外されたような気が。でも一瞬だったから確証はない。
しかしあの感触、変装の唇ではなかった。自身の唇に指を沿わせる。
『いや、そんなまさか。』
あの三郎が変装の一部でも外すような事はしない筈。
でもこの唇に残った感触が忘れられない。
自身に言い聞かせてもこの頬の熱は暫く落ち着かなさそうだ。
________________________
(さすがに本物だと気付いたかな)
(おーい三郎!)
(雷蔵じゃないか。どうした?)
(学級委員長委員会で呼ばれているよ。んっ?)
(なんだ雷蔵。私に何か?)
(三郎、耳赤いけどどうしたの?)
(あぁ、ちょっとした悪戯の反動だよ)
1/58ページ