短編
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幸運な君の存在
『伊作、何処かに出かけるの?』
「名前かい。今から裏裏山にでも薬草を探しに行こうかと思ってね。」
『ふーん。面白そう。一緒に行っていい?』
「僕は全然いいよ。」
『やった。すぐ支度をしてくるね。』
薬草を摘みにいく準備をしていると学園の門付近で名前が声を掛けてきた。
僕達とは同級生であるけど僕とは普通に話しができるのに、他の六年生とは歪み合っているばかりで仲が悪い。だけど僕にだけ気を許してくれている彼女に悪い気はない。むしろ少しだけ優越感を感じている程だ。
支度を終えた名前と一緒に裏裏山に向かう。
道中を抜けると木が生い茂る山の中を練り歩く。
普段の僕なら既に不運が発生して落とし穴に落ちたり、獣に追われている筈なのに今の今まで一度もない。
今日は名前と一緒にいるから?名前の存在が僕の不運を打ち消してくれているのかな?
そんな彼女を見るとご機嫌よく鼻歌混じりで肩を並べて歩いている。
普段から他の六年生達にもこんな笑顔で居てくれたら仲良くできるのに。
出し掛けた言葉を喉に飲み込み、ふわっと名前の様子に頬が緩む。
裏裏山に辿り着くと籠をおろし僕は薬草を探し、名前は周辺を散策している。
小袖なのに新しい玩具を探すかのように目を輝かせて動き回る名前が可愛らしく見える。そんな彼女を横目に薬草探しに集中する。
日が真上を登った頃、周囲を見ると名前が居ない。
まぁ下級生でもあるまいし一人で何かしているのだろう。
気にせず作業を再開すると名前がどこからともなく姿を現す。その手には何かを握っていた。
『伊作、これとかどう?』
「あっ!それ中々見つける事が出来ない貴重な薬草だよ!名前すごいね!」
『ならこれあげる。』
「えぇ、いいのかい!」
『私の幸運、伊作に分けてあげる。』
名前がしゃがみ、膝を抱えながら笑みを浮かべ渡してくる。
この薬草は薬効が高く、売っても高価なものだと授業で習った筈だから名前はこの希少性を知っている筈。その薬草を下心もなく僕に渡してくれるだなんて。
普段、不運な集まりの保健委員会委員長と言われている僕だけど今日はなんて幸運な日なんだ。
「名前ー!ありがとう!!!」
『わっ、伊作!』
「わっ、わっ、わ!」
あまりの喜びに名前に抱きついてしまう。僕よりも小さくて華奢な身体なのに僕を受け止めた名前だが抱きついた際、僕の草鞋の鼻緒が切れてしまった。そのままバランスを崩し名前を押し倒すように倒れる。
「つっ……、大丈夫!?」
『痛た………なんとか大丈夫…。』
顔をあげると名前の顔が真正面にある。まさに互いの唇があと少しで触れ合うのではないのかと云う程の距離。
睫毛が長く、仙蔵とは違う白くて透き通った肌に色付いた唇。どれも彼女を魅了してやまず見惚れてしまう。
一瞬沈黙が流れるが先に飛び起きたのは僕だった。
「うわゎっ!ご、ごめん!押し倒すつもりはなかったんだ。」
『ぷっ、あははっ!分かってる。』
慌てる僕を前に名前が吹き出す。
でもあと少し近かったら僕は君と口吸いを。その事実に顔から火が出る。
肝心の名前は何もなかった様子で土のついた袖を払っている。
『何もなかったから大丈夫よ。』
平然に言う名前だけどその顔はうっすら赤みを帯びていた。
名前の反応が僕の何かを目覚めさせる。その反応は期待していいのかな。
その何かが僕を突き動かし、気が付くと名前の手を取り合っていた。
『い、伊作どうしたの?』
動揺しながらも僕の行動に反応している名前に胸が熱くなる。
この反応は気のせいじゃない。
「名前!聞いて欲しいんだ!」
『えぇ、聞くけどこの手を…』
「いや、この手は離したくない!」
名前の手を取りながら驚く程の言葉が出た。
だけど僕の発言により顔を赤くする名前に内なる秘めた自分が小平太じゃないけどいけいけと叫んでいる。
「名前……」
『伊作……』
「僕は君の事がっ!……うっ!」
突如名前が僕の口を塞ぐ。それは名前の手だった。いきなりの行動に勇気を込めて出しかけた言葉が止まってしまう。
『伊作、しぃー……』
名前が口元に人差し指を当て顔を逸らす。
そんな彼女の表情ですら惹かれてしまう。
するとどこか遠くから聞き慣れた声が聞こえてきた。
「伊作ーーーっ!!!どこだぁーーー!」
「えっ!あの声は留三郎?」
『伊作。貴方のセ○ムよ。』
「ごめん、何か言った?」
『いいえ、ほら来た。』
名前が塞いだ僕の口を開放すると声の方向から留三郎が息を切らしながら尋常じゃない速さでやってきた。
「伊作!無事か!」
「なんで留三郎が此処にいるの?」
「名前が伊作と出掛けるってわざわざ言ってきやがったんだ。」
留三郎の鋭い目付きで名前を見る。
名前に顔を向けるとその顔は今まで一番不愉快な表情をしているが僕には優しい眼差しを向ける。
そんな僕らの間に留三郎が割って入ってきて名前を見据える。
「名前!お前伊作に何かしたんじゃないんだろうな!」
「ふぇっ!?」
とんでもない事を言い出す留三郎に名前は終始冷静だった。
寧ろ面白いと言わんばかりに顔をニヤけている。
『ふふっ…私は何もしてないわ。』
「留三郎!一体何を言い出すの!」
留三郎の発言に頬に血流が巡るのが分かる。
その様子に名前が一瞬を面を食らったような表情をするがクスクスと笑い出す。
『別に何もしてないわよ。ね、伊作?』
「えっ!」
「やっぱり何かしたんだな!」
『寧ろされたのは私よ。』
「はぁ!?」
留三郎が訳が分からんと言わんばかりの顔をしているが名前はクスクスと笑い続けている。
『おー怖い怖い。伊作、迎えが来たからもう安心ね。』
名前が含み笑いをし留三郎をあしらうと僕に近づき、目の前に来ると足を止める。
香油のフワッと香る名前の香りに動悸が速くなる。
(続きは今夜の医務室で聞かせてね)
耳に口を寄せ、僕にしか聞こえない優しい声色で囁く。
その後素早く立ち去るが、頬を赤く染めている名前を見過ごさなかった。
「一体なんなんだアイツは。おい、伊作。お前本当に。」
「留三郎!邪魔しないでよ!」
「なっ!俺はお前を助けに……」
「名前は何も悪い事なんてしてないんだから怒らないでよ!」
「べ、別に怒ってなんかは……伊作がなんで怒ってるんだ…?」
名前からのお誘い。今夜の事を想像しただけで自分がどうにかなりそうだ。
でも頬を赤く染めた君には期待してもいいって事だよね名前。
『伊作、何処かに出かけるの?』
「名前かい。今から裏裏山にでも薬草を探しに行こうかと思ってね。」
『ふーん。面白そう。一緒に行っていい?』
「僕は全然いいよ。」
『やった。すぐ支度をしてくるね。』
薬草を摘みにいく準備をしていると学園の門付近で名前が声を掛けてきた。
僕達とは同級生であるけど僕とは普通に話しができるのに、他の六年生とは歪み合っているばかりで仲が悪い。だけど僕にだけ気を許してくれている彼女に悪い気はない。むしろ少しだけ優越感を感じている程だ。
支度を終えた名前と一緒に裏裏山に向かう。
道中を抜けると木が生い茂る山の中を練り歩く。
普段の僕なら既に不運が発生して落とし穴に落ちたり、獣に追われている筈なのに今の今まで一度もない。
今日は名前と一緒にいるから?名前の存在が僕の不運を打ち消してくれているのかな?
そんな彼女を見るとご機嫌よく鼻歌混じりで肩を並べて歩いている。
普段から他の六年生達にもこんな笑顔で居てくれたら仲良くできるのに。
出し掛けた言葉を喉に飲み込み、ふわっと名前の様子に頬が緩む。
裏裏山に辿り着くと籠をおろし僕は薬草を探し、名前は周辺を散策している。
小袖なのに新しい玩具を探すかのように目を輝かせて動き回る名前が可愛らしく見える。そんな彼女を横目に薬草探しに集中する。
日が真上を登った頃、周囲を見ると名前が居ない。
まぁ下級生でもあるまいし一人で何かしているのだろう。
気にせず作業を再開すると名前がどこからともなく姿を現す。その手には何かを握っていた。
『伊作、これとかどう?』
「あっ!それ中々見つける事が出来ない貴重な薬草だよ!名前すごいね!」
『ならこれあげる。』
「えぇ、いいのかい!」
『私の幸運、伊作に分けてあげる。』
名前がしゃがみ、膝を抱えながら笑みを浮かべ渡してくる。
この薬草は薬効が高く、売っても高価なものだと授業で習った筈だから名前はこの希少性を知っている筈。その薬草を下心もなく僕に渡してくれるだなんて。
普段、不運な集まりの保健委員会委員長と言われている僕だけど今日はなんて幸運な日なんだ。
「名前ー!ありがとう!!!」
『わっ、伊作!』
「わっ、わっ、わ!」
あまりの喜びに名前に抱きついてしまう。僕よりも小さくて華奢な身体なのに僕を受け止めた名前だが抱きついた際、僕の草鞋の鼻緒が切れてしまった。そのままバランスを崩し名前を押し倒すように倒れる。
「つっ……、大丈夫!?」
『痛た………なんとか大丈夫…。』
顔をあげると名前の顔が真正面にある。まさに互いの唇があと少しで触れ合うのではないのかと云う程の距離。
睫毛が長く、仙蔵とは違う白くて透き通った肌に色付いた唇。どれも彼女を魅了してやまず見惚れてしまう。
一瞬沈黙が流れるが先に飛び起きたのは僕だった。
「うわゎっ!ご、ごめん!押し倒すつもりはなかったんだ。」
『ぷっ、あははっ!分かってる。』
慌てる僕を前に名前が吹き出す。
でもあと少し近かったら僕は君と口吸いを。その事実に顔から火が出る。
肝心の名前は何もなかった様子で土のついた袖を払っている。
『何もなかったから大丈夫よ。』
平然に言う名前だけどその顔はうっすら赤みを帯びていた。
名前の反応が僕の何かを目覚めさせる。その反応は期待していいのかな。
その何かが僕を突き動かし、気が付くと名前の手を取り合っていた。
『い、伊作どうしたの?』
動揺しながらも僕の行動に反応している名前に胸が熱くなる。
この反応は気のせいじゃない。
「名前!聞いて欲しいんだ!」
『えぇ、聞くけどこの手を…』
「いや、この手は離したくない!」
名前の手を取りながら驚く程の言葉が出た。
だけど僕の発言により顔を赤くする名前に内なる秘めた自分が小平太じゃないけどいけいけと叫んでいる。
「名前……」
『伊作……』
「僕は君の事がっ!……うっ!」
突如名前が僕の口を塞ぐ。それは名前の手だった。いきなりの行動に勇気を込めて出しかけた言葉が止まってしまう。
『伊作、しぃー……』
名前が口元に人差し指を当て顔を逸らす。
そんな彼女の表情ですら惹かれてしまう。
するとどこか遠くから聞き慣れた声が聞こえてきた。
「伊作ーーーっ!!!どこだぁーーー!」
「えっ!あの声は留三郎?」
『伊作。貴方のセ○ムよ。』
「ごめん、何か言った?」
『いいえ、ほら来た。』
名前が塞いだ僕の口を開放すると声の方向から留三郎が息を切らしながら尋常じゃない速さでやってきた。
「伊作!無事か!」
「なんで留三郎が此処にいるの?」
「名前が伊作と出掛けるってわざわざ言ってきやがったんだ。」
留三郎の鋭い目付きで名前を見る。
名前に顔を向けるとその顔は今まで一番不愉快な表情をしているが僕には優しい眼差しを向ける。
そんな僕らの間に留三郎が割って入ってきて名前を見据える。
「名前!お前伊作に何かしたんじゃないんだろうな!」
「ふぇっ!?」
とんでもない事を言い出す留三郎に名前は終始冷静だった。
寧ろ面白いと言わんばかりに顔をニヤけている。
『ふふっ…私は何もしてないわ。』
「留三郎!一体何を言い出すの!」
留三郎の発言に頬に血流が巡るのが分かる。
その様子に名前が一瞬を面を食らったような表情をするがクスクスと笑い出す。
『別に何もしてないわよ。ね、伊作?』
「えっ!」
「やっぱり何かしたんだな!」
『寧ろされたのは私よ。』
「はぁ!?」
留三郎が訳が分からんと言わんばかりの顔をしているが名前はクスクスと笑い続けている。
『おー怖い怖い。伊作、迎えが来たからもう安心ね。』
名前が含み笑いをし留三郎をあしらうと僕に近づき、目の前に来ると足を止める。
香油のフワッと香る名前の香りに動悸が速くなる。
(続きは今夜の医務室で聞かせてね)
耳に口を寄せ、僕にしか聞こえない優しい声色で囁く。
その後素早く立ち去るが、頬を赤く染めている名前を見過ごさなかった。
「一体なんなんだアイツは。おい、伊作。お前本当に。」
「留三郎!邪魔しないでよ!」
「なっ!俺はお前を助けに……」
「名前は何も悪い事なんてしてないんだから怒らないでよ!」
「べ、別に怒ってなんかは……伊作がなんで怒ってるんだ…?」
名前からのお誘い。今夜の事を想像しただけで自分がどうにかなりそうだ。
でも頬を赤く染めた君には期待してもいいって事だよね名前。