短編
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そんなお前も愛らしい
『ふぅ、やれやれ。』
月が隠れた真夜中に一人で風呂場に向かう。
今日は野外演習で遅くなった上、汗や砂だらけになりこの時間になってようやく風呂に入る事が出来る。
疲れた体を引きずり風呂場に向かう。
「えっ!お風呂が!」
脱衣所の扉に使用禁止と書かれた札が貼られている。
肩をすくめて落とすが思い出す。忍たま長屋の風呂を借りればいいんだ。
そうと思えば今すぐ行っちゃえ。
『……失礼しまーす』
音を立てないように脱衣所の扉を開ける。
幸運にも誰にも気付かれずしかも湯が残っていた。
これ幸いと薪に火をつけ湯を沸かす。湯加減を確かめるといいあんばいだ。
身体を洗い汚れを落とすと、先程温めた湯船に身体を沈める。他の生徒達が使用した後の残り湯は少ないが一人で入るには充分だ。真夜中だが頑張って湯を沸かした甲斐があった。
『あーっ、気持ちいぃー…』
疲労困憊の全身に風呂の温かい湯が沈み渡っていく。
揺らめく湯船に身体を預ける。
いつもなら他の子達も交えて入る風呂だが、こう一人で浸かる事が出来るのは格別だ。
時間を忘れ呑気に浸かっても誰も責める人はいない。
手足を限界まで伸ばし風呂を満喫する。
暫く浸かっているとガラッと戸口が空く。その瞬間背筋が直立する。
なんでこの時間に人が。出るに出れない。
湯船から顔を覗かせると、次の瞬間人物の顔が見えた。
「んっ?…誰か居るのか?」
『えっ、文次郎!何で!』
「なっ!な、なんで名前が居る!?」
誰か入ってきたかと思えばそこには手拭いで前を隠した文次郎がいた。
想定外の出来事に湯船に身体をつけるが文次郎は急いで入ってきた戸口から出る。
『わ、私は野外演習の後だから!』
「俺だって鍛錬後だ!」
しまった。忘れていた。上級生にもなれば例外もあるがある程度の自由が利き、夜中でも風呂に入れる。
文次郎の事だ。どうせ鍛錬に励みすぎて時間を忘れていたのだろう。
「てか何で忍たま風呂場にいるんだよ!」
『くのたま長屋のお風呂が使えなくて。』
「はぁ!?」
『しょうがないじゃない。誰も居ないと思ったんだもん。』
湯船内に顔を半分沈み込ませる。
だって文次郎がくると思っていなかったもん。
こうなるのが分かっていたら風呂は我慢するべきだった。
今日は充分な鍛錬ができた為、風呂に入りたい気分だった。だが風呂場には名前が居た。
俺だって温かい湯には浸かりたいが、男女一緒の風呂など絶対にあり得ない。
あいつは俺の事を知らずに平気な事を言いやがる。しかも気になっていた女が言葉通りの丸裸でいる事に思わず頭を抱えてしまう。
今すぐこの状況から逃げてしまいたい。
「早く出ろ。」
『今浸かったばかりだからそれは嫌。』
「はぁ!?」
頑なにして出ない名前。
仕方ない。今晩は湯を諦めて井戸の水で体を拭くか。
『待って文次郎!』
戸口を開け脱衣所に上がろうとすると風呂場で名前が何かを言っている。
「何だ?」
『入らないの?』
風呂場で声が反響し耳に入ってきた。
名前がとんでもない事を言い出しやがった。コイツ言葉の意味を分かって言ってるのか。
頬に熱が集まる。
「アホか!入れる訳ないだろ!」
『でも……せっかく沸かしたお湯が冷めるけど……』
「ぐっ……」
正直今日は汗や泥で汚れてしまい浴槽に浸かりたかった。
だが名前は出ないしどうしたら。
『私、絶対見ないから入っておいでよ。』
「なっ……お前なぁ!」
『こんな真夜中にそれ以上うるさくしたら誰か駆けつけてくるかもよ。』
名前の言葉にぐうの音も出ない。
こんな所を他の生徒や先生方に見られた方がもっと問題になるからだ。想像しただけで身震いする。
「はぁ……絶対見るなよ!」
『うん。』
浴槽に浸かりながら後ろを向いていると戸口から文次郎が入ってきた。
一応見ないようにはしているが気になる。
ザバっと湯を浴びている。ちらっと少し後ろを向くと風呂場の湯気でよく見えないが、文次郎の背中は同い年とは思えぬ程筋肉粒々、筋骨逞しく固く引き締まった身体が遠目でも分かる。
自然に直視してしまいハッとなる。まるで文次郎の身体に反応している変態じゃない。でも目を逸らせない。
身体を洗い終わった文次郎がこちらに向かってくる。
見ていたのがバレてしまう。あたふたし急いで浴槽から身体を上げる。
『ぬ、温もったみたい。先に出るね!』
「ば、馬鹿野郎!いきなり立つ奴があるか!」
『へっ……』
文次郎が慌てている。私が見てた事は気付いていないみたい。その様子に一安心するとふと我に返る。
文次郎の前で何も纏ってない。それも裸。
一気に顔が沸騰する。
『っ……なぁっ』
「馬鹿!静かにしろ!」
悲鳴が出る瞬間、文次郎に口を塞がれると浴槽の縁で足を滑らす。
『キャッ!』
「おい!」
文次郎が腕を伸ばし、頭から滑り落ちそうになった所を受け止める。
湯でしっとりとした文次郎の固い胸板が直接私の素肌にあたる。
文次郎の脈打つ鼓動が伝わってくる。
トクッ、トクッと規則正しく打たれる鼓動が心地良い。今、私達が居る風呂場だけがやたら時が過ぎるのを遅く感じる。自分の脈が速くなり血の巡りが先程より増しているのが分かる。
何で私、文次郎なんかにドキドキしてるんだろう。
だけど今はもう少しだけ彼に抱かれていたい。
腰にハラリと何かが落ちる。視線を下に向けると文次郎の手拭いだ。風呂場内が余計沈黙に染まる。
ポタッ
水滴が胸に滴り落ちてきた。だがその水滴は赤く肝心の文次郎は動かない。
不審に思いそっと文次郎を見ると鼻血を出しながら固まっている。
『ご、ごめん文次郎!鼻にぶつけた!?』
「…………むっ」
『えっ?』
「…む…………ねっ…」
『ちょ、ちょっと文次郎!!!』
何を言ったのか聞き取れず、そのままバタンっと後ろに倒れ気絶した文次郎。
顔の血色はいいが一部青白くなっている。
急いで風呂場から出て、文次郎を引っ張り出す。
「……はっ!」
『文次郎!』
「 名前……俺は……」
『気絶したのよ。良かった……』
うっすらと目を開く。一瞬何処か理解出来なかったがどうやらここは風呂場に向かう廊下だ。
しかも何やら頭上が柔らかくて温かい。
上を向くと二つの膨らみが見え、寝巻き姿の名前が俺の頭を撫でている。
「なっ……なっ……なっ……」
今の状況を理解し驚きで飛び上がると申し訳なさそうに名前が苦笑いする。
『ごめんね。勝手に寝巻き着せたの。』
自身は寝巻きを着ていた。夜風に当たったお陰で血が登った頭が徐々に冷静になる。
そうだ。名前の胸が俺に当たった際、あのなんとも言えない乳房の柔らかさと温もりに意識が飛んだ。
思い出すとあれしきの事で気絶した自身が恥ずかしく、今でも脳裏に鮮明に思い出せる。その事実がとてつもなく屈辱だ。
『どこも怪我はしてない?』
「お、俺は大丈夫だ。」
『鼻血が出てたから心配だったけど、良かった。』
名前が俺に微笑む。俺の事を心配してくれてたのか。
下心で気絶したなんて知られてしまったら引かれるに違いない。ここは言わぬが花だろう。
『助けてくれてありがとう。』
えへへと言わんばかりの名前に少し申し訳なく思った。
「俺だったから良かったものの、今度からは気をつけろよ。」
言葉選びを間違えた。憎まれ口しか叩く事が出来ない。
しまったと思ったが既に遅かった。
恐る恐る名前に視線を向けるとそれでも笑っている。
『文次郎の言う通りだわ。……そろそろ戻るね。ありがとう。』
名前が立ち上がり去ろうとする。もう行ってしまうのか。
「待て。送る。」
『えっ、大丈夫だよ。すぐそこだし。』
「お前、少しは危機感持て。」
『文次郎…』
好いた奴を真夜中に一人で帰らせる男が何処にいる。
名前と肩を並べ、歩みを進める。
隣の名前から風呂上がりの石鹸の香りが鼻をくすぐる。
今だけこの香りは俺と一緒だと思うと嬉しくもあるが顔には絶対出さん。
何度も見慣れた学園内の筈なのにコイツと居ると全然知らない所に居るような気分だった。
「着いたぞ。」
『ありがとう。』
くのたま長屋の近くまで来た。
これ以上俺が進むとくのたまが仕掛けた罠が作動する為、俺と名前は此処までになる。
「今日の事は忘れろ。」
念の為釘を刺す。だが名前の表情は先程とはうってかわってニヤニヤと含み笑いをしている。
「なんだ、その笑いは。」
『別に〜。』
「ふん、なら俺は帰る。」
笑いの意図が理解出来ず、踵を返す。
すると名前が俺の耳元まできて囁く。
『でも文次郎の身体良かったよ。』
「なっ!お前見てたのか!!!」
『あはは!怒った怒った。おやすみ文次郎!』
キャッキャッとしながらくのたま長屋に帰っていく名前。
あいつの何も考えていない様子に可愛いと思える俺は重症何だろうか。
そう溜め息をつくのであった。
『ふぅ、やれやれ。』
月が隠れた真夜中に一人で風呂場に向かう。
今日は野外演習で遅くなった上、汗や砂だらけになりこの時間になってようやく風呂に入る事が出来る。
疲れた体を引きずり風呂場に向かう。
「えっ!お風呂が!」
脱衣所の扉に使用禁止と書かれた札が貼られている。
肩をすくめて落とすが思い出す。忍たま長屋の風呂を借りればいいんだ。
そうと思えば今すぐ行っちゃえ。
『……失礼しまーす』
音を立てないように脱衣所の扉を開ける。
幸運にも誰にも気付かれずしかも湯が残っていた。
これ幸いと薪に火をつけ湯を沸かす。湯加減を確かめるといいあんばいだ。
身体を洗い汚れを落とすと、先程温めた湯船に身体を沈める。他の生徒達が使用した後の残り湯は少ないが一人で入るには充分だ。真夜中だが頑張って湯を沸かした甲斐があった。
『あーっ、気持ちいぃー…』
疲労困憊の全身に風呂の温かい湯が沈み渡っていく。
揺らめく湯船に身体を預ける。
いつもなら他の子達も交えて入る風呂だが、こう一人で浸かる事が出来るのは格別だ。
時間を忘れ呑気に浸かっても誰も責める人はいない。
手足を限界まで伸ばし風呂を満喫する。
暫く浸かっているとガラッと戸口が空く。その瞬間背筋が直立する。
なんでこの時間に人が。出るに出れない。
湯船から顔を覗かせると、次の瞬間人物の顔が見えた。
「んっ?…誰か居るのか?」
『えっ、文次郎!何で!』
「なっ!な、なんで名前が居る!?」
誰か入ってきたかと思えばそこには手拭いで前を隠した文次郎がいた。
想定外の出来事に湯船に身体をつけるが文次郎は急いで入ってきた戸口から出る。
『わ、私は野外演習の後だから!』
「俺だって鍛錬後だ!」
しまった。忘れていた。上級生にもなれば例外もあるがある程度の自由が利き、夜中でも風呂に入れる。
文次郎の事だ。どうせ鍛錬に励みすぎて時間を忘れていたのだろう。
「てか何で忍たま風呂場にいるんだよ!」
『くのたま長屋のお風呂が使えなくて。』
「はぁ!?」
『しょうがないじゃない。誰も居ないと思ったんだもん。』
湯船内に顔を半分沈み込ませる。
だって文次郎がくると思っていなかったもん。
こうなるのが分かっていたら風呂は我慢するべきだった。
今日は充分な鍛錬ができた為、風呂に入りたい気分だった。だが風呂場には名前が居た。
俺だって温かい湯には浸かりたいが、男女一緒の風呂など絶対にあり得ない。
あいつは俺の事を知らずに平気な事を言いやがる。しかも気になっていた女が言葉通りの丸裸でいる事に思わず頭を抱えてしまう。
今すぐこの状況から逃げてしまいたい。
「早く出ろ。」
『今浸かったばかりだからそれは嫌。』
「はぁ!?」
頑なにして出ない名前。
仕方ない。今晩は湯を諦めて井戸の水で体を拭くか。
『待って文次郎!』
戸口を開け脱衣所に上がろうとすると風呂場で名前が何かを言っている。
「何だ?」
『入らないの?』
風呂場で声が反響し耳に入ってきた。
名前がとんでもない事を言い出しやがった。コイツ言葉の意味を分かって言ってるのか。
頬に熱が集まる。
「アホか!入れる訳ないだろ!」
『でも……せっかく沸かしたお湯が冷めるけど……』
「ぐっ……」
正直今日は汗や泥で汚れてしまい浴槽に浸かりたかった。
だが名前は出ないしどうしたら。
『私、絶対見ないから入っておいでよ。』
「なっ……お前なぁ!」
『こんな真夜中にそれ以上うるさくしたら誰か駆けつけてくるかもよ。』
名前の言葉にぐうの音も出ない。
こんな所を他の生徒や先生方に見られた方がもっと問題になるからだ。想像しただけで身震いする。
「はぁ……絶対見るなよ!」
『うん。』
浴槽に浸かりながら後ろを向いていると戸口から文次郎が入ってきた。
一応見ないようにはしているが気になる。
ザバっと湯を浴びている。ちらっと少し後ろを向くと風呂場の湯気でよく見えないが、文次郎の背中は同い年とは思えぬ程筋肉粒々、筋骨逞しく固く引き締まった身体が遠目でも分かる。
自然に直視してしまいハッとなる。まるで文次郎の身体に反応している変態じゃない。でも目を逸らせない。
身体を洗い終わった文次郎がこちらに向かってくる。
見ていたのがバレてしまう。あたふたし急いで浴槽から身体を上げる。
『ぬ、温もったみたい。先に出るね!』
「ば、馬鹿野郎!いきなり立つ奴があるか!」
『へっ……』
文次郎が慌てている。私が見てた事は気付いていないみたい。その様子に一安心するとふと我に返る。
文次郎の前で何も纏ってない。それも裸。
一気に顔が沸騰する。
『っ……なぁっ』
「馬鹿!静かにしろ!」
悲鳴が出る瞬間、文次郎に口を塞がれると浴槽の縁で足を滑らす。
『キャッ!』
「おい!」
文次郎が腕を伸ばし、頭から滑り落ちそうになった所を受け止める。
湯でしっとりとした文次郎の固い胸板が直接私の素肌にあたる。
文次郎の脈打つ鼓動が伝わってくる。
トクッ、トクッと規則正しく打たれる鼓動が心地良い。今、私達が居る風呂場だけがやたら時が過ぎるのを遅く感じる。自分の脈が速くなり血の巡りが先程より増しているのが分かる。
何で私、文次郎なんかにドキドキしてるんだろう。
だけど今はもう少しだけ彼に抱かれていたい。
腰にハラリと何かが落ちる。視線を下に向けると文次郎の手拭いだ。風呂場内が余計沈黙に染まる。
ポタッ
水滴が胸に滴り落ちてきた。だがその水滴は赤く肝心の文次郎は動かない。
不審に思いそっと文次郎を見ると鼻血を出しながら固まっている。
『ご、ごめん文次郎!鼻にぶつけた!?』
「…………むっ」
『えっ?』
「…む…………ねっ…」
『ちょ、ちょっと文次郎!!!』
何を言ったのか聞き取れず、そのままバタンっと後ろに倒れ気絶した文次郎。
顔の血色はいいが一部青白くなっている。
急いで風呂場から出て、文次郎を引っ張り出す。
「……はっ!」
『文次郎!』
「 名前……俺は……」
『気絶したのよ。良かった……』
うっすらと目を開く。一瞬何処か理解出来なかったがどうやらここは風呂場に向かう廊下だ。
しかも何やら頭上が柔らかくて温かい。
上を向くと二つの膨らみが見え、寝巻き姿の名前が俺の頭を撫でている。
「なっ……なっ……なっ……」
今の状況を理解し驚きで飛び上がると申し訳なさそうに名前が苦笑いする。
『ごめんね。勝手に寝巻き着せたの。』
自身は寝巻きを着ていた。夜風に当たったお陰で血が登った頭が徐々に冷静になる。
そうだ。名前の胸が俺に当たった際、あのなんとも言えない乳房の柔らかさと温もりに意識が飛んだ。
思い出すとあれしきの事で気絶した自身が恥ずかしく、今でも脳裏に鮮明に思い出せる。その事実がとてつもなく屈辱だ。
『どこも怪我はしてない?』
「お、俺は大丈夫だ。」
『鼻血が出てたから心配だったけど、良かった。』
名前が俺に微笑む。俺の事を心配してくれてたのか。
下心で気絶したなんて知られてしまったら引かれるに違いない。ここは言わぬが花だろう。
『助けてくれてありがとう。』
えへへと言わんばかりの名前に少し申し訳なく思った。
「俺だったから良かったものの、今度からは気をつけろよ。」
言葉選びを間違えた。憎まれ口しか叩く事が出来ない。
しまったと思ったが既に遅かった。
恐る恐る名前に視線を向けるとそれでも笑っている。
『文次郎の言う通りだわ。……そろそろ戻るね。ありがとう。』
名前が立ち上がり去ろうとする。もう行ってしまうのか。
「待て。送る。」
『えっ、大丈夫だよ。すぐそこだし。』
「お前、少しは危機感持て。」
『文次郎…』
好いた奴を真夜中に一人で帰らせる男が何処にいる。
名前と肩を並べ、歩みを進める。
隣の名前から風呂上がりの石鹸の香りが鼻をくすぐる。
今だけこの香りは俺と一緒だと思うと嬉しくもあるが顔には絶対出さん。
何度も見慣れた学園内の筈なのにコイツと居ると全然知らない所に居るような気分だった。
「着いたぞ。」
『ありがとう。』
くのたま長屋の近くまで来た。
これ以上俺が進むとくのたまが仕掛けた罠が作動する為、俺と名前は此処までになる。
「今日の事は忘れろ。」
念の為釘を刺す。だが名前の表情は先程とはうってかわってニヤニヤと含み笑いをしている。
「なんだ、その笑いは。」
『別に〜。』
「ふん、なら俺は帰る。」
笑いの意図が理解出来ず、踵を返す。
すると名前が俺の耳元まできて囁く。
『でも文次郎の身体良かったよ。』
「なっ!お前見てたのか!!!」
『あはは!怒った怒った。おやすみ文次郎!』
キャッキャッとしながらくのたま長屋に帰っていく名前。
あいつの何も考えていない様子に可愛いと思える俺は重症何だろうか。
そう溜め息をつくのであった。