短編
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慰め
「名前先輩?」
『…………何?三郎?』
学級委員長委員会の活動から帰った際、学園の人通りが少ない所で名前先輩が泣いている所を見つけた。その目は赤く腫れており、いつもの元気がない。
「どうされたんですか?」
『何でもないわ。変な物を見せてごめん。』
「大丈夫じゃない…ですよね?」
強気な態度を取る先輩。そう言いそそくさと去ろうとする先輩の腕を掴み、引き止める。するとじわじわと目が潤い涙を流し出す。
『……離して。』
「私なら聞きますよ。」
『その必要はないわ。』
「ならその涙はなんですか?」
その一言がとどめになったのか涙が止まらなくなり膝から崩れ落ちる。面倒くさい事になったな。
名前先輩が落ち着いた時にようやく話を聞く事ができた。どうやら恋心を抱いていた好人に断られたらしい。私としては大した出来事では無かった為正直、なんだと思った。その態度が出ていたのか名前先輩から殺気を向けられる。
『今、面倒くさって思ったでしょ。』
「いやいや、そう思ってないですよ。」
『顔に出てるわよ。』
結果はどうでもいいが正直に言うと、先輩が誰を好いていたのかが気になる。
「因みにどなたが好きでしたか?」
『言わないでよ。』
「勿論です。」
『………………文次郎よ。』
想像していなかった為、名前を聞いた瞬間吹いてしまった。その反応に顔をしかめながらこちらに悪態をつかれる。
『汚っ!三郎笑うな!』
「あぁ、すみません!あの潮江先輩ですか!嫌、だってよくあのギンギンに忍者している先輩の事が好きになりましたね。」
『人の好みにケチ付けないで頂戴。』
「あー、でも少しは元気が出たでしょう?」
『………』
笑ってしまったのは事実だが先輩も断られるって事があるんだな。余計な詮索をしているのがバレたのか怪しまれる。
「まっ、そんなに思い詰める事はないですよ。」
『分かってる。私の事が眼中に無かった。只それだけの事よ。』
涙で赤く腫れぼった目を擦り、流れてくる涙を拭う。強気な言葉とは裏腹に涙が溢れているのは自覚があるのかないのか。それでも言葉を続ける先輩。
『聞いてもらってスッキリしたわ。三郎。ありがとう。』
「あれ?もう平気なんですか?」
『気持ちが楽にはなった。後は勉学に集中できるわ。』
そのまま立ち上がり去ろうとする名前先輩。
しかし必死に平然を装うとする姿が可愛く見えるのは私だけか。このまま悪戯しちゃおうか悩む。その先輩の姿にある事を提案する。
「そうだ。名前先輩、私とお試しでお付き合いしてみませんか?」
次に吹いたのは名前先輩の方だった。
『何を言ってるの!気休めなら要らないわ!』
「ですからお試しで付き合ったら潮江先輩の意識を僕達に向ける事ができますよ?そのぐらいならしてもっ…」
言葉を遮られパァンと乾いた音が鳴り響く。名前先輩から張り手をされたのだ。右頬に熱を帯びる。
張り手をした先輩を見るとその目には涙を溜めている。怒り、悲しみを堪えている表情だ。空中で止まっていた手を下ろすと先輩が口を開く。
『三郎。私を舐めてるの?』
「………度が過ぎました。」
『………二度と……そんな事軽々しく言わないで。』
地雷を踏んでしまった。踵を返そうとする先輩。その後ろ姿を見て胸の奥がズキンと痛む。こんな事をしたかった訳じゃない。先輩の事を思って発言した言葉が先輩を傷つけてしまった。
その様子に先輩に走り寄り背中から抱きしめる。
『……離しなさい。』
「すみません。……先程は配慮が無かったです。」
『…………』
「………許して下さい。」
『………………ふぅ…………もういいわよ。』
溜め息をつき私の方を向く先輩。
悪戯で人を怒らせる事をした事はあるが、今のやり取りで先輩を傷つけてしまうとは思ってもみなかった。
『でも安易には言わないで。』
「…………はい。」
私の発言にシュンとなる三郎。手を上げてしまったのは悪かったが感情のままに動いてしまった私が悪い。
三郎は元気づけようとして言葉選びを間違えただけだ。
『………私も悪かった。手を上げてごめんなさい。』
「先輩が怒るのは無理ないです。」
『右だったわね。………痛む?』
「めちゃくちゃ痛みます。骨が折れました。」
『その冗談を言うなら問題ないわね。』
いつもの三郎の調子が戻り、クスッと笑ってしまう。
そのまま三郎とは分かれる事になった。
………先輩と分かれる前から人の気配がしていた。気配のする方へ声を掛ける。
「さっきからそこに居ますよね。出てきたらどうですか?」
その人物に声を掛ける。すると柱の陰から姿を見せる。
「………鉢屋、お前……」
「なんだ、潮江先輩じゃないですか。見てました?」
「あれはわざとか?」
「…?あれとは?」
「とぼけるな!」
怒りの形相をする潮江先輩。
その表情を見ても今は何とも怖くない。むしろ優越感を感じる。私と名前先輩の距離が近く仲良さげに見えたから嫉妬してるのか。そんな潮江先輩の脳内がお花畑だなと思う。
「聞きましたよ。潮江先輩が振ったんですよね名前先輩を。」
「…………」
聞くと黙って口を閉ざす。
「まっ、私も人の事言えた立場じゃありませんけど。」
「お前には関係ない。」
「名前先輩泣いてましたよ。」
その言葉にぐっと拳を握り締める潮江先輩。
その姿を見て無性に腹が立つ。
自分が振っといてその反応はないだろう。
「潮江先輩が要らないなら私が名前先輩を貰います。」
「ふざけるな!」
「なら何故先輩を振ったんですか?」
「…………」
「都合が悪くなったら黙るの止めた方がいいですよ。」
「お前に話す義理はない。」
話しても埒が明かない。そんな先輩を相手にしているのが馬鹿らしくなる。
普段からギンギンに忍者しているのに女心が分からない潮江先輩に名前先輩を任せる事が出来ない。
「まぁ、潮江先輩は鍛錬にでも励んで下さい。あ、でも名前先輩が私に惚れても文句は言わないで下さいね。」
そう言い潮江先輩の横を通り過ぎる。これぐらいの軽口ならいいものだろう。ぐずぐずしている先輩が悪いのだ。こんな好機を私は逃す事なんかしない。
変なプライドを優先したからこうなるのだ。
「名前先輩?」
『…………何?三郎?』
学級委員長委員会の活動から帰った際、学園の人通りが少ない所で名前先輩が泣いている所を見つけた。その目は赤く腫れており、いつもの元気がない。
「どうされたんですか?」
『何でもないわ。変な物を見せてごめん。』
「大丈夫じゃない…ですよね?」
強気な態度を取る先輩。そう言いそそくさと去ろうとする先輩の腕を掴み、引き止める。するとじわじわと目が潤い涙を流し出す。
『……離して。』
「私なら聞きますよ。」
『その必要はないわ。』
「ならその涙はなんですか?」
その一言がとどめになったのか涙が止まらなくなり膝から崩れ落ちる。面倒くさい事になったな。
名前先輩が落ち着いた時にようやく話を聞く事ができた。どうやら恋心を抱いていた好人に断られたらしい。私としては大した出来事では無かった為正直、なんだと思った。その態度が出ていたのか名前先輩から殺気を向けられる。
『今、面倒くさって思ったでしょ。』
「いやいや、そう思ってないですよ。」
『顔に出てるわよ。』
結果はどうでもいいが正直に言うと、先輩が誰を好いていたのかが気になる。
「因みにどなたが好きでしたか?」
『言わないでよ。』
「勿論です。」
『………………文次郎よ。』
想像していなかった為、名前を聞いた瞬間吹いてしまった。その反応に顔をしかめながらこちらに悪態をつかれる。
『汚っ!三郎笑うな!』
「あぁ、すみません!あの潮江先輩ですか!嫌、だってよくあのギンギンに忍者している先輩の事が好きになりましたね。」
『人の好みにケチ付けないで頂戴。』
「あー、でも少しは元気が出たでしょう?」
『………』
笑ってしまったのは事実だが先輩も断られるって事があるんだな。余計な詮索をしているのがバレたのか怪しまれる。
「まっ、そんなに思い詰める事はないですよ。」
『分かってる。私の事が眼中に無かった。只それだけの事よ。』
涙で赤く腫れぼった目を擦り、流れてくる涙を拭う。強気な言葉とは裏腹に涙が溢れているのは自覚があるのかないのか。それでも言葉を続ける先輩。
『聞いてもらってスッキリしたわ。三郎。ありがとう。』
「あれ?もう平気なんですか?」
『気持ちが楽にはなった。後は勉学に集中できるわ。』
そのまま立ち上がり去ろうとする名前先輩。
しかし必死に平然を装うとする姿が可愛く見えるのは私だけか。このまま悪戯しちゃおうか悩む。その先輩の姿にある事を提案する。
「そうだ。名前先輩、私とお試しでお付き合いしてみませんか?」
次に吹いたのは名前先輩の方だった。
『何を言ってるの!気休めなら要らないわ!』
「ですからお試しで付き合ったら潮江先輩の意識を僕達に向ける事ができますよ?そのぐらいならしてもっ…」
言葉を遮られパァンと乾いた音が鳴り響く。名前先輩から張り手をされたのだ。右頬に熱を帯びる。
張り手をした先輩を見るとその目には涙を溜めている。怒り、悲しみを堪えている表情だ。空中で止まっていた手を下ろすと先輩が口を開く。
『三郎。私を舐めてるの?』
「………度が過ぎました。」
『………二度と……そんな事軽々しく言わないで。』
地雷を踏んでしまった。踵を返そうとする先輩。その後ろ姿を見て胸の奥がズキンと痛む。こんな事をしたかった訳じゃない。先輩の事を思って発言した言葉が先輩を傷つけてしまった。
その様子に先輩に走り寄り背中から抱きしめる。
『……離しなさい。』
「すみません。……先程は配慮が無かったです。」
『…………』
「………許して下さい。」
『………………ふぅ…………もういいわよ。』
溜め息をつき私の方を向く先輩。
悪戯で人を怒らせる事をした事はあるが、今のやり取りで先輩を傷つけてしまうとは思ってもみなかった。
『でも安易には言わないで。』
「…………はい。」
私の発言にシュンとなる三郎。手を上げてしまったのは悪かったが感情のままに動いてしまった私が悪い。
三郎は元気づけようとして言葉選びを間違えただけだ。
『………私も悪かった。手を上げてごめんなさい。』
「先輩が怒るのは無理ないです。」
『右だったわね。………痛む?』
「めちゃくちゃ痛みます。骨が折れました。」
『その冗談を言うなら問題ないわね。』
いつもの三郎の調子が戻り、クスッと笑ってしまう。
そのまま三郎とは分かれる事になった。
………先輩と分かれる前から人の気配がしていた。気配のする方へ声を掛ける。
「さっきからそこに居ますよね。出てきたらどうですか?」
その人物に声を掛ける。すると柱の陰から姿を見せる。
「………鉢屋、お前……」
「なんだ、潮江先輩じゃないですか。見てました?」
「あれはわざとか?」
「…?あれとは?」
「とぼけるな!」
怒りの形相をする潮江先輩。
その表情を見ても今は何とも怖くない。むしろ優越感を感じる。私と名前先輩の距離が近く仲良さげに見えたから嫉妬してるのか。そんな潮江先輩の脳内がお花畑だなと思う。
「聞きましたよ。潮江先輩が振ったんですよね名前先輩を。」
「…………」
聞くと黙って口を閉ざす。
「まっ、私も人の事言えた立場じゃありませんけど。」
「お前には関係ない。」
「名前先輩泣いてましたよ。」
その言葉にぐっと拳を握り締める潮江先輩。
その姿を見て無性に腹が立つ。
自分が振っといてその反応はないだろう。
「潮江先輩が要らないなら私が名前先輩を貰います。」
「ふざけるな!」
「なら何故先輩を振ったんですか?」
「…………」
「都合が悪くなったら黙るの止めた方がいいですよ。」
「お前に話す義理はない。」
話しても埒が明かない。そんな先輩を相手にしているのが馬鹿らしくなる。
普段からギンギンに忍者しているのに女心が分からない潮江先輩に名前先輩を任せる事が出来ない。
「まぁ、潮江先輩は鍛錬にでも励んで下さい。あ、でも名前先輩が私に惚れても文句は言わないで下さいね。」
そう言い潮江先輩の横を通り過ぎる。これぐらいの軽口ならいいものだろう。ぐずぐずしている先輩が悪いのだ。こんな好機を私は逃す事なんかしない。
変なプライドを優先したからこうなるのだ。