短編
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人の心は難しい
今日は町で野外実習をしている。
目的は男の人からお茶をご馳走され男の人の素性を探るという内容。
ようはナンパされるかである。この手の実習は苦手であり、こういった類であれば城に忍び込んだりする実習を好む。その考えも山本シナ先生には筒抜けなのかの笑顔で強制的に実習に駆り出された。
『声を掛けられるって……中々難しいのよね。』
町は賑やかであり、様々な人が横行する。
不審に思われないように町中の娘を装い、櫛や茶屋などを散策して過ごす。
途中、好みの櫛を見つけて悩んでしまう。
『あっ、これもいい。どうしよう買っちゃおうかな。』
「君、それが欲しいの?」
『えぇ、でも悩んでて。お兄さんはどちらがいいと思います、か………』
(やぁ、名前君。)
男の人に声を掛けられ振り向くとそこには利吉さんの姿があり思わず目を見開いてしまう。焦げ茶色の風になびく髪に整った容姿。付近の町娘達がざわつく中、矢羽で会話が続けられる。
(利吉さんなんでここに?)
(とある城の任務の帰りでね)
「私はこちらの方がいいと思いますけどね。お嬢さんお茶でもどうですか?」
(なるほど)
『いいんですか?』
「勿論。」
集まってきた人を避け二人で櫛屋を出てお茶屋さんの暖簾をくぐり一息つく。
『まさか利吉さんから声が掛かるとは。』
「その言い方だと何かの実習だったかな?」
『はい。そうです。』
声が掛かったのが利吉さんだと非常にやりずらい。しかも男の人の情報を引き出してシナ先生に報告をしないといけない為非常に分が悪い。一般人ならまだやりやすいがフリーの、しかも売れっ子忍者の情報なんかタブーに決まっている。
『ではお茶を飲んだら私とはここで。』
「待て待て。まだお茶来てないだろう。」
『このままお茶してたら実習の単位が取れなさそうなんです。』
不思議そうに首を傾げる利吉さん。利吉さんに実習内容を話すとそれを黙って聞き「ふむ」と顎に手を添えている。話を終えると利吉さんの顔付きが怪しく感じる。
「そうか。そして君は私と解散したら別の男に声を掛けられるのを待つと。」
『私も好きでやっている訳ではないので。』
「ふーん。」
明らかに不機嫌になっている利吉さんに目線をずらす。私の方がこんな実習投げ出したいくらいなのに。
お茶が来ると表面上なんでもない話をし解散する。その後再び町に向かい標的を探す。
ある程度時間が経つと若めの男の人より声が掛かる。慣れた五車の術で相手からの情報を引き出す。その様子に相手は気を良くしたのかお茶が終わっても中々離れてくれない。
「お嬢さん、よければこのまま僕と。」
『そんな、もうこれ以上は駄目ですよ。』
「そんな。」
相手に好かれてしまったのか、あろうことか腕を掴んできて離さない。普段のくノ一の姿なら一発で払い退けるのだが今は町娘を演じている為そうもいかない。どうやって切り抜けようか脳裏で考えていると笠を被った男の人が横から制止するように入ってくる。
「お嬢さんが嫌がってるのだからやめた方がいいのでは?」
『利吉さん。』
男の人は利吉さんに静止されるとばつの悪そうな顔をし黙ってしまい腕を放し離れていく。
『利吉さん、助かりました。』
「君もあんな男ならすぐ払い除けたでしょ。」
『いや、一般人相手にどうしようか悩んでました。』
その返答に利吉さんからため息が漏れ出る。
「君を見てるとヒヤヒヤする。」
『そう言えば利吉さん。跡つけてたんですか?』
「そうだが。心配だったからな。」
『あぁ、それで。』
さすがプロ忍者。気配を悟る事ができなかった。自身の能力に落胆していると利吉さんが近づく。自身を立て直し顔を合わすと見れば見るほど顔が整っており女性から人気が絶えない理由が分かる。
「情報は引き出せたかい?」
『それは勿論。』
「なら実習は大丈夫だね。」
大人顔負けの笑顔で言われる。顔面が良いなだけに多くの女性はこの笑顔に落とされてきたんだろうな。
「さっきのお礼を今度してもらおうかな。」
『そうなりますか。お礼は何がいいです?』
「君との逢瀬がいいな。」
逢瀬で恩がなくなれば易いものだ。せっかくなら忍術も一緒に指導してもらおう。考えているのが顔に出てたのか利吉さんが困り眉になる。
「名前君。逢瀬の内容は私が考える。」
『え、そんな!』
「君ね。まさか忍術の指導なんかしてもらおうと思ってた?」
その言葉にギクッとなる。私の様子にまた溜め息を吐く利吉さん。
『それは最前線でプロ忍者している利吉さんと一緒に居れると思うと。』
「お世辞はうまいな。ったく…………君って奴は。」
『逢瀬楽しみにしてますね、利吉さん。』
名前君に微笑みまれる。そんな笑顔に騙されそうな気がしてハッとし首を横に振る。まるで名前君の手の上で転がされているような気分だ。まぁ逢瀬でもこじつけられただけまだましか。しかし私の胸の内なんかこの子は知らないんだろうな。
今日は町で野外実習をしている。
目的は男の人からお茶をご馳走され男の人の素性を探るという内容。
ようはナンパされるかである。この手の実習は苦手であり、こういった類であれば城に忍び込んだりする実習を好む。その考えも山本シナ先生には筒抜けなのかの笑顔で強制的に実習に駆り出された。
『声を掛けられるって……中々難しいのよね。』
町は賑やかであり、様々な人が横行する。
不審に思われないように町中の娘を装い、櫛や茶屋などを散策して過ごす。
途中、好みの櫛を見つけて悩んでしまう。
『あっ、これもいい。どうしよう買っちゃおうかな。』
「君、それが欲しいの?」
『えぇ、でも悩んでて。お兄さんはどちらがいいと思います、か………』
(やぁ、名前君。)
男の人に声を掛けられ振り向くとそこには利吉さんの姿があり思わず目を見開いてしまう。焦げ茶色の風になびく髪に整った容姿。付近の町娘達がざわつく中、矢羽で会話が続けられる。
(利吉さんなんでここに?)
(とある城の任務の帰りでね)
「私はこちらの方がいいと思いますけどね。お嬢さんお茶でもどうですか?」
(なるほど)
『いいんですか?』
「勿論。」
集まってきた人を避け二人で櫛屋を出てお茶屋さんの暖簾をくぐり一息つく。
『まさか利吉さんから声が掛かるとは。』
「その言い方だと何かの実習だったかな?」
『はい。そうです。』
声が掛かったのが利吉さんだと非常にやりずらい。しかも男の人の情報を引き出してシナ先生に報告をしないといけない為非常に分が悪い。一般人ならまだやりやすいがフリーの、しかも売れっ子忍者の情報なんかタブーに決まっている。
『ではお茶を飲んだら私とはここで。』
「待て待て。まだお茶来てないだろう。」
『このままお茶してたら実習の単位が取れなさそうなんです。』
不思議そうに首を傾げる利吉さん。利吉さんに実習内容を話すとそれを黙って聞き「ふむ」と顎に手を添えている。話を終えると利吉さんの顔付きが怪しく感じる。
「そうか。そして君は私と解散したら別の男に声を掛けられるのを待つと。」
『私も好きでやっている訳ではないので。』
「ふーん。」
明らかに不機嫌になっている利吉さんに目線をずらす。私の方がこんな実習投げ出したいくらいなのに。
お茶が来ると表面上なんでもない話をし解散する。その後再び町に向かい標的を探す。
ある程度時間が経つと若めの男の人より声が掛かる。慣れた五車の術で相手からの情報を引き出す。その様子に相手は気を良くしたのかお茶が終わっても中々離れてくれない。
「お嬢さん、よければこのまま僕と。」
『そんな、もうこれ以上は駄目ですよ。』
「そんな。」
相手に好かれてしまったのか、あろうことか腕を掴んできて離さない。普段のくノ一の姿なら一発で払い退けるのだが今は町娘を演じている為そうもいかない。どうやって切り抜けようか脳裏で考えていると笠を被った男の人が横から制止するように入ってくる。
「お嬢さんが嫌がってるのだからやめた方がいいのでは?」
『利吉さん。』
男の人は利吉さんに静止されるとばつの悪そうな顔をし黙ってしまい腕を放し離れていく。
『利吉さん、助かりました。』
「君もあんな男ならすぐ払い除けたでしょ。」
『いや、一般人相手にどうしようか悩んでました。』
その返答に利吉さんからため息が漏れ出る。
「君を見てるとヒヤヒヤする。」
『そう言えば利吉さん。跡つけてたんですか?』
「そうだが。心配だったからな。」
『あぁ、それで。』
さすがプロ忍者。気配を悟る事ができなかった。自身の能力に落胆していると利吉さんが近づく。自身を立て直し顔を合わすと見れば見るほど顔が整っており女性から人気が絶えない理由が分かる。
「情報は引き出せたかい?」
『それは勿論。』
「なら実習は大丈夫だね。」
大人顔負けの笑顔で言われる。顔面が良いなだけに多くの女性はこの笑顔に落とされてきたんだろうな。
「さっきのお礼を今度してもらおうかな。」
『そうなりますか。お礼は何がいいです?』
「君との逢瀬がいいな。」
逢瀬で恩がなくなれば易いものだ。せっかくなら忍術も一緒に指導してもらおう。考えているのが顔に出てたのか利吉さんが困り眉になる。
「名前君。逢瀬の内容は私が考える。」
『え、そんな!』
「君ね。まさか忍術の指導なんかしてもらおうと思ってた?」
その言葉にギクッとなる。私の様子にまた溜め息を吐く利吉さん。
『それは最前線でプロ忍者している利吉さんと一緒に居れると思うと。』
「お世辞はうまいな。ったく…………君って奴は。」
『逢瀬楽しみにしてますね、利吉さん。』
名前君に微笑みまれる。そんな笑顔に騙されそうな気がしてハッとし首を横に振る。まるで名前君の手の上で転がされているような気分だ。まぁ逢瀬でもこじつけられただけまだましか。しかし私の胸の内なんかこの子は知らないんだろうな。