短編
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告げるその日まで
「はぁ、はぁ…………くっしゅん!!!」
『留三郎が風邪ひくの珍しいね。』
本日は授業の後、用具委員の手伝いをするつもりで集まったが用具委員会委員長である留三郎がいない。その理由を四年生である浜守一郎に聞くとどうやら昨日より風邪を引いているとのこと。お見舞いも兼ねて委員会報告をするため委員会終了後留三郎のいるは組の自室に向かうと布団に寝込んでいる姿を見つけ現在に至る。
『伊作から聞いたよ。文次郎との決着に備えて前日に水かぶったってね。それは風邪ひくわよ。』
「俺は風邪なんか引かない!!!!」
その言葉に呆れ顔を向けてわざと溜息を漏らすと彼の勢いは僅かながら萎縮する。
「とにかく世話をかけてすまない。委員会はどうだった?」
『ちゃんと言われた通り修補したよ。それと用具の物品チェックもしたし。暫くは委員会も大丈夫そうだしもしもの時は私もまた駆けつけるよ。』
「名前が手伝ってくれて本当に助かる。迷惑をかけてすまないな。」
『私も好きで手伝いしてるし、迷惑とかじゃないよ。』
そう言うと安心したのか表情が和らぐ。しかしまだ体調が本調子ではないのか顔に赤みが帯びておりいつもの覇気がないことに心配する。
私は昔留三郎に想いを寄せていた。それに気づいた時は四年生くらいの頃だった。その前から時折用具委員会の手伝いはしていたが気持ちの自覚は遅かった。同級生でありながら頼れる存在であり頼もしい存在である。そんな彼と過ごす委員会や時間は心地良く私の癒しでもある。そんな彼が私を選んでくれるとは微塵も思わないが不本意でありながらこの時間は彼と一緒に居たいと思う私にとってかけがえのない時間であった。
『取り敢えず今は体調を整えることに専念してね。伊作はまだ戻らないの?』
「あぁ、あいつは今日保健室の当番だから戻りはしない。」
『そっか、それならゆっくりできるね。でもこれ以上いると留三郎の体調に響きそうだからそろそろ戻るね。』
「え、もう戻るのか?」
そう言い、立ちあがろうとすると引き留められる。
『うん、まだしんどそうだしこれ以上話すとね。』
再び立ちあがろうとすると留三郎に腕を掴まれ行動を遮られ腕を掴まれた事に驚く。肝心の彼は黙ったままでいるが腕を掴む手が熱い。本来なら嬉しい筈だがかなりの熱が出ているのではないかと気付く。
「…………行かないでくれるか?」
小さい声ではあるが振り絞って出したであろう声が聞こえる。彼がこんなに弱ってる姿もまた珍しい。相当身体がしんどいのではないか。それを聞くと断る理由が見つからない。
「何もしなくていい。ただそばにいてくれ。」
『…分かった。もう少しここにいるよ。でも無理はせず休むこと。いい?』
そう言うと彼はこくりを頷き、再び布団の中に入り込む。暫く本などをみて隣で過ごしていると留三郎から時折苦しそうな息が漏れる。熱が上がってきているのか額にそっと絞った手拭いをのせて手を握る。何回か手拭いを交換していると徐々に顔の赤みが引き、息づかいが元に戻っていく。その姿に安心するとうつらうつらと睡魔が襲ってくる。
あれからどのくらいたった。喉が渇く感覚に気がつき目が覚める。そっか俺は風邪をひいていたんだっけ。手に違和感を感じ顔を横に向けるとスヤスヤと寝る名前の姿見つけ思わず手をどける。
「な、なんでこんなところに名前が居るんだ!うん?これは?……」
嬉しさやら恥ずかしさも含め顔が破顔しそうだが、手拭いが額から落ち数刻までの出来事を思い出し普段言わないであろう発言までしたことに顔が赤くなる。それはそうだ。常日頃から想いを抱いていた相手に看病をしてもらっていたんだ。嬉しくない筈がない。
「俺は何ていうことを言ったんだ。」
自分の行動に恥ずかしさを覚えるが名前の横顔を見るとこの状況も悪くないような気がする。
忍びとしては勿体無い端正な顔立ちで、優秀であり委員会でも後輩思いな名前。そんなお前を好いているとなると後ろから他の六年であるあいつらにいつか刺されるなと鼻で笑う。
「せめてこれくらい許してくれ。」
そういい頬に顔を寄せ口付けする。いつかくノ一として手の届かない所に行くならこの関係を壊してでも想いを伝えたい。今はまだその時期ではないがそう物思いにふける一日だった。
_____________________
(う………あ!目が覚めたんだね留三郎。)
(お前の看病のおかげだ。ありがとうな。)
((いつか想いを伝えるその日まで))
「はぁ、はぁ…………くっしゅん!!!」
『留三郎が風邪ひくの珍しいね。』
本日は授業の後、用具委員の手伝いをするつもりで集まったが用具委員会委員長である留三郎がいない。その理由を四年生である浜守一郎に聞くとどうやら昨日より風邪を引いているとのこと。お見舞いも兼ねて委員会報告をするため委員会終了後留三郎のいるは組の自室に向かうと布団に寝込んでいる姿を見つけ現在に至る。
『伊作から聞いたよ。文次郎との決着に備えて前日に水かぶったってね。それは風邪ひくわよ。』
「俺は風邪なんか引かない!!!!」
その言葉に呆れ顔を向けてわざと溜息を漏らすと彼の勢いは僅かながら萎縮する。
「とにかく世話をかけてすまない。委員会はどうだった?」
『ちゃんと言われた通り修補したよ。それと用具の物品チェックもしたし。暫くは委員会も大丈夫そうだしもしもの時は私もまた駆けつけるよ。』
「名前が手伝ってくれて本当に助かる。迷惑をかけてすまないな。」
『私も好きで手伝いしてるし、迷惑とかじゃないよ。』
そう言うと安心したのか表情が和らぐ。しかしまだ体調が本調子ではないのか顔に赤みが帯びておりいつもの覇気がないことに心配する。
私は昔留三郎に想いを寄せていた。それに気づいた時は四年生くらいの頃だった。その前から時折用具委員会の手伝いはしていたが気持ちの自覚は遅かった。同級生でありながら頼れる存在であり頼もしい存在である。そんな彼と過ごす委員会や時間は心地良く私の癒しでもある。そんな彼が私を選んでくれるとは微塵も思わないが不本意でありながらこの時間は彼と一緒に居たいと思う私にとってかけがえのない時間であった。
『取り敢えず今は体調を整えることに専念してね。伊作はまだ戻らないの?』
「あぁ、あいつは今日保健室の当番だから戻りはしない。」
『そっか、それならゆっくりできるね。でもこれ以上いると留三郎の体調に響きそうだからそろそろ戻るね。』
「え、もう戻るのか?」
そう言い、立ちあがろうとすると引き留められる。
『うん、まだしんどそうだしこれ以上話すとね。』
再び立ちあがろうとすると留三郎に腕を掴まれ行動を遮られ腕を掴まれた事に驚く。肝心の彼は黙ったままでいるが腕を掴む手が熱い。本来なら嬉しい筈だがかなりの熱が出ているのではないかと気付く。
「…………行かないでくれるか?」
小さい声ではあるが振り絞って出したであろう声が聞こえる。彼がこんなに弱ってる姿もまた珍しい。相当身体がしんどいのではないか。それを聞くと断る理由が見つからない。
「何もしなくていい。ただそばにいてくれ。」
『…分かった。もう少しここにいるよ。でも無理はせず休むこと。いい?』
そう言うと彼はこくりを頷き、再び布団の中に入り込む。暫く本などをみて隣で過ごしていると留三郎から時折苦しそうな息が漏れる。熱が上がってきているのか額にそっと絞った手拭いをのせて手を握る。何回か手拭いを交換していると徐々に顔の赤みが引き、息づかいが元に戻っていく。その姿に安心するとうつらうつらと睡魔が襲ってくる。
あれからどのくらいたった。喉が渇く感覚に気がつき目が覚める。そっか俺は風邪をひいていたんだっけ。手に違和感を感じ顔を横に向けるとスヤスヤと寝る名前の姿見つけ思わず手をどける。
「な、なんでこんなところに名前が居るんだ!うん?これは?……」
嬉しさやら恥ずかしさも含め顔が破顔しそうだが、手拭いが額から落ち数刻までの出来事を思い出し普段言わないであろう発言までしたことに顔が赤くなる。それはそうだ。常日頃から想いを抱いていた相手に看病をしてもらっていたんだ。嬉しくない筈がない。
「俺は何ていうことを言ったんだ。」
自分の行動に恥ずかしさを覚えるが名前の横顔を見るとこの状況も悪くないような気がする。
忍びとしては勿体無い端正な顔立ちで、優秀であり委員会でも後輩思いな名前。そんなお前を好いているとなると後ろから他の六年であるあいつらにいつか刺されるなと鼻で笑う。
「せめてこれくらい許してくれ。」
そういい頬に顔を寄せ口付けする。いつかくノ一として手の届かない所に行くならこの関係を壊してでも想いを伝えたい。今はまだその時期ではないがそう物思いにふける一日だった。
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(う………あ!目が覚めたんだね留三郎。)
(お前の看病のおかげだ。ありがとうな。)
((いつか想いを伝えるその日まで))