短編
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君には勝てない
「この村からの調達物はなしと。」
近々周囲の城が戦を始めるかもしれないと組頭の命令で旅人の変装をし周囲の村で聞き込み調査をしている。
しかしこの村からの情報はなく違う村に拠点を移そうとし通りかかった茶屋で過ごす事になった。ここの団子はうまい。忍者隊にお土産として包んで貰おうか思っていると聞き覚えのある声が隣から掛かる。
『あっ、諸泉尊奈門。』
「うん?げっ!、お前は忍術学園、くの一の苗字 名前!!!」
『そういう個人情報を大声で言うんじゃない。』
「ぐはっ!」
そう言うと奴より頭を叩かれる。この感触嫌な覚えがある。頭を押さえ隣を見ると奴は私服の着物で団子を食べている。何故この距離で気付かなかったのか。こいつ忍装束じゃなかったらこんな格好しているのか。叩かれた事に対して思わず大きい声を出してしまう。
「っ、な、何をする!?」
『別に何も。』
こいつは前に戦ったくのたまで、憎き土井半助の教え子でもある。前は散々なやられ方だったが今度は負けない筈だ。しかも一人で丸腰である。こんな女にこてんぱんにされたとは思いたくない。
『貴方、また私と戦おうと思ってる訳じゃないでしょうね。』
「(ギクッ)な、何でそんな事思うんだ。」
『顔見たらそんなの分かるわよ。』
そう奴はいい口の中に団子を放り込む。こいつ私に勝ったからと言って余裕な姿に怒りが込み上げてくる。
『ここは村より外れているとはいえ茶屋なんだから場所はわきまえしょうね。』
「うるさい!何故貴様にそんな事言われないとならんのだ!!!うっ!」
そう言うと私の隣で風を切り団子の串が長椅子に突き刺さる。思わずその動作に肝が冷える。
『……あのね、他者を巻き込むなって言ってるの。そんなの常識でしょ?』
「うっ……」
静かな声だがその声に怒りを感じる。発言が的を得ておりその様子に言い返す事もできず思わず黙ってしまう。
お互い茶を啜り沈黙の時間が流れる。なんなのだこの時間は。でもここで動いたら負けたような気がするしどうしたらいいものか。そう思っていると重苦しい雰囲気の中奴が開口する。
『ねぇ、何でそんなに敵対するの?』
「はっ!…それは土井半助が私のライバルだからだ!」
『仕掛けたのは貴方でしょ?先生はただ生徒を守っただけよ。』
「お前にはこの私の屈辱は分からんだろうな!」
『…確かに。』
「だから土井の味方の貴様は私の敵にもなるのだ!」
『…うーん、それはおかしな話よね。』
「な、何だと。」
『きっかけはまぁあれだけど私だって休みの日はゆっくりしたいし貴方と喧嘩したい訳じゃないのよ?』
「…………。」
『だから全員が全員敵だって思わなくてもいいんじゃない?』
「それでも私はプロ忍者だ。」
『それを言うなら私もくのたま。忍者は感情に左右されちゃ駄目よ。』
奴は敵じゃないと話すがそんな簡単な話でない。いつ我々が敵になるのかそれは互いに分からないが確かに今までは憎き土井の姿を見るとすぐ頭に血が昇り周囲の状況後先考えずに攻撃を仕掛ける私が居た。こんな事を子供の奴に諭されるとは情けない。
『それに雑渡さんも保健委員と仲良くしてるじゃない。』
「くっ、組頭は策があって動いてるのだ!」
「ならそれでもいいんじゃない?利用する時は利用する。忍者は何でも利用するんでしょ?」
そう彼女は何本目かの団子を口に頬張りながら目を弧にして笑った。この女くのたまだろうが食えん女だ。
前と闘った時と雰囲気口調が違う為かどうも落ち着かず振り回される自分が居る。
「……もういい、ここは私が出す。」
『えっ、いいわよ。自分の分は自分で出すわよ。』
「……………前の礼だ。」
『えっ?』
「……………この間は済まなかった。」
『諸泉………。』
そう言い彼を見ると彼の表情は被った笠で見えないが雰囲気は柔らかくなっている。最初の出会いが最悪すぎて忘れていたがこの男は私より少し上の男である。しかもあの雑渡昆奈門さんの所の忍者隊だからそれなりの実力があるのに学園では散々な目にあっているからまともに見えないのだろう。
『……尊奈門、また今度色々話しましょう。』
「っ、お前名前で!」
『私は敵じゃないわ。……いいでしょ?』
「そ、それは……」
ふと下の名前で呼ばれ微笑まれその表情に鼓動が高まる。奴は土井半助の教え子で忍術学園のくのたまだぞ。しかし悪い気がせずこの女に胸が高まる自分が居る。その事実を認めたくない為足早に茶屋を去る寸前で振り帰り際に声を掛ける。
「っ、次会った時こそ私が勝つ!」
『はいはい、その時はお茶でも準備してお待ちしてます。』
「わ、私は本気だぞ!」
『望む所よ。』
「っ、くそっ……。」
手を振られ先程の笑みと変わらず微笑まれ更に私の胸が締め付けられたなど奴は知るよしもないんだろうな。
_______________________
(くそ、くそ、何なんのだ苗字 名前)
(尊奈門にも春がきたらしいな)
(ようやくか。)
(高坂さん、小頭まで!)
(ふぅん……なんか面白くないね)
(……諸泉尊奈門、いい奴じゃない)
「この村からの調達物はなしと。」
近々周囲の城が戦を始めるかもしれないと組頭の命令で旅人の変装をし周囲の村で聞き込み調査をしている。
しかしこの村からの情報はなく違う村に拠点を移そうとし通りかかった茶屋で過ごす事になった。ここの団子はうまい。忍者隊にお土産として包んで貰おうか思っていると聞き覚えのある声が隣から掛かる。
『あっ、諸泉尊奈門。』
「うん?げっ!、お前は忍術学園、くの一の苗字 名前!!!」
『そういう個人情報を大声で言うんじゃない。』
「ぐはっ!」
そう言うと奴より頭を叩かれる。この感触嫌な覚えがある。頭を押さえ隣を見ると奴は私服の着物で団子を食べている。何故この距離で気付かなかったのか。こいつ忍装束じゃなかったらこんな格好しているのか。叩かれた事に対して思わず大きい声を出してしまう。
「っ、な、何をする!?」
『別に何も。』
こいつは前に戦ったくのたまで、憎き土井半助の教え子でもある。前は散々なやられ方だったが今度は負けない筈だ。しかも一人で丸腰である。こんな女にこてんぱんにされたとは思いたくない。
『貴方、また私と戦おうと思ってる訳じゃないでしょうね。』
「(ギクッ)な、何でそんな事思うんだ。」
『顔見たらそんなの分かるわよ。』
そう奴はいい口の中に団子を放り込む。こいつ私に勝ったからと言って余裕な姿に怒りが込み上げてくる。
『ここは村より外れているとはいえ茶屋なんだから場所はわきまえしょうね。』
「うるさい!何故貴様にそんな事言われないとならんのだ!!!うっ!」
そう言うと私の隣で風を切り団子の串が長椅子に突き刺さる。思わずその動作に肝が冷える。
『……あのね、他者を巻き込むなって言ってるの。そんなの常識でしょ?』
「うっ……」
静かな声だがその声に怒りを感じる。発言が的を得ておりその様子に言い返す事もできず思わず黙ってしまう。
お互い茶を啜り沈黙の時間が流れる。なんなのだこの時間は。でもここで動いたら負けたような気がするしどうしたらいいものか。そう思っていると重苦しい雰囲気の中奴が開口する。
『ねぇ、何でそんなに敵対するの?』
「はっ!…それは土井半助が私のライバルだからだ!」
『仕掛けたのは貴方でしょ?先生はただ生徒を守っただけよ。』
「お前にはこの私の屈辱は分からんだろうな!」
『…確かに。』
「だから土井の味方の貴様は私の敵にもなるのだ!」
『…うーん、それはおかしな話よね。』
「な、何だと。」
『きっかけはまぁあれだけど私だって休みの日はゆっくりしたいし貴方と喧嘩したい訳じゃないのよ?』
「…………。」
『だから全員が全員敵だって思わなくてもいいんじゃない?』
「それでも私はプロ忍者だ。」
『それを言うなら私もくのたま。忍者は感情に左右されちゃ駄目よ。』
奴は敵じゃないと話すがそんな簡単な話でない。いつ我々が敵になるのかそれは互いに分からないが確かに今までは憎き土井の姿を見るとすぐ頭に血が昇り周囲の状況後先考えずに攻撃を仕掛ける私が居た。こんな事を子供の奴に諭されるとは情けない。
『それに雑渡さんも保健委員と仲良くしてるじゃない。』
「くっ、組頭は策があって動いてるのだ!」
「ならそれでもいいんじゃない?利用する時は利用する。忍者は何でも利用するんでしょ?」
そう彼女は何本目かの団子を口に頬張りながら目を弧にして笑った。この女くのたまだろうが食えん女だ。
前と闘った時と雰囲気口調が違う為かどうも落ち着かず振り回される自分が居る。
「……もういい、ここは私が出す。」
『えっ、いいわよ。自分の分は自分で出すわよ。』
「……………前の礼だ。」
『えっ?』
「……………この間は済まなかった。」
『諸泉………。』
そう言い彼を見ると彼の表情は被った笠で見えないが雰囲気は柔らかくなっている。最初の出会いが最悪すぎて忘れていたがこの男は私より少し上の男である。しかもあの雑渡昆奈門さんの所の忍者隊だからそれなりの実力があるのに学園では散々な目にあっているからまともに見えないのだろう。
『……尊奈門、また今度色々話しましょう。』
「っ、お前名前で!」
『私は敵じゃないわ。……いいでしょ?』
「そ、それは……」
ふと下の名前で呼ばれ微笑まれその表情に鼓動が高まる。奴は土井半助の教え子で忍術学園のくのたまだぞ。しかし悪い気がせずこの女に胸が高まる自分が居る。その事実を認めたくない為足早に茶屋を去る寸前で振り帰り際に声を掛ける。
「っ、次会った時こそ私が勝つ!」
『はいはい、その時はお茶でも準備してお待ちしてます。』
「わ、私は本気だぞ!」
『望む所よ。』
「っ、くそっ……。」
手を振られ先程の笑みと変わらず微笑まれ更に私の胸が締め付けられたなど奴は知るよしもないんだろうな。
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(くそ、くそ、何なんのだ苗字 名前)
(尊奈門にも春がきたらしいな)
(ようやくか。)
(高坂さん、小頭まで!)
(ふぅん……なんか面白くないね)
(……諸泉尊奈門、いい奴じゃない)