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武道大会1
『学園内で武道大会を開く……?』
先日、学園全体に学園長先生の突然の思いつきによる武道大会の開催が伝達された。
普段から鍛錬に励んでいる者たちは日頃の成果を試す好機とばかりに歓喜し、大いに張り切っている。要するに、日頃磨き上げた腕前を競い合えということらしい。
「忍者として心技体を一体とし、日頃鍛え上げてきた成果を見せよ!」
相変わらずの唐突さではあるが、学園長先生の思いつきは絶対だ。くのたまといえど例外ではなく、今回の武道大会への参加が言い渡された。
なお、実力や危険度を考慮し、出場者は主に四年生から六年生までの上級生が主体となるようだ。
大会への参加は自由とされているが、各学年から最低一人は強制参加という条件がついている。使用する武器にも制限はなく、己の得意武器はもちろんのこと、多種多様な武具を持ち込むことが許可されているようだ。
(……だが、なんだか見世物のような扱いを感じてしまうのは私だけだろうか)
同級生である六年生達は、どうせ「日頃の鍛錬の成果だ」と嬉々として暴れ回るのだろう。
あ、でも伊作は保健委員長として救護に回るだろうから、一人だけ別かもしれない。
そんな取り留めのない思考を巡らせていると、後輩たちが声をかけてきた。
「くのたまからは、やっぱり名前先輩が参加ですよね!?」
「きゃー! 名前先輩の試合が見られるなんて、すごく楽しみです!」
「先輩! 忍たまの男子たちをコテンパンにやっつけちゃってください!」
『……やっぱり、私が参加しなくちゃダメかしら?』
「「名前先輩しかいません!!」」
目をキラキラと輝かせた後輩たちに、一斉に詰め寄られる。
トモミちゃん、ユキちゃん、おシゲちゃんからの熱い期待の眼差しが、少々恐ろしい。
その圧倒的な勢いに気おされ、思わず後ずさりをした背中に――トン、と誰かが突き当たった。
振り返ると、そこには腕を組んで微笑むシナ先生が立っていた。
『シナ先生……』
助けを求めるように視線を向けたものの、目の前にいるシナ先生の表情は、どこか生き生きとしていた。……あっ、これは嫌な予感がする。
案の定、シナ先生は私の肩にポンと軽く手を置いた。
「あなたには確かな実力がありますもの! くのたま代表として、存分に力を発揮してきて頂戴ね、名前さん。」
『先生まで……』
完全に逃げ道を塞がれてしまった。
確かに、刃を交えること自体が嫌いなわけではない。だが、このように大勢の前で見世物のように戦わされるのは、どうにも気が乗らないのだ。
あからさまに肩を落とす私の様子を察したのか、シナ先生がそっと傍らに寄り添い、耳元で囁くように言葉を紡いだ。
「優勝者には、望むものを何でも一品取らせると学園長先生がおっしゃっていたわ。」
『例えば……どんなものでも?』
「ええ。優勝した者が望むもの、ならね。」
――望むもの。
その一言が、私の胸の中のくすぶっていた導火線に小さく火をつけた。
もし優勝さえしてしまえば、「今後の学園長の突然の思いつき行事を免除する」という条件でも呑ませることができるはずだ。そうすれば、しばらくはあのお騒がせに付き合わずに済む。
(……悪くないわね)
ため息をひとつ吐き出し、気持ちを切り替える。
やるからには、容赦なく勝ちにいくまでだ。
『学園内で武道大会を開く……?』
先日、学園全体に学園長先生の突然の思いつきによる武道大会の開催が伝達された。
普段から鍛錬に励んでいる者たちは日頃の成果を試す好機とばかりに歓喜し、大いに張り切っている。要するに、日頃磨き上げた腕前を競い合えということらしい。
「忍者として心技体を一体とし、日頃鍛え上げてきた成果を見せよ!」
相変わらずの唐突さではあるが、学園長先生の思いつきは絶対だ。くのたまといえど例外ではなく、今回の武道大会への参加が言い渡された。
なお、実力や危険度を考慮し、出場者は主に四年生から六年生までの上級生が主体となるようだ。
大会への参加は自由とされているが、各学年から最低一人は強制参加という条件がついている。使用する武器にも制限はなく、己の得意武器はもちろんのこと、多種多様な武具を持ち込むことが許可されているようだ。
(……だが、なんだか見世物のような扱いを感じてしまうのは私だけだろうか)
同級生である六年生達は、どうせ「日頃の鍛錬の成果だ」と嬉々として暴れ回るのだろう。
あ、でも伊作は保健委員長として救護に回るだろうから、一人だけ別かもしれない。
そんな取り留めのない思考を巡らせていると、後輩たちが声をかけてきた。
「くのたまからは、やっぱり名前先輩が参加ですよね!?」
「きゃー! 名前先輩の試合が見られるなんて、すごく楽しみです!」
「先輩! 忍たまの男子たちをコテンパンにやっつけちゃってください!」
『……やっぱり、私が参加しなくちゃダメかしら?』
「「名前先輩しかいません!!」」
目をキラキラと輝かせた後輩たちに、一斉に詰め寄られる。
トモミちゃん、ユキちゃん、おシゲちゃんからの熱い期待の眼差しが、少々恐ろしい。
その圧倒的な勢いに気おされ、思わず後ずさりをした背中に――トン、と誰かが突き当たった。
振り返ると、そこには腕を組んで微笑むシナ先生が立っていた。
『シナ先生……』
助けを求めるように視線を向けたものの、目の前にいるシナ先生の表情は、どこか生き生きとしていた。……あっ、これは嫌な予感がする。
案の定、シナ先生は私の肩にポンと軽く手を置いた。
「あなたには確かな実力がありますもの! くのたま代表として、存分に力を発揮してきて頂戴ね、名前さん。」
『先生まで……』
完全に逃げ道を塞がれてしまった。
確かに、刃を交えること自体が嫌いなわけではない。だが、このように大勢の前で見世物のように戦わされるのは、どうにも気が乗らないのだ。
あからさまに肩を落とす私の様子を察したのか、シナ先生がそっと傍らに寄り添い、耳元で囁くように言葉を紡いだ。
「優勝者には、望むものを何でも一品取らせると学園長先生がおっしゃっていたわ。」
『例えば……どんなものでも?』
「ええ。優勝した者が望むもの、ならね。」
――望むもの。
その一言が、私の胸の中のくすぶっていた導火線に小さく火をつけた。
もし優勝さえしてしまえば、「今後の学園長の突然の思いつき行事を免除する」という条件でも呑ませることができるはずだ。そうすれば、しばらくはあのお騒がせに付き合わずに済む。
(……悪くないわね)
ため息をひとつ吐き出し、気持ちを切り替える。
やるからには、容赦なく勝ちにいくまでだ。