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私から貴方へ
『バレンタイン?』
「そうでしゅ!南蛮で流行りみたいで好きな男性にチョコレートを渡すんでしゅ!」
数日前からくのたま教室がバレンタインとやらで賑わっている。最近実習やらで忙しく久々にゆっくり教室で過ごしていたら入ってきた話題だ。
くのたま教室のおシゲちゃんから教えてもらったがどうやら後輩達は誰にチョコレートやらを渡すかで盛り上がっているみたい。
好きな殿方と言われたら彼しか思い浮かばない。
「好きな殿方にチョコレートってなんて素敵……」
頬を染めながらうっとりしている後輩達。それぞれ想っている男の子が居ると思うと可愛く見える。
学園内では忍たま六年生は勿論、下の五年生や四年生達の人気は伊達ではない。
六年生では仙蔵、伊作、長次辺りが顔も良く尚且つ後輩思いで群を抜いて人気だろう。
五年生は大方全員と言った所か?四年生は個性が一段強いが皆くのたまからは人気がある。
改めて思うと凄い級友達と後輩達だ。
留三郎も面倒見の良さやあの性格に武闘派だ。恋仲だが人気な彼を想像すると少し妬ける。
でもチョコレートってどんなのかしら。南蛮での人気なら余計気になる。これは情報を集めないと。
『長次、居る?』
「名前……」
『南蛮菓子の書物ってある?』
図書室に向かうと当番の長次がいる。
私の言葉に準備をしていたと思われる程、机からゴソゴソと一つの書物を取り出した。
『さすが。』
「最近人気だ………モソッ……」
書物を受け取り、中を読むと少しだがチョコレートとやらの内容が記載されている。
確かにあの子達が言ってた通りの内容だ。
作用にも疲労回復や滋養強壮など良いものばかりだ。
『これは人気になるわね。どんなのかしら。』
「実物ある……」
『そうなの?少しくれない?』
おねだりポーズで長次にお願いすると親指を立て頷く長次。良い反応ににんまりと微笑む。
食堂では何故かエプロンを付けた長次と私が居る。
後から食堂に向かうと長次が既に準備していた。
味見だけだと思っていたらどうやら一緒に作ってくれるらしい。
長次のボーロは学年問わず非常に評判が良く、何回でも食べたいぐらいだ。
食堂の調理場には道具が並んでおり、皿の上には茶色固形物がある。どうやら図書委員長の権限を最大限に生かし、学園の後輩同級生達の為に奮発して購入したらしい。女子以上に意識が高い長次に感心する。
あわよくば私が作るより長次の作ったチョコレートが欲しい。
『長次、これが?』
「チョコレートだ……」
この小さな塊が。初めてみるチョコレートをまじまじとみていると一つの塊を手に取り私に渡してくる長次。
『ありがとう。では。』
目の前に出されたチョコレートを口に放り込む。
口の中で転がしているとすぐに甘みが口内に広がり、両頬から唾液が出てくる。
普段から甘味で団子等食べているが団子を遥かに上回る程の甘さだ。しかし苦手ではなく、美味しいと感じる。
「………どうだ?」
『美味しい……。』
私の反応に長次の頬が少し上がったような気がする。
このチョコレートで美味しいお菓子を作ったら皆の喜ぶ顔が見れるかも。
『私も皆んなにあげたいわ。』
「一緒に作る……」
『やったぁ。恩に切るわ。』
長次の指導の元、バレンタインのチョコレート作りが始まった。
『できた。』
「上出来……モソッ……」
『長次のお陰よ。一人だったら無理だったわ。』
長次の教えの元、目の前には小さな容器で膨らんでいるボーロが完成した。どうやらカップケーキというらしい。取り敢えず六年生と後輩達の分は作れた。思いの外、出来上がった物の完成度が良く目を輝かせる。
「名前、あれは………」
長次が私の後ろにあった皆んなとは別で包装している菓子に気づいた。
『ふふっ、内緒。』
別包装していた彼へのチョコを持って届けに行こう。
『留三郎。』
「名前……。」
『えっ、その顔どうしたの?』
留三郎の部屋に着き、襖を開けるとそこには憔悴しきった留三郎がいた。辺りには用具部品が散らばっているが手がつけられていない。
彼がここまで憔悴しきっているのは理由が分からないが駆け寄る。
『一体、何があったの?』
「名前、俺にはくれないのか?」
『えっ?』
「チョコレートやらを。」
留三郎は既に知っていたようだ。私がチョコを作り配っていた事を。皆んなが私から貰える中、自分だけ貰えてないという事実が耐え難かったらしい。
しかも長次、伊作を除く六年生達に自慢されたらしい。着ている装束がボロボロだ。
大方、文次郎が留三郎に大見得を切り喧嘩したのだろう。
『ごめんなさい、皆んなを探してたら時間がかかってしまって。でもね……』
宥めると顔を上げる留三郎。
大事に隠し持っていたチョコレートを取り出す。
『私からのハッピーバレンタイン。』
差し出したチョコを受け取る留三郎。改めて渡すとなると恥ずかしい。そういえば甘いのいけたかしら。でも団子や饅頭、甘味も食べていたから大丈夫よね。
そんな心配が杞憂になる程、留三郎の表情はみるみる内に明るくなる。
「名前!」
嬉しさの余り抱きついてきた留三郎。溢れんばかりの嬉しさを全身で表してくれる彼に此方が照れてしまう。でもそんな彼が愛しくてなんて可愛いらしいのだろう。
「早速食べていいか?」
ガバッと勢いよく顔を上げる留三郎。まさにご褒美を上げた犬のように尻尾を振っている幻覚が見える。胸元を突き上げる感情を抑え込むが、余りの反応の良さに顔を押さえ震えてしまう。
『えぇ勿論。』
目を輝かせ、いそいそと包装を開ける留三郎。中身が分かると取り出し口の中に入れる。
『…どう?』
留三郎の口に合うか恐る恐る反応を待つ。
美味しくない、甘ったるいって言われたらどうしよう。
彼の次に発せられる言葉に手に汗握る。
「美味い。本当に美味い。」
ごくんと喉を鳴らし、彼のチャームポイントの鋭い目付きが優しくなり満面な笑みを向ける留三郎。
『良かった。貴方の為に一生懸命作ったの。』
「俺の為に……」
そうだ。皆んなにはカップケーキだが留三郎だけトリュフを作っていたのだ。
トリュフをまじまじと見つめる留三郎が何かを閃いたように私を見る。
「名前も一個どうだ?」
『それは留三郎のよ。貴方に食べて欲しいわ。』
「そうか、なら。」
一つの塊を口に挟んだと思うと、私に口付けてくる留三郎。二人の唇が重なると熱で溶かされるチョコが甘美で口内まで広がっていく。
留三郎との口吸いも相まって口内に広がる甘さが頭を駆け巡る。
普段の留三郎との口吸いも甘いが、今日のは余計に全身が甘美に染まる。
『んっ……』
「甘いな……」
『っぁ……んっ…』
「だがもっと欲しくなる。」
留三郎の唇が離れると私の口元についたチョコをぺろっと舐め取る留三郎。
妖艶な留三郎の目がとろりとさせるほど狂おしく突き刺さり、カァアアと耳先まで染まる。
普段の留三郎とのギャップに色気が背筋をゾクゾクとさせる。
「おかわりが欲しい。」
『も、もうないわ。』
「あるじゃないか。」
『えっ?』
「名前、お前だ。」
『なっ!』
「俺以外の野郎にあげた罰だ。」
抗議の言葉を告げようとすると再び重なる唇。こんなの罰じゃない。ご褒美である留三郎の逃れる事の出来ない口吸いに抗う気力もなく受け入れてしまう。
大好きな留三郎。私の大事で愛おしい恋仲。
嫉妬する留三郎も可愛いと思うのは私だけの秘密だ。
__________________________________________
(そういえば私以外に他の子がくれたでしょ?)
(確かにあったが断った)
(なんて気の毒な事を)
(名前以外からのチョコなどいらん)
(………馬鹿ね///)
『バレンタイン?』
「そうでしゅ!南蛮で流行りみたいで好きな男性にチョコレートを渡すんでしゅ!」
数日前からくのたま教室がバレンタインとやらで賑わっている。最近実習やらで忙しく久々にゆっくり教室で過ごしていたら入ってきた話題だ。
くのたま教室のおシゲちゃんから教えてもらったがどうやら後輩達は誰にチョコレートやらを渡すかで盛り上がっているみたい。
好きな殿方と言われたら彼しか思い浮かばない。
「好きな殿方にチョコレートってなんて素敵……」
頬を染めながらうっとりしている後輩達。それぞれ想っている男の子が居ると思うと可愛く見える。
学園内では忍たま六年生は勿論、下の五年生や四年生達の人気は伊達ではない。
六年生では仙蔵、伊作、長次辺りが顔も良く尚且つ後輩思いで群を抜いて人気だろう。
五年生は大方全員と言った所か?四年生は個性が一段強いが皆くのたまからは人気がある。
改めて思うと凄い級友達と後輩達だ。
留三郎も面倒見の良さやあの性格に武闘派だ。恋仲だが人気な彼を想像すると少し妬ける。
でもチョコレートってどんなのかしら。南蛮での人気なら余計気になる。これは情報を集めないと。
『長次、居る?』
「名前……」
『南蛮菓子の書物ってある?』
図書室に向かうと当番の長次がいる。
私の言葉に準備をしていたと思われる程、机からゴソゴソと一つの書物を取り出した。
『さすが。』
「最近人気だ………モソッ……」
書物を受け取り、中を読むと少しだがチョコレートとやらの内容が記載されている。
確かにあの子達が言ってた通りの内容だ。
作用にも疲労回復や滋養強壮など良いものばかりだ。
『これは人気になるわね。どんなのかしら。』
「実物ある……」
『そうなの?少しくれない?』
おねだりポーズで長次にお願いすると親指を立て頷く長次。良い反応ににんまりと微笑む。
食堂では何故かエプロンを付けた長次と私が居る。
後から食堂に向かうと長次が既に準備していた。
味見だけだと思っていたらどうやら一緒に作ってくれるらしい。
長次のボーロは学年問わず非常に評判が良く、何回でも食べたいぐらいだ。
食堂の調理場には道具が並んでおり、皿の上には茶色固形物がある。どうやら図書委員長の権限を最大限に生かし、学園の後輩同級生達の為に奮発して購入したらしい。女子以上に意識が高い長次に感心する。
あわよくば私が作るより長次の作ったチョコレートが欲しい。
『長次、これが?』
「チョコレートだ……」
この小さな塊が。初めてみるチョコレートをまじまじとみていると一つの塊を手に取り私に渡してくる長次。
『ありがとう。では。』
目の前に出されたチョコレートを口に放り込む。
口の中で転がしているとすぐに甘みが口内に広がり、両頬から唾液が出てくる。
普段から甘味で団子等食べているが団子を遥かに上回る程の甘さだ。しかし苦手ではなく、美味しいと感じる。
「………どうだ?」
『美味しい……。』
私の反応に長次の頬が少し上がったような気がする。
このチョコレートで美味しいお菓子を作ったら皆の喜ぶ顔が見れるかも。
『私も皆んなにあげたいわ。』
「一緒に作る……」
『やったぁ。恩に切るわ。』
長次の指導の元、バレンタインのチョコレート作りが始まった。
『できた。』
「上出来……モソッ……」
『長次のお陰よ。一人だったら無理だったわ。』
長次の教えの元、目の前には小さな容器で膨らんでいるボーロが完成した。どうやらカップケーキというらしい。取り敢えず六年生と後輩達の分は作れた。思いの外、出来上がった物の完成度が良く目を輝かせる。
「名前、あれは………」
長次が私の後ろにあった皆んなとは別で包装している菓子に気づいた。
『ふふっ、内緒。』
別包装していた彼へのチョコを持って届けに行こう。
『留三郎。』
「名前……。」
『えっ、その顔どうしたの?』
留三郎の部屋に着き、襖を開けるとそこには憔悴しきった留三郎がいた。辺りには用具部品が散らばっているが手がつけられていない。
彼がここまで憔悴しきっているのは理由が分からないが駆け寄る。
『一体、何があったの?』
「名前、俺にはくれないのか?」
『えっ?』
「チョコレートやらを。」
留三郎は既に知っていたようだ。私がチョコを作り配っていた事を。皆んなが私から貰える中、自分だけ貰えてないという事実が耐え難かったらしい。
しかも長次、伊作を除く六年生達に自慢されたらしい。着ている装束がボロボロだ。
大方、文次郎が留三郎に大見得を切り喧嘩したのだろう。
『ごめんなさい、皆んなを探してたら時間がかかってしまって。でもね……』
宥めると顔を上げる留三郎。
大事に隠し持っていたチョコレートを取り出す。
『私からのハッピーバレンタイン。』
差し出したチョコを受け取る留三郎。改めて渡すとなると恥ずかしい。そういえば甘いのいけたかしら。でも団子や饅頭、甘味も食べていたから大丈夫よね。
そんな心配が杞憂になる程、留三郎の表情はみるみる内に明るくなる。
「名前!」
嬉しさの余り抱きついてきた留三郎。溢れんばかりの嬉しさを全身で表してくれる彼に此方が照れてしまう。でもそんな彼が愛しくてなんて可愛いらしいのだろう。
「早速食べていいか?」
ガバッと勢いよく顔を上げる留三郎。まさにご褒美を上げた犬のように尻尾を振っている幻覚が見える。胸元を突き上げる感情を抑え込むが、余りの反応の良さに顔を押さえ震えてしまう。
『えぇ勿論。』
目を輝かせ、いそいそと包装を開ける留三郎。中身が分かると取り出し口の中に入れる。
『…どう?』
留三郎の口に合うか恐る恐る反応を待つ。
美味しくない、甘ったるいって言われたらどうしよう。
彼の次に発せられる言葉に手に汗握る。
「美味い。本当に美味い。」
ごくんと喉を鳴らし、彼のチャームポイントの鋭い目付きが優しくなり満面な笑みを向ける留三郎。
『良かった。貴方の為に一生懸命作ったの。』
「俺の為に……」
そうだ。皆んなにはカップケーキだが留三郎だけトリュフを作っていたのだ。
トリュフをまじまじと見つめる留三郎が何かを閃いたように私を見る。
「名前も一個どうだ?」
『それは留三郎のよ。貴方に食べて欲しいわ。』
「そうか、なら。」
一つの塊を口に挟んだと思うと、私に口付けてくる留三郎。二人の唇が重なると熱で溶かされるチョコが甘美で口内まで広がっていく。
留三郎との口吸いも相まって口内に広がる甘さが頭を駆け巡る。
普段の留三郎との口吸いも甘いが、今日のは余計に全身が甘美に染まる。
『んっ……』
「甘いな……」
『っぁ……んっ…』
「だがもっと欲しくなる。」
留三郎の唇が離れると私の口元についたチョコをぺろっと舐め取る留三郎。
妖艶な留三郎の目がとろりとさせるほど狂おしく突き刺さり、カァアアと耳先まで染まる。
普段の留三郎とのギャップに色気が背筋をゾクゾクとさせる。
「おかわりが欲しい。」
『も、もうないわ。』
「あるじゃないか。」
『えっ?』
「名前、お前だ。」
『なっ!』
「俺以外の野郎にあげた罰だ。」
抗議の言葉を告げようとすると再び重なる唇。こんなの罰じゃない。ご褒美である留三郎の逃れる事の出来ない口吸いに抗う気力もなく受け入れてしまう。
大好きな留三郎。私の大事で愛おしい恋仲。
嫉妬する留三郎も可愛いと思うのは私だけの秘密だ。
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(そういえば私以外に他の子がくれたでしょ?)
(確かにあったが断った)
(なんて気の毒な事を)
(名前以外からのチョコなどいらん)
(………馬鹿ね///)