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撃ち抜けるのは
『山田先生と奥様はどのような馴れ初めでしたか?』
「藪から棒になんだ。」
撃った筒先からは煙が上がる。
晩春から初夏へ移り変わり、新緑の美しさで染まる学園内での先日の出来事だ。
一年生達が言うには、あまりにも家に帰らない山田先生に堪忍袋の尾が切れた山田先生の奥様が学園にやってきたとの話題で持ち切りだった。
山田先生の奥様は元凄腕くのいちだったとか。
また火縄銃の使い手でもあり、あの利吉さんの御母上となると尊敬の意に値する。
「情報源は一年生だな。」
『ふふっ。』
火薬と弾丸を筒先から詰め込む。
山田先生がバツの悪そうに頭を抱える。その通りだから思わずクスクス笑ってしまう。
『お会いした事はありませんが、くの一を目指す私としては尊敬します。』
「お前は本当のあいつを知らなんだからそんな事が言えるんだ。」
一年生の頃から実技ではくのたまも山田先生から教わる機会があった。
先程まで威厳で満ち溢れていた山田先生は今はいない。
山田先生も奥様を相手にすると立場が弱くなるんだな。
だが元凄腕くのいちだった奥様と元戦忍の山田先生との間に産まれたご子息の利吉さんは私達が追いつく事が出来ないくらい先を行くだろう。
「出逢ったのは合戦場だ。それ以上は言わん。」
山田先生が頬を軽く染めながらぽろっと溢し、咳払いをする。
合戦場では多くの忍び達が情報収集で赴く場だ。だが戦中の為、多くの危険が伴うが男女の出逢いとなると芽生えるものがあるのだろう。
深く息を吸い込み呼吸を止め、標的の中央に狙いを定める。
ズダァッン!
的の中央を弾が射抜く。目標を撃ち放った火縄銃を肩から下す。
「見事だな。」
『恐れ入ります。』
「名前、お前は食満とどう生きる。」
次の火薬と弾を筒先から詰め込んでいる苗字の手がピタッと止まる。だが表情を変えず、気にせず作業を再開する。
『私はくの一として生きます。彼も忍者として同様でしょう。』
「果たして食満はそうかね。」
『私情と将来は別ですよ。』
火薬と弾を込めた火縄銃を再び構え、火蓋を閉じて火縄を付け射撃態勢に入る。
引き金を引き、火縄が火皿に落ちると同時に弾が発射された。だが弾が狙いを逸れ、的の端を射抜いた。
『……私もまだまだです。』
狙いを外した的を彼女の凛とした黒瞳が見据え、淡々としている。
「はぁ…お前は自分の事になると頭が固くなるからな。」
山田先生が溜め息交じりに言葉を吐く。
『私がここに入学したのは生きる術を身に付ける為です。うつつを抜かしている場合ではありません。』
「だがいずれは男と女が夫婦になり、子を持つ事は何よりかけがえの無いものだ。」
『ならもし仮に、私にややこが出来たら学園に顔を出しますね。』
私の軽口に苗字が火縄銃の手入れを行いながら微笑む。
火縄銃の指導を終えた苗字が去って行く。
彼女が使用していた的を見ると、先程外した一発の弾を除いた全ての弾が中央に当たっていた。
「ほぼ全弾………恐ろしいものだな。」
経験上、守る物が出来た者は一番厄介な相手だ。彼女もいずれは。また強き信念を貫き通そうとするものも然り。
食満が苗字の拠り所になってくれたらと思わざるを得ない。
「肩の力をもっと抜け。名前よ。」
『山田先生と奥様はどのような馴れ初めでしたか?』
「藪から棒になんだ。」
撃った筒先からは煙が上がる。
晩春から初夏へ移り変わり、新緑の美しさで染まる学園内での先日の出来事だ。
一年生達が言うには、あまりにも家に帰らない山田先生に堪忍袋の尾が切れた山田先生の奥様が学園にやってきたとの話題で持ち切りだった。
山田先生の奥様は元凄腕くのいちだったとか。
また火縄銃の使い手でもあり、あの利吉さんの御母上となると尊敬の意に値する。
「情報源は一年生だな。」
『ふふっ。』
火薬と弾丸を筒先から詰め込む。
山田先生がバツの悪そうに頭を抱える。その通りだから思わずクスクス笑ってしまう。
『お会いした事はありませんが、くの一を目指す私としては尊敬します。』
「お前は本当のあいつを知らなんだからそんな事が言えるんだ。」
一年生の頃から実技ではくのたまも山田先生から教わる機会があった。
先程まで威厳で満ち溢れていた山田先生は今はいない。
山田先生も奥様を相手にすると立場が弱くなるんだな。
だが元凄腕くのいちだった奥様と元戦忍の山田先生との間に産まれたご子息の利吉さんは私達が追いつく事が出来ないくらい先を行くだろう。
「出逢ったのは合戦場だ。それ以上は言わん。」
山田先生が頬を軽く染めながらぽろっと溢し、咳払いをする。
合戦場では多くの忍び達が情報収集で赴く場だ。だが戦中の為、多くの危険が伴うが男女の出逢いとなると芽生えるものがあるのだろう。
深く息を吸い込み呼吸を止め、標的の中央に狙いを定める。
ズダァッン!
的の中央を弾が射抜く。目標を撃ち放った火縄銃を肩から下す。
「見事だな。」
『恐れ入ります。』
「名前、お前は食満とどう生きる。」
次の火薬と弾を筒先から詰め込んでいる苗字の手がピタッと止まる。だが表情を変えず、気にせず作業を再開する。
『私はくの一として生きます。彼も忍者として同様でしょう。』
「果たして食満はそうかね。」
『私情と将来は別ですよ。』
火薬と弾を込めた火縄銃を再び構え、火蓋を閉じて火縄を付け射撃態勢に入る。
引き金を引き、火縄が火皿に落ちると同時に弾が発射された。だが弾が狙いを逸れ、的の端を射抜いた。
『……私もまだまだです。』
狙いを外した的を彼女の凛とした黒瞳が見据え、淡々としている。
「はぁ…お前は自分の事になると頭が固くなるからな。」
山田先生が溜め息交じりに言葉を吐く。
『私がここに入学したのは生きる術を身に付ける為です。うつつを抜かしている場合ではありません。』
「だがいずれは男と女が夫婦になり、子を持つ事は何よりかけがえの無いものだ。」
『ならもし仮に、私にややこが出来たら学園に顔を出しますね。』
私の軽口に苗字が火縄銃の手入れを行いながら微笑む。
火縄銃の指導を終えた苗字が去って行く。
彼女が使用していた的を見ると、先程外した一発の弾を除いた全ての弾が中央に当たっていた。
「ほぼ全弾………恐ろしいものだな。」
経験上、守る物が出来た者は一番厄介な相手だ。彼女もいずれは。また強き信念を貫き通そうとするものも然り。
食満が苗字の拠り所になってくれたらと思わざるを得ない。
「肩の力をもっと抜け。名前よ。」