劇場版ドクタケ忍者隊最強の軍師
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哀傷
空が不気味な赤みを帯び始めた頃、ようやく学園に帰り着いた。医務室で治療を伊作と共に行う。
「小平太は僕が治療する。」
『頼むわ。伊作。』
伊作が小平太の治療に専念する為、五人の治療を引き受ける。
長次と仙蔵の傷は思ったより酷くない。消毒と化膿止めの薬を塗り込み包帯で固定する。
留三郎の流血は酷いが頭部の傷の為、止血と冷やせばすぐに落ち着く。
『何とかなったわね。』
「名前、世話をかける。」
『いいのよ。……あとは文次郎、傷を見せて。』
「これぐらいどうって事ない。」
『左目と腹、どちらも致命傷になりかねない。次も戦いたくないの?』
語尾を強め、有無を言わさない態度を見せれば渋々黙り従う。
明け方で周囲が静まり返る中、カチャカチャと薬品と道具を扱う音が医務室に響き渡る。
「軍師天鬼?」
「聞かぬ名ですな」
「天鬼は土井先生の顔をしていました。」
「なんと!」
すぐさま先程あった出来事を学園長、山田先生に報告する。
「まさかドクタケ城の軍師が土井先生だったとは……」
学園長も山田先生も驚きを隠せない。
天井裏からは雑渡さんも現れた。それぞれが警戒を露わにするが敵意がない。今回の件からは手を引くと一言いい去っていった。その際雑渡さんと目が合うが今は気にしてられない。
「お前達も休んでくれ。誰かと交代…」
「こんなの擦り傷です!」
「もそっ!」
小平太の返事に長次が同じような返事をする。
「我ら、いつでも行けます。」
「降りる気はありません!」
「ギンギンにやれます!」
皆の揺るぎない覚悟の返答が学園長室に響き渡る。
目潰しを喰らい左目が開ききっていない文次郎に前額部を冷やしている留三郎の揺るぎない決意が述べられる。
その言葉に山田先生が眉をしかめ、私にどうにかしろと言わんばかりの視線を送ってくる。
『土井先生を必ず取り戻します。』
考えは皆と同じだ。
目を細め返答すると山田先生が溜め息をつき、伊作に声を掛ける。
「おい、保健委員。何か言ってやれ。」
「皆んな擦り傷です!一晩寝れば治ります!」
保健委員長らしかぬ発言に身体が斜めに倒れ掛かる。
伊作、普段からあれだけ小さな傷でも口うるさく言うのにこの言い切りに久々に頬が緩む。
学園長室を出ると休息を取る。次の潜入は今晩だ。
今は疲弊した身体を休める事に専念する。
『留三郎……』
「名前……」
明け方のひとけのない場所に留三郎と向かう。
二人きりになった瞬間、留三郎の額に手を伸ばし彼を抱き締める。
『………良かった…良かった。無事で。』
「………心配かけた」
留三郎が私の背中に腕を回す。
天鬼から攻撃を受け、留三郎が血を流した時から彼の事が頭から離れなかった。
留三郎がもし小平太並みに重い傷を受けていたら?
忍者としてあるまじき行為だが我を失っていただろう。
恋仲が目の前で傷を負わされ、それでも冷徹になれる程私はまだ強くない。
「心配させてすまん……」
私を包み込むように留三郎の腕に力が入る。
自分達に立ちはだかる強敵が土井先生だった事、殺されかけた瀬戸際で無事に逃げる事ができた事に安堵する。
「お前もここを……」
私の脇腹に手を添える留三郎。傷は負っていないがそこは土井先生である天鬼に斬られた場所だ。
留三郎が斬られた装束の間から指を入れ指先で撫でられる。
「名前っ……」
『んっ!……っはぁ……』
留三郎が荒々しく口付ける。生きている事を実感し、互いが無事な事を再確認する為に。
自身の目が潤い、涙が込み上げ一筋の涙が頬を伝う。
『はぁっ……留……』
「名前……… 名前………」
留三郎の裾を掴む手に力が入る。
口付けは止まず互いに貪り合う。言葉など不要。
今はひたすら口吸いを繰り返す。
酸欠になる寸前で留三郎が唇を離す。
留三郎の指が私の腰を伝う感覚に身を捩る。
『んっ……』
「お前が無事で良かった……」
あの時名前が纏う闘気が格段に跳ね上がった。
その様子はあの件以来の、まさにあの姿以上だった。
余りの気迫に誰一人止める事が出来ず、皆が動けないなか土井先生に斬りかかった。土井先生の攻撃を物ともせず、まさに滑らかに舞うようだった。
仮に自身に傷がついても名前は止まらず攻撃の手を止める事はしないだろう。
だが彼女が目の前で殺されていたら?
恩師である土井先生と分かっていても殴りかかるだろう。自分も冷静ではいられず、皆を巻き添えにしてでも仇を討とうとしていたであろう。
『留三郎……』
「なんだ…」
『もし……貴方を………目の前で失っていたら…』
名前の声が震え俺の胸元を握りしめる。名前が恐怖で怯えている。その姿はあの時居た彼女ではない。
只、失う事を極端に恐れている俺の恋仲だ。そんな名前が愛おしく自身の腕に力を入れ、息が止まるのではないかと思う程抱き締める。
「……そんな事、ある訳ない。」
『うん……』
この女を悲しませ自身の命を投げ打つ事はさせない。自身の心に固く決意する。名前を向けさせるとそこには儚くか弱い女がいた。
「名前……口吸いを…」
死なせはせん。俺の命に変えても。
『留三郎。』
俺の手を涙が流れている自身の頬に当てる名前。手に吸い込まれるようにそっと彼女の頬を撫でる。
それからも時間の許す限り、唇を重ね口吸いを続ける。
今だけは二人が無事だった事を噛み締める様に。
空が不気味な赤みを帯び始めた頃、ようやく学園に帰り着いた。医務室で治療を伊作と共に行う。
「小平太は僕が治療する。」
『頼むわ。伊作。』
伊作が小平太の治療に専念する為、五人の治療を引き受ける。
長次と仙蔵の傷は思ったより酷くない。消毒と化膿止めの薬を塗り込み包帯で固定する。
留三郎の流血は酷いが頭部の傷の為、止血と冷やせばすぐに落ち着く。
『何とかなったわね。』
「名前、世話をかける。」
『いいのよ。……あとは文次郎、傷を見せて。』
「これぐらいどうって事ない。」
『左目と腹、どちらも致命傷になりかねない。次も戦いたくないの?』
語尾を強め、有無を言わさない態度を見せれば渋々黙り従う。
明け方で周囲が静まり返る中、カチャカチャと薬品と道具を扱う音が医務室に響き渡る。
「軍師天鬼?」
「聞かぬ名ですな」
「天鬼は土井先生の顔をしていました。」
「なんと!」
すぐさま先程あった出来事を学園長、山田先生に報告する。
「まさかドクタケ城の軍師が土井先生だったとは……」
学園長も山田先生も驚きを隠せない。
天井裏からは雑渡さんも現れた。それぞれが警戒を露わにするが敵意がない。今回の件からは手を引くと一言いい去っていった。その際雑渡さんと目が合うが今は気にしてられない。
「お前達も休んでくれ。誰かと交代…」
「こんなの擦り傷です!」
「もそっ!」
小平太の返事に長次が同じような返事をする。
「我ら、いつでも行けます。」
「降りる気はありません!」
「ギンギンにやれます!」
皆の揺るぎない覚悟の返答が学園長室に響き渡る。
目潰しを喰らい左目が開ききっていない文次郎に前額部を冷やしている留三郎の揺るぎない決意が述べられる。
その言葉に山田先生が眉をしかめ、私にどうにかしろと言わんばかりの視線を送ってくる。
『土井先生を必ず取り戻します。』
考えは皆と同じだ。
目を細め返答すると山田先生が溜め息をつき、伊作に声を掛ける。
「おい、保健委員。何か言ってやれ。」
「皆んな擦り傷です!一晩寝れば治ります!」
保健委員長らしかぬ発言に身体が斜めに倒れ掛かる。
伊作、普段からあれだけ小さな傷でも口うるさく言うのにこの言い切りに久々に頬が緩む。
学園長室を出ると休息を取る。次の潜入は今晩だ。
今は疲弊した身体を休める事に専念する。
『留三郎……』
「名前……」
明け方のひとけのない場所に留三郎と向かう。
二人きりになった瞬間、留三郎の額に手を伸ばし彼を抱き締める。
『………良かった…良かった。無事で。』
「………心配かけた」
留三郎が私の背中に腕を回す。
天鬼から攻撃を受け、留三郎が血を流した時から彼の事が頭から離れなかった。
留三郎がもし小平太並みに重い傷を受けていたら?
忍者としてあるまじき行為だが我を失っていただろう。
恋仲が目の前で傷を負わされ、それでも冷徹になれる程私はまだ強くない。
「心配させてすまん……」
私を包み込むように留三郎の腕に力が入る。
自分達に立ちはだかる強敵が土井先生だった事、殺されかけた瀬戸際で無事に逃げる事ができた事に安堵する。
「お前もここを……」
私の脇腹に手を添える留三郎。傷は負っていないがそこは土井先生である天鬼に斬られた場所だ。
留三郎が斬られた装束の間から指を入れ指先で撫でられる。
「名前っ……」
『んっ!……っはぁ……』
留三郎が荒々しく口付ける。生きている事を実感し、互いが無事な事を再確認する為に。
自身の目が潤い、涙が込み上げ一筋の涙が頬を伝う。
『はぁっ……留……』
「名前……… 名前………」
留三郎の裾を掴む手に力が入る。
口付けは止まず互いに貪り合う。言葉など不要。
今はひたすら口吸いを繰り返す。
酸欠になる寸前で留三郎が唇を離す。
留三郎の指が私の腰を伝う感覚に身を捩る。
『んっ……』
「お前が無事で良かった……」
あの時名前が纏う闘気が格段に跳ね上がった。
その様子はあの件以来の、まさにあの姿以上だった。
余りの気迫に誰一人止める事が出来ず、皆が動けないなか土井先生に斬りかかった。土井先生の攻撃を物ともせず、まさに滑らかに舞うようだった。
仮に自身に傷がついても名前は止まらず攻撃の手を止める事はしないだろう。
だが彼女が目の前で殺されていたら?
恩師である土井先生と分かっていても殴りかかるだろう。自分も冷静ではいられず、皆を巻き添えにしてでも仇を討とうとしていたであろう。
『留三郎……』
「なんだ…」
『もし……貴方を………目の前で失っていたら…』
名前の声が震え俺の胸元を握りしめる。名前が恐怖で怯えている。その姿はあの時居た彼女ではない。
只、失う事を極端に恐れている俺の恋仲だ。そんな名前が愛おしく自身の腕に力を入れ、息が止まるのではないかと思う程抱き締める。
「……そんな事、ある訳ない。」
『うん……』
この女を悲しませ自身の命を投げ打つ事はさせない。自身の心に固く決意する。名前を向けさせるとそこには儚くか弱い女がいた。
「名前……口吸いを…」
死なせはせん。俺の命に変えても。
『留三郎。』
俺の手を涙が流れている自身の頬に当てる名前。手に吸い込まれるようにそっと彼女の頬を撫でる。
それからも時間の許す限り、唇を重ね口吸いを続ける。
今だけは二人が無事だった事を噛み締める様に。