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買い物
「名前、出掛けるぞ。」
部屋の襖がスパァンとものすごい勢いで開かされるとそこには仙蔵の女装姿である仙子さんがいた。
読んでいた書物から目線を上げると自信満々な仙蔵がいる。
『あの仙蔵……ここくのたま長屋だから、ね?』
「んっ?先生方や他のくのたまには気付かれていないが。」
『……はぁ』
幾ら仙子さんでもこんな白昼堂々にくのたま長屋に忍びこんだのがバレて処罰を受けるのは嫌だから早々に仙蔵を外に追いやる。
というかこんな簡単に忍ばれても困る。
『で、どうしたの?』
「うむ、今日は女装の道具である化粧を買いたくてな。」
『その為にわざわざ私を?』
「お前はセンスがあるからな。」
『うーん……今日はゆっくり休みたい気分なの。』
「そんなの関係ない。付き合え。」
『えぇー。』
「もたもたするな。行くぞ。」
眉を顰め言葉を噤もうとするがそんな私を強引に連れて行こうとする仙蔵。私に拒否権がないのは悲しくなる。
こうなれば茶屋で団子でも饅頭でも奢って貰おう。
町に着くと早速店を回る仙子さん。端から端まで化粧道具をみる仙蔵には正直驚く。仙蔵の女装は同級生の中でも優秀、いや学園一の美女だ。化粧道具にもこだわりがあるのか感心してしまう。
かくいう今のこの状況もはたからみれば、仲の良い町娘が買い物に来ている姿に見えるだろう。
「名前ちゃん、あそこのお店見に行きましょ?」
『仙子さん楽しそうね。』
「あら、だってこんな沢山のお店があるから楽しいじゃない。」
反応も立派な年頃の女の子を演じている。着物の袖で口元を覆い上品さが溢れ出ている。その美しさで通りすがる町娘や男達も一瞬振り向いている。
いつに増して完璧すぎる女装。こんな仙子さんと一緒に買い物なんて中々ない機会だから胸がドキドキする。
それからは仙子さんに付き合い、店を見る。
暫く見て回っていると久しぶりの買い物に何だか楽しくなってきた。現在の流行りなども知れて町を散策するいい機会にもなった。買い物の後半には私も仙子さんと一緒に盛り上がって化粧選びに精を出していた。
ふと紅屋で足を止める仙子さん。何か気になるものがあったのだろう。
そういえば最近女装に使っていた紅が切れたとか言ってたような気がする。
『気になる?』
「少しね。」
仙子さんの返事を聞くとにんまりと笑みが出る。
『入りましょ!』
「なっ、ちょっ!名前ちゃん!」
仙子さんの腕を絡め取り、強引に店に入る。
そこには年頃の娘達で賑わっており皆んな目を輝かせていた。目の前にある沢山の鮮やかな紅に心が躍る。貝殻に入った紅は可愛らしく、色味を吟味する。
『沢山あるわね。』
「ここは品揃えがいいな。」
仙蔵が二つの紅に釘付けになる。その様子は真剣な表情をしている。すると仙蔵が紅を取り、私に聞いてきた。
「この二つの内どちらが私に似合っている?」
手元には紅色、薔薇色の二色の紅だ。
『仙子さんは色白だからね、そっちの色もいいけどこっちの方が柔らかい色味だから私はこっちが似合うと思うわ。』
そういい薔薇色の紅を指差す。私が選んだ紅を取り仙蔵が自身の唇と見比べる。
仙子さんは珍しく、ふむ…と考え込んだ。その後いつの間にか紅を購入した仙蔵。
その後も簪やら櫛などのお店も回り、気がつけば夕刻になっていた為、学園の帰路に着く。
「いい買い物ができた。」
『今日は楽しかったわ。』
「出かけてよかっただろう?」
『まぁ結果的にはね。連れ出してくれてありがとう。仙子さん。』
「今はもう仙蔵だ。」
仙蔵が微笑む。その言葉にはっとする。でも今日は本当に女の子と町に来ていると思い込んでいた。
私も仙蔵を見習って化粧も頑張らないと。
「今日の礼だ。」
仙蔵が胸元から何かを取り出し渡してきた。まさかこれって。そう思い受け取ったものを見るとあの紅だ。しかも私が仙蔵に似合うと言った薔薇色の紅。
「お前にもその色味は似合っていた。お前もそれぐらいは買わんとな。」
『いいの?』
「今日の礼と言ったろう。」
思いもよらない贈り物に微笑んでしまう。
『ありがとう。大事にするわ。』
仙蔵と顔を見合わせ微笑み談笑しながら次の女装の化粧のやり方を教わる。
また仙子さんと出掛けるのが楽しみだわ。
学園に帰り自室の部屋に購入した化粧を仕舞う。私の手元には名前が選んでくれた薔薇色の紅がある。
「フッ……」
曲線を描き、握り締めたら壊れてしまいそうな紅を見つめ笑みが溢れる。
名前に贈った紅がまさか私とお揃いの紅だと思ってはいないだろう。これは誰にも教えてやらん。
「名前、出掛けるぞ。」
部屋の襖がスパァンとものすごい勢いで開かされるとそこには仙蔵の女装姿である仙子さんがいた。
読んでいた書物から目線を上げると自信満々な仙蔵がいる。
『あの仙蔵……ここくのたま長屋だから、ね?』
「んっ?先生方や他のくのたまには気付かれていないが。」
『……はぁ』
幾ら仙子さんでもこんな白昼堂々にくのたま長屋に忍びこんだのがバレて処罰を受けるのは嫌だから早々に仙蔵を外に追いやる。
というかこんな簡単に忍ばれても困る。
『で、どうしたの?』
「うむ、今日は女装の道具である化粧を買いたくてな。」
『その為にわざわざ私を?』
「お前はセンスがあるからな。」
『うーん……今日はゆっくり休みたい気分なの。』
「そんなの関係ない。付き合え。」
『えぇー。』
「もたもたするな。行くぞ。」
眉を顰め言葉を噤もうとするがそんな私を強引に連れて行こうとする仙蔵。私に拒否権がないのは悲しくなる。
こうなれば茶屋で団子でも饅頭でも奢って貰おう。
町に着くと早速店を回る仙子さん。端から端まで化粧道具をみる仙蔵には正直驚く。仙蔵の女装は同級生の中でも優秀、いや学園一の美女だ。化粧道具にもこだわりがあるのか感心してしまう。
かくいう今のこの状況もはたからみれば、仲の良い町娘が買い物に来ている姿に見えるだろう。
「名前ちゃん、あそこのお店見に行きましょ?」
『仙子さん楽しそうね。』
「あら、だってこんな沢山のお店があるから楽しいじゃない。」
反応も立派な年頃の女の子を演じている。着物の袖で口元を覆い上品さが溢れ出ている。その美しさで通りすがる町娘や男達も一瞬振り向いている。
いつに増して完璧すぎる女装。こんな仙子さんと一緒に買い物なんて中々ない機会だから胸がドキドキする。
それからは仙子さんに付き合い、店を見る。
暫く見て回っていると久しぶりの買い物に何だか楽しくなってきた。現在の流行りなども知れて町を散策するいい機会にもなった。買い物の後半には私も仙子さんと一緒に盛り上がって化粧選びに精を出していた。
ふと紅屋で足を止める仙子さん。何か気になるものがあったのだろう。
そういえば最近女装に使っていた紅が切れたとか言ってたような気がする。
『気になる?』
「少しね。」
仙子さんの返事を聞くとにんまりと笑みが出る。
『入りましょ!』
「なっ、ちょっ!名前ちゃん!」
仙子さんの腕を絡め取り、強引に店に入る。
そこには年頃の娘達で賑わっており皆んな目を輝かせていた。目の前にある沢山の鮮やかな紅に心が躍る。貝殻に入った紅は可愛らしく、色味を吟味する。
『沢山あるわね。』
「ここは品揃えがいいな。」
仙蔵が二つの紅に釘付けになる。その様子は真剣な表情をしている。すると仙蔵が紅を取り、私に聞いてきた。
「この二つの内どちらが私に似合っている?」
手元には紅色、薔薇色の二色の紅だ。
『仙子さんは色白だからね、そっちの色もいいけどこっちの方が柔らかい色味だから私はこっちが似合うと思うわ。』
そういい薔薇色の紅を指差す。私が選んだ紅を取り仙蔵が自身の唇と見比べる。
仙子さんは珍しく、ふむ…と考え込んだ。その後いつの間にか紅を購入した仙蔵。
その後も簪やら櫛などのお店も回り、気がつけば夕刻になっていた為、学園の帰路に着く。
「いい買い物ができた。」
『今日は楽しかったわ。』
「出かけてよかっただろう?」
『まぁ結果的にはね。連れ出してくれてありがとう。仙子さん。』
「今はもう仙蔵だ。」
仙蔵が微笑む。その言葉にはっとする。でも今日は本当に女の子と町に来ていると思い込んでいた。
私も仙蔵を見習って化粧も頑張らないと。
「今日の礼だ。」
仙蔵が胸元から何かを取り出し渡してきた。まさかこれって。そう思い受け取ったものを見るとあの紅だ。しかも私が仙蔵に似合うと言った薔薇色の紅。
「お前にもその色味は似合っていた。お前もそれぐらいは買わんとな。」
『いいの?』
「今日の礼と言ったろう。」
思いもよらない贈り物に微笑んでしまう。
『ありがとう。大事にするわ。』
仙蔵と顔を見合わせ微笑み談笑しながら次の女装の化粧のやり方を教わる。
また仙子さんと出掛けるのが楽しみだわ。
学園に帰り自室の部屋に購入した化粧を仕舞う。私の手元には名前が選んでくれた薔薇色の紅がある。
「フッ……」
曲線を描き、握り締めたら壊れてしまいそうな紅を見つめ笑みが溢れる。
名前に贈った紅がまさか私とお揃いの紅だと思ってはいないだろう。これは誰にも教えてやらん。