長編関連(短編・番外編)
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小平太との対戦で疲れた身体を引きずりながらトーナメント表を確認する。
さすがにここまでくると次は準々決勝になる。
勝者は赤線で引かれ自身の名前を確認すると目の前には妥当な人物が現れ肩に手を置かれる。
「次は俺だな、名前。」
食満留三郎だ。四年は組のタカ丸とろ組で同じ用具委員である浜守一郎を倒した留三郎。
『留三郎相手もしんどいわ。』
「おい、えらい弱気だな。」
『小平太との後となればね。』
俺の顔をみて溜め息をつく名前。正直名前が小平太に勝てるとは思ってなかったがそれは紛れもない事実。
先程の殺気を伴う殺伐とした雰囲気に他の上級生も感化され血の気が滾っただろう。
「俺にも全力で挑めよ。」
『はぁ、身体がもつかもたないか。』
『おいおい。』
『そういえば他の結果はどうなの?』
「ああ、面白い結果になってるぞ。」
留三郎がトーナメント表を指差し結果を見る。
トーナメント表を見ると成程。確かに面白い結果だ。
文次郎は滝夜叉丸に勝つと勘右衛門、その後に仙蔵に勝っている。てっきり仙蔵が勝つと思っていたが遠距離戦である得意な焙烙火矢では文次郎の得意としている袋槍の接近戦には勝てなかったのだろう。
長次は喜八郎に勝つと八左ヱ門に勝利している。
ここまで見るとさすが最高学年だ。後輩達をものともしないがこれが実力というものだ。
「んっ?留三郎、伊作って……」
「あぁ、何やら初戦のタカ丸戦で不運でこけ、そのまま気絶し失格だ。」
『あらま……』
留三郎が呆れた表情で述べる。さすが伊作とかしか言い表せない。そんな伊作は救護室に運ばれそのまま救護係をしている。
準々決勝は潮江文次郎に中在家長次、食満留三郎に私となった。
六年生同士の一騎討ちに会場は盛り上がっている中、山田先生より伝令が下される。
「学園長より休憩を設けよと命令があった。次に試合を控えている者は試合に備え速やかに休憩しろ!怪我をしている者は臨時で立てている救護室に行くように!」
伝令が伝わるとくの一教室の後輩達がドドドドっと物凄い勢いで走ってくる。何か凄い嫌な予感がし冷や汗が流れる。
「名前先輩、此方で休憩しましょう!」
「怪我はありませんか!?さぁ手当てを!」
後輩達が寄ってたかって辺りに寄る。
『ありがとう。でも私は少し休憩したら大丈夫よ。』
「そんな訳ありません!先程の疲れが残っている筈です!さぁ此方に!」
『ちょっと待ってトモミちゃん!まだトーナメント表をぉーーー!』
言葉を遮られ強引に両腕を掴まれ連れて行かれる。
待って、まだトーナメント表をじっくりみたいのに!
でも善意でやってくれている後輩達を無理に振り払う事が出来ない為、そのまま身体を任せる事にした。
残された留三郎達はぽかんと口を開いたまま呆然としていた。
あれから後輩達に身体を揉まれ水分を取らされ、擦り切れた傷などの手当てを受けた。あまりの手際の良さにされるがままだ。
『も、もういいわ!おシゲちゃん達!』
「遠慮なさらないで下さい!」
「そうでしゅ!先輩はあの六年生達を唯一打ち負かす事が出来るお方でしゅ!くのたまの皆も期待で溢れていましゅ!」
『打ち負かすって……』
もうこれは無難に任せた方が良さそう。
観念したように大きなため息をつく。
ようやく後輩達による手当てが終え、解放されるや否や逃げるように会場に向かうと身体が楽になっていた。
『んっ?……す、凄い』
でもさすがはあの子達だ。先程の疲れや傷の痛みが無くなっている。
これなら疲れが長引く事なく、全力で頑張れそう。