長編
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真相
ドンッツ!
「なんで名前を行かせた!!!」
文次郎に胸倉を掴まれ壁に押し付けられる。
名前と分かれた後、城内の騒ぎに紛れ囮役であった文次郎と合流でき、詳細を話すと文次郎が怒りをあらわにする。
「俺だって行かせたくなかった!」
胸倉を掴んでいる文次郎の腕を振り払う。
すると俺の反応に文次郎が舌打ちをする。
駆け付けたいがこの騒ぎの中、更に事を大きくする訳には行かない。
「……取り敢えず報告だ。」
重苦しい雰囲気の中、文次郎が口を開く。
「……全員が揃ってからだ。」
「……………クソッ!」
俺の発言に文次郎が苛立ちを覚え、木に握り拳をぶつける。
だが今はまだ名前の帰還を願うしかできない。
チャキッ……
「くッ!」
『……男、どこの用心だ。』
「はっ、ははぁ、貴様女か。女の割には良い動きだな。」
恰幅の良い男の首筋に苦無を当てる。溢れ出る殺気に男がたじろぐがすぐに威勢を取り戻す。
城の関係者であろう肥えた男は苦無を構えた私を見て情けない声を出しながら部屋を後にし、今この空間にいるのは二人だけになった。
だが時間は無駄にできない。要件だけ確認する。
『………質問に答えろ。』
首筋に当てている苦無に力を入れると男の皮膚から僅かばかりの血が流れる。
『昔、とある地方の豪族を襲撃したな。』
「そ、それが何だ。」
『無駄口を叩くな。ーーという地方だ。記憶にあるだろう。』
苦無を押し当てると男は質問に対して首で頷き、返答される。
『………誰の差し金で皆殺しにした?』
その質問に男の動きが止まる。
「ぐふふっ………はっはっはっ!」
身体が震えたかと思えば男は盛大に笑い出す。
『何が可笑しい……』
苦無に力を入れても男に脅しが効かなくなっていた。
背中を向けた状態で男は話し始める。
「そういう事か、ぐははっ!貴様は誰かの仇討ちのつもりか。」
そう男が言うと苦無をあてていた腕を取られ投げ飛ばされる。室内の壁にぶつかりそうになった寸前で回転し着地する。
「そうだ!あの頃は儂も躍起になっていた歳でな。豪族を襲っては金品など奪い取っていたな。」
男はやれやれと言わんばかりに座り込む。
「名を名乗れ。」
『貴様に名乗る名などない。』
「仇討ちなど何も生まん。無駄な殺しだ。その背丈に声色の様子だと十半ばか。貴様が儂に勝てる訳ないわ。」
その言葉に鼻で笑う。
『復讐等ではない。』
「ほぉ?」
『私が貴様を仕留めたいからだ。』
思いもよらない返答に男は目を丸くし再び盛大に笑う。
男が笑う中、自身が冷静になっていくのが分かる。
今はまだいい。この十数年行方が分からなかった正体が判明したのだ。これで心置きなく追い詰める事ができる。
『貴様、命がないと思え。』
「待て待て。儂もお前に用がある。」
追い詰めた筈が周囲から刀を持った兵が湧き出てきて囲まれる。
「逃しはせん。」
男の一声で一斉に刀が斬りかかってくる。
振り下ろされる刀を苦無で受け止め、斬りかかってきた男の腹を突き刺す。苦無を抜き取ると血が飛び交い辺りが騒然とする。
『………殺す気なら殺されると思え。』
返り血で染まった姿に怖気ついたのか隙が生じる。
『全員お相手致そう。』
城内の騒ぎが更に大きくなる。名前と分かれてから気が遠くなる程の時間が経った。そんな気がする。
二人して黙って城内の様子を眺めていると闇に紛れ、こちらに疾風の如く駆け寄ってくる気配を感じる。
「文次郎。」
「あぁ。」
互いに袋槍と鉄双節棍で臨戦態勢をとると名前の姿が現れる。
「名前!無事か!」
『待たせた、二人共。』
「お前………」
鉄の匂いが漂う。見ると名前の装束の一部が血で染まっている。その姿に驚いていると文次郎が名前に詰め寄り乱暴な言葉をかける。
「勝手な事をしやがって!ふざけるな!」
『………………』
「やめろって「何とか言え!!!」
そのまま掴みかかろうとすると文次郎が反転する。
驚いて反応できない文次郎を名前が冷淡な目で蔑むように見下ろす。感情を押し殺し、味方にぶつける初めての名前の姿に息が止まる。
そっと名前が腕を離し立ち上がると懐から密書を取り出す。
『密書は回収した。これで実習は問題ない。』
「………あぁ。」
『今回の件は包み隠さず報告する。』
「…………」
『………巻き込んでごめんなさい。』
「名前………」
その姿は先程までの様子とは違い、儚くて脆く崩れ落ちそうな姿だった。
ドンッツ!
「なんで名前を行かせた!!!」
文次郎に胸倉を掴まれ壁に押し付けられる。
名前と分かれた後、城内の騒ぎに紛れ囮役であった文次郎と合流でき、詳細を話すと文次郎が怒りをあらわにする。
「俺だって行かせたくなかった!」
胸倉を掴んでいる文次郎の腕を振り払う。
すると俺の反応に文次郎が舌打ちをする。
駆け付けたいがこの騒ぎの中、更に事を大きくする訳には行かない。
「……取り敢えず報告だ。」
重苦しい雰囲気の中、文次郎が口を開く。
「……全員が揃ってからだ。」
「……………クソッ!」
俺の発言に文次郎が苛立ちを覚え、木に握り拳をぶつける。
だが今はまだ名前の帰還を願うしかできない。
チャキッ……
「くッ!」
『……男、どこの用心だ。』
「はっ、ははぁ、貴様女か。女の割には良い動きだな。」
恰幅の良い男の首筋に苦無を当てる。溢れ出る殺気に男がたじろぐがすぐに威勢を取り戻す。
城の関係者であろう肥えた男は苦無を構えた私を見て情けない声を出しながら部屋を後にし、今この空間にいるのは二人だけになった。
だが時間は無駄にできない。要件だけ確認する。
『………質問に答えろ。』
首筋に当てている苦無に力を入れると男の皮膚から僅かばかりの血が流れる。
『昔、とある地方の豪族を襲撃したな。』
「そ、それが何だ。」
『無駄口を叩くな。ーーという地方だ。記憶にあるだろう。』
苦無を押し当てると男は質問に対して首で頷き、返答される。
『………誰の差し金で皆殺しにした?』
その質問に男の動きが止まる。
「ぐふふっ………はっはっはっ!」
身体が震えたかと思えば男は盛大に笑い出す。
『何が可笑しい……』
苦無に力を入れても男に脅しが効かなくなっていた。
背中を向けた状態で男は話し始める。
「そういう事か、ぐははっ!貴様は誰かの仇討ちのつもりか。」
そう男が言うと苦無をあてていた腕を取られ投げ飛ばされる。室内の壁にぶつかりそうになった寸前で回転し着地する。
「そうだ!あの頃は儂も躍起になっていた歳でな。豪族を襲っては金品など奪い取っていたな。」
男はやれやれと言わんばかりに座り込む。
「名を名乗れ。」
『貴様に名乗る名などない。』
「仇討ちなど何も生まん。無駄な殺しだ。その背丈に声色の様子だと十半ばか。貴様が儂に勝てる訳ないわ。」
その言葉に鼻で笑う。
『復讐等ではない。』
「ほぉ?」
『私が貴様を仕留めたいからだ。』
思いもよらない返答に男は目を丸くし再び盛大に笑う。
男が笑う中、自身が冷静になっていくのが分かる。
今はまだいい。この十数年行方が分からなかった正体が判明したのだ。これで心置きなく追い詰める事ができる。
『貴様、命がないと思え。』
「待て待て。儂もお前に用がある。」
追い詰めた筈が周囲から刀を持った兵が湧き出てきて囲まれる。
「逃しはせん。」
男の一声で一斉に刀が斬りかかってくる。
振り下ろされる刀を苦無で受け止め、斬りかかってきた男の腹を突き刺す。苦無を抜き取ると血が飛び交い辺りが騒然とする。
『………殺す気なら殺されると思え。』
返り血で染まった姿に怖気ついたのか隙が生じる。
『全員お相手致そう。』
城内の騒ぎが更に大きくなる。名前と分かれてから気が遠くなる程の時間が経った。そんな気がする。
二人して黙って城内の様子を眺めていると闇に紛れ、こちらに疾風の如く駆け寄ってくる気配を感じる。
「文次郎。」
「あぁ。」
互いに袋槍と鉄双節棍で臨戦態勢をとると名前の姿が現れる。
「名前!無事か!」
『待たせた、二人共。』
「お前………」
鉄の匂いが漂う。見ると名前の装束の一部が血で染まっている。その姿に驚いていると文次郎が名前に詰め寄り乱暴な言葉をかける。
「勝手な事をしやがって!ふざけるな!」
『………………』
「やめろって「何とか言え!!!」
そのまま掴みかかろうとすると文次郎が反転する。
驚いて反応できない文次郎を名前が冷淡な目で蔑むように見下ろす。感情を押し殺し、味方にぶつける初めての名前の姿に息が止まる。
そっと名前が腕を離し立ち上がると懐から密書を取り出す。
『密書は回収した。これで実習は問題ない。』
「………あぁ。」
『今回の件は包み隠さず報告する。』
「…………」
『………巻き込んでごめんなさい。』
「名前………」
その姿は先程までの様子とは違い、儚くて脆く崩れ落ちそうな姿だった。