哲学しようよ
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夕飯は彼が作ると言って
台所に立ってくれていたのだが、
さっきのこともあり、
何となく同じ空間でじっとしているの
は少し居心地が悪い。
しかし、そわそわしていることに気づかれたくないので、
私はじっとクッションを抱えてベットに座りこむ。
彼はというと、
気まずいの「き」の字も見えないぐらい
ひょうひょうと何やら作っている。
けれどこうしてじっとしていると、
やはりさっきのことを考えてしまう。
さっきのこと、
あれは確実にキスをしようとしたんだ。
彼も私も、ほぼ同時。
きっと、そうだ。
頭の中で映像を繰り回して目の前の彼とリンクさせようとするが、
呑気に野菜なんか炒めてる彼とはどうも一致しない。
「嵐、醤油どこか。」
「え、あ、戸棚の奥です。」
私は弾かれたように返答する。
こうしてもぞもぞと下の戸棚にしゃがんで
醤油など探している彼をみると
なんだか自信がなくなってくる。
いや現実だ、確実に私達は‥。
「どこか。」
「えっと、その奥、小麦粉の隣。」
「お、あた。」
‥現実‥だった筈だ。
「何ぶつくさしてるか。」
彼が目の前の具材からは目を離さずに私に聞く。
こいつ、目が横にも後ろにもついてるんじゃないだろうか。
私が黙っていると彼は続ける。
「それにお前、最近変ね。」
そう言いながらも料理をする手を彼は止めない。
器用だな。
なんというか、ソツがない。
ソツがないくせに、失礼で臆病だ。
「おい。」
「へ。」
「ほらやぱり変ね。何故か。」
「‥。」
何故って‥。
私が変な理由。
それは私が一番分かっている。
あの女の子が彼と話していた時から、
あの歌が授業に出てきてから、
それとももっとずっと前から。
確かに私は変だ。
それもこれも多分
“さっき”ようやく分かったのだ。
だけど、それを言うと“さっき”何をしたか、2人が何をしようとしたかに確実に触れてしまうはずなので切り出したくはなかった。
心の整理が追いついていない。
彼がどう思っているのかはさておいて。
そうこうしていると皿を両手にして彼が目の前にやってきた。
早く出来たなぁと思ったら「今日は手抜きパスタ」なのだそうだ。
「‥美味しそう。」
「喰え。」
彼はそれ以上追求するのを諦めたようで机の上にそれらを置いて向こう側に座った。
「いただきます。」
フォークを持ちながら手を合わせる。
あり合わせでいろんな具材が入った和風パスタだ。
空きっ腹には耐え難い匂いが鼻をくすぐる。
ここのところ、ほぼ毎日彼とご飯を食べていたのに、
何故だか今日はとても久しぶりのような気がする。
「久しぶりね。」
彼がそう言ったので驚いた。
「何がですか?」
「パスタ。」
涼しい顔で即答された。
なんだパスタか、そう言われればそうだ。
と半分納得半分落胆する。
私の顔を見て、ニヤリと意地悪そうに笑う彼の目を見て全て分かった。
彼は全部分かっているのだ。
「‥性悪。」
そういうと今度は息を漏らしてフッと笑った。
そうしてから一息つき、彼は切り出す。
「お前、ここのところ変だた。」
その口調は数分前の詰問するような言い方とは違い、少しため息が混じって柔らかく、小さく聞こえた。
それは、学生時代の昔を思い出して恥ずかしがる大人みたいに思えたし、
それから母親が子供に対して怒るのをやめた後言う台詞のようにも聞こえた。
「そうでしょうか。」
それでも私は一応とぼける。
「そうね、今日なんて特に変だた。」
彼は器用にパスタを巻きつけながら言う。
彼の食べ方は本当に綺麗だ。
「今日って、そんなのそっちだって‥」
と言いながらしまったと思った。
まともに顔を見れずに下を向く。
自分で地雷を踏みに行くなんて本当に私は馬鹿だ。
「‥そね。」
頭の上の方でそう声が聞こえ、ハッとする。
絶対茶化されると思ったのに何故か納得され、そこで話は終わった。
2人で黙々とご飯を食べる。
‥気まずい。
こうなりたくなかったから言わなかったのに。
彼も何か言ってくれればいい。
いつもの得意のはぐらし方で
こんなこと全て無かったことにしてくれてもいいのに。
‥いや、嫌だな。
それはやっぱり少し嫌だ。
そう思いながら2人で黙って咀嚼する。
台所に立ってくれていたのだが、
さっきのこともあり、
何となく同じ空間でじっとしているの
は少し居心地が悪い。
しかし、そわそわしていることに気づかれたくないので、
私はじっとクッションを抱えてベットに座りこむ。
彼はというと、
気まずいの「き」の字も見えないぐらい
ひょうひょうと何やら作っている。
けれどこうしてじっとしていると、
やはりさっきのことを考えてしまう。
さっきのこと、
あれは確実にキスをしようとしたんだ。
彼も私も、ほぼ同時。
きっと、そうだ。
頭の中で映像を繰り回して目の前の彼とリンクさせようとするが、
呑気に野菜なんか炒めてる彼とはどうも一致しない。
「嵐、醤油どこか。」
「え、あ、戸棚の奥です。」
私は弾かれたように返答する。
こうしてもぞもぞと下の戸棚にしゃがんで
醤油など探している彼をみると
なんだか自信がなくなってくる。
いや現実だ、確実に私達は‥。
「どこか。」
「えっと、その奥、小麦粉の隣。」
「お、あた。」
‥現実‥だった筈だ。
「何ぶつくさしてるか。」
彼が目の前の具材からは目を離さずに私に聞く。
こいつ、目が横にも後ろにもついてるんじゃないだろうか。
私が黙っていると彼は続ける。
「それにお前、最近変ね。」
そう言いながらも料理をする手を彼は止めない。
器用だな。
なんというか、ソツがない。
ソツがないくせに、失礼で臆病だ。
「おい。」
「へ。」
「ほらやぱり変ね。何故か。」
「‥。」
何故って‥。
私が変な理由。
それは私が一番分かっている。
あの女の子が彼と話していた時から、
あの歌が授業に出てきてから、
それとももっとずっと前から。
確かに私は変だ。
それもこれも多分
“さっき”ようやく分かったのだ。
だけど、それを言うと“さっき”何をしたか、2人が何をしようとしたかに確実に触れてしまうはずなので切り出したくはなかった。
心の整理が追いついていない。
彼がどう思っているのかはさておいて。
そうこうしていると皿を両手にして彼が目の前にやってきた。
早く出来たなぁと思ったら「今日は手抜きパスタ」なのだそうだ。
「‥美味しそう。」
「喰え。」
彼はそれ以上追求するのを諦めたようで机の上にそれらを置いて向こう側に座った。
「いただきます。」
フォークを持ちながら手を合わせる。
あり合わせでいろんな具材が入った和風パスタだ。
空きっ腹には耐え難い匂いが鼻をくすぐる。
ここのところ、ほぼ毎日彼とご飯を食べていたのに、
何故だか今日はとても久しぶりのような気がする。
「久しぶりね。」
彼がそう言ったので驚いた。
「何がですか?」
「パスタ。」
涼しい顔で即答された。
なんだパスタか、そう言われればそうだ。
と半分納得半分落胆する。
私の顔を見て、ニヤリと意地悪そうに笑う彼の目を見て全て分かった。
彼は全部分かっているのだ。
「‥性悪。」
そういうと今度は息を漏らしてフッと笑った。
そうしてから一息つき、彼は切り出す。
「お前、ここのところ変だた。」
その口調は数分前の詰問するような言い方とは違い、少しため息が混じって柔らかく、小さく聞こえた。
それは、学生時代の昔を思い出して恥ずかしがる大人みたいに思えたし、
それから母親が子供に対して怒るのをやめた後言う台詞のようにも聞こえた。
「そうでしょうか。」
それでも私は一応とぼける。
「そうね、今日なんて特に変だた。」
彼は器用にパスタを巻きつけながら言う。
彼の食べ方は本当に綺麗だ。
「今日って、そんなのそっちだって‥」
と言いながらしまったと思った。
まともに顔を見れずに下を向く。
自分で地雷を踏みに行くなんて本当に私は馬鹿だ。
「‥そね。」
頭の上の方でそう声が聞こえ、ハッとする。
絶対茶化されると思ったのに何故か納得され、そこで話は終わった。
2人で黙々とご飯を食べる。
‥気まずい。
こうなりたくなかったから言わなかったのに。
彼も何か言ってくれればいい。
いつもの得意のはぐらし方で
こんなこと全て無かったことにしてくれてもいいのに。
‥いや、嫌だな。
それはやっぱり少し嫌だ。
そう思いながら2人で黙って咀嚼する。