振り子だとしても
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それまでの色んな感情がいっぺんに押し寄せて、
私はたくさんたくさん泣いた。
今までどうすればいいのか分からないまま
時間が過ぎて、
溜まっていた何かが
一気に流れ出たような感じだった。
その間、彼は黙ったまま私を抱き締めた。
ギュッと音がしそうな程強く、
しかし、たどたどしい彼の腕の力。
彼の匂い、彼の感触。
そこであの夜のことがよみがえる。
抱き締められた私、腕を伸ばさなかった私。
また彼に手を伸ばさずに
この時が過ぎてしまうのだろうか。
また明確な距離に悩まされて、
近づいたり離れたりしなければならないのだろうか。
私はどうしたいのか、
ボーッとする頭を振り切って考えようとする。
考えろ考えろ。
私は何がしたいんだ。
頭をこねくり回している最中、
彼が私から離れようとした。
その時、
理屈ではなく先に手が動いていた。
さっきとは逆に、私が彼をたぐり寄せ、
背中に手を回した。
そうすると、
彼の感触をもっと身近に感じた気になって
心とお腹の下あたりがギューっと
押しつぶされそうな感覚になった。
彼は今驚いている。
そうして怯えている。
彼の顔は見えない。
声も聞こえない。
しかし、彼の周りにまとっている空気がこんなにも近いと、
何を考えているかだいたいのことは分かった。
それから私は背中に回した手を強めた。
“離れないで”
そう思ったから。
意味など知らない。
「‥嵐」
彼が久しぶりに私の名前を呼んだ時、
私は全然驚かなかった。
ただ単に、
そこに有るようもののように感じた。
彼が今、
私の名前を呼ぶのは決して不思議なことではない
今このタイミング、この状況で
彼が私の名前を呼んだ。
ただそれだけのこと。
しかし、ただそれだけのことで
私はいっぺんに満たされた気持ちになってしまった。
馬鹿げている。
そう思いもしたけど。
それよりも私のもっと奥の方は
このままでいたいと言っていた。
何も分からない。
けれど、すごく腑に落ちた。
私はたくさんたくさん泣いた。
今までどうすればいいのか分からないまま
時間が過ぎて、
溜まっていた何かが
一気に流れ出たような感じだった。
その間、彼は黙ったまま私を抱き締めた。
ギュッと音がしそうな程強く、
しかし、たどたどしい彼の腕の力。
彼の匂い、彼の感触。
そこであの夜のことがよみがえる。
抱き締められた私、腕を伸ばさなかった私。
また彼に手を伸ばさずに
この時が過ぎてしまうのだろうか。
また明確な距離に悩まされて、
近づいたり離れたりしなければならないのだろうか。
私はどうしたいのか、
ボーッとする頭を振り切って考えようとする。
考えろ考えろ。
私は何がしたいんだ。
頭をこねくり回している最中、
彼が私から離れようとした。
その時、
理屈ではなく先に手が動いていた。
さっきとは逆に、私が彼をたぐり寄せ、
背中に手を回した。
そうすると、
彼の感触をもっと身近に感じた気になって
心とお腹の下あたりがギューっと
押しつぶされそうな感覚になった。
彼は今驚いている。
そうして怯えている。
彼の顔は見えない。
声も聞こえない。
しかし、彼の周りにまとっている空気がこんなにも近いと、
何を考えているかだいたいのことは分かった。
それから私は背中に回した手を強めた。
“離れないで”
そう思ったから。
意味など知らない。
「‥嵐」
彼が久しぶりに私の名前を呼んだ時、
私は全然驚かなかった。
ただ単に、
そこに有るようもののように感じた。
彼が今、
私の名前を呼ぶのは決して不思議なことではない
今このタイミング、この状況で
彼が私の名前を呼んだ。
ただそれだけのこと。
しかし、ただそれだけのことで
私はいっぺんに満たされた気持ちになってしまった。
馬鹿げている。
そう思いもしたけど。
それよりも私のもっと奥の方は
このままでいたいと言っていた。
何も分からない。
けれど、すごく腑に落ちた。