狂わす調子
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今日はこないだの続き。
孔子について。
巧言令色、覚えてるな。」
「はい。」
「まず、著名な思想家が登場するのは、
その時代背景に大きく関わりがあるからね。
ここから歴史の勉強。
孔子が生まれたのは紀元前551、2年て言われてる。
ソクラテスより約90年、
キリストより約500年も前。」
「そんなに昔なんですね。」
私は典型的な仙人の顔を思い浮かべる。
絶対違うけど。
酔っているのかもしれない。
「そのころの中国は周王朝てやつが衰えて、
諸侯が覇権を争っていた春秋戦国時代。
その末期に現れたのが孔子。
ま、難しい時代に生まれちまたてことだな。
そんな乱世の時代にこそ思想の中心が必要だと
孔子は考えたね。」
要所要所を噛み下しながら彼は話す。
「まずは“仁”(じん)
他人に対しての思いやりのことね。
これがないから、
争いは起こると考えたわけだな。
じゃ、“仁 ”とは何か。」
そう言いながら残りの牛タンを5つ
焼き始めた。
「親や兄に尽くす孝悌(こうてい)
私利私欲を抑える克己(こっき)
他人を思いやる恕(じょ)
人を騙さない信(しん)
自分に忠実な心忠(ちゅう)
この5つが“仁 ”ね。」
肉で例えるな、肉で。
「で、“仁 ”が外面に現れたものを
“礼”(れい)て言て、
これが出来る奴こそが
為政者にふさわしいと考えた。
ま、そんなもん、
全部出来る人間がどのぐらいいるのか
知りたいもんね。」
彼は5つの肉切れをひっくり返した。
こなれた筈のお腹がまた鳴りそうになる。
「ま、大事なのは鵜呑みにしないことね。
言葉は難しい。
そのまま取るのはただの馬鹿ね。
自分が選ぶね。何が正しくて何相応しいか。」
「何が正しくて、相応しいか。」
前もそんなこと言っていたな。
それから肉を焼き上がった順に食べて行く。
彼が例えながら焼いたものだから、
無駄に意識してしまう。
彼が“孝悌 ”に塩を振りかけまくって
食べている。
案の定、「しょぱい」言ってと顔を歪めた。
私は“克己 ”をチシャとキムチで食べた。
言葉に似合わず、パンチが効いた味だった。
食べながら、
私は当初に思っていたことを聞く。
「今日はなんでまた焼肉なんですか。
そんなにお肉、食べたかったんですか。
しかも七輪て。」
「ん。なんとなく。金入たし。」
また言葉足らずだ。
もういいけど。
そうして発泡酒を口にする。
彼の周りには空いた缶が
すでに三つばかり転がっているのに
その顔は赤くも青くもなく、
一つも酔ってないように見える。
いつまで。
と私は思った。
私達はいつまでこうしているんだろうか。
きっと講義が終わるまでだ。
当たり前のことだけど、
やっぱり少し、つまらないと思う。
人と食べるご飯って、
こんなに美味しいものだったんだな。
一人では絶対気づかなかった。
講義が終わった時、
私はどうしたらいいんだろう。
いや、今まで通り、
普通に暮らしてけばいいじゃないか。
でも、普通とは何なのだろう。
「あ、最後のお肉!」
「ハハ、のろま。」
“心忠 ”と置き換えた
その一切れを
彼は大きな口で食べてしまった。
孔子について。
巧言令色、覚えてるな。」
「はい。」
「まず、著名な思想家が登場するのは、
その時代背景に大きく関わりがあるからね。
ここから歴史の勉強。
孔子が生まれたのは紀元前551、2年て言われてる。
ソクラテスより約90年、
キリストより約500年も前。」
「そんなに昔なんですね。」
私は典型的な仙人の顔を思い浮かべる。
絶対違うけど。
酔っているのかもしれない。
「そのころの中国は周王朝てやつが衰えて、
諸侯が覇権を争っていた春秋戦国時代。
その末期に現れたのが孔子。
ま、難しい時代に生まれちまたてことだな。
そんな乱世の時代にこそ思想の中心が必要だと
孔子は考えたね。」
要所要所を噛み下しながら彼は話す。
「まずは“仁”(じん)
他人に対しての思いやりのことね。
これがないから、
争いは起こると考えたわけだな。
じゃ、“
そう言いながら残りの牛タンを5つ
焼き始めた。
「親や兄に尽くす孝悌(こうてい)
私利私欲を抑える克己(こっき)
他人を思いやる恕(じょ)
人を騙さない信(しん)
自分に忠実な心忠(ちゅう)
この5つが“
肉で例えるな、肉で。
「で、“
“礼”(れい)て言て、
これが出来る奴こそが
為政者にふさわしいと考えた。
ま、そんなもん、
全部出来る人間がどのぐらいいるのか
知りたいもんね。」
彼は5つの肉切れをひっくり返した。
こなれた筈のお腹がまた鳴りそうになる。
「ま、大事なのは鵜呑みにしないことね。
言葉は難しい。
そのまま取るのはただの馬鹿ね。
自分が選ぶね。何が正しくて何相応しいか。」
「何が正しくて、相応しいか。」
前もそんなこと言っていたな。
それから肉を焼き上がった順に食べて行く。
彼が例えながら焼いたものだから、
無駄に意識してしまう。
彼が“
食べている。
案の定、「しょぱい」言ってと顔を歪めた。
私は“
言葉に似合わず、パンチが効いた味だった。
食べながら、
私は当初に思っていたことを聞く。
「今日はなんでまた焼肉なんですか。
そんなにお肉、食べたかったんですか。
しかも七輪て。」
「ん。なんとなく。金入たし。」
また言葉足らずだ。
もういいけど。
そうして発泡酒を口にする。
彼の周りには空いた缶が
すでに三つばかり転がっているのに
その顔は赤くも青くもなく、
一つも酔ってないように見える。
いつまで。
と私は思った。
私達はいつまでこうしているんだろうか。
きっと講義が終わるまでだ。
当たり前のことだけど、
やっぱり少し、つまらないと思う。
人と食べるご飯って、
こんなに美味しいものだったんだな。
一人では絶対気づかなかった。
講義が終わった時、
私はどうしたらいいんだろう。
いや、今まで通り、
普通に暮らしてけばいいじゃないか。
でも、普通とは何なのだろう。
「あ、最後のお肉!」
「ハハ、のろま。」
“
その一切れを
彼は大きな口で食べてしまった。