逡巡
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彼が部屋を出て、私は一人きりになる。
急に孤独が押し寄せてきて心細くなった。
彼の部屋が寒くて静かに思えるのは、
生活臭があまりしない為だろう。
それでも本しかなかったこの部屋に、
布団とストーブが追加され
前よりは部屋らしい部屋になった。
それぞれの梱包を解き、
布団を敷いて、
ストーブのコンセントをプラグに刺す。
「ふぅ。」
ストーブのスイッチを押して一息つく。
何もすることがないので、
とりあえず辺りを見渡してみる。
何度か訪れている彼の部屋だが、
その都度何かハプニングが起こるので、
意識して見ることはなかった。
茶色く日焼けした本。
随分年季が入っているものばかりだ。
彼の母国語で書かれているとなんとなく予想していたが、
それらは全て日本語で書かれていた。
平積みになった本を1つ手に取る。
「心理の真理」と書かれた本。
そのまま二段目の本に目を向ける
これは「感情と理性」
ふーん。
手に取った本を元の位置に戻し、
他の本も眺めてみる。
私が見た限り、この部屋中の本は、皆一様に人の心について書かれているものらしかった。
「‥勉強熱心‥かな。」
仕事が仕事なだけに、
別に不自然ではないのかもしれない。
だが、この空っぽの部屋に埋め尽くされた本達に、少し違和感を感じた。
何かを必死で求めているような。
そして、何かに囚われているような。
そう思うのは多分、
この部屋が何にもないせいだからで、
それも自分が考えすぎなんだと結論づけた。
彼のことが少しづつ分かるようになってから、
私は彼の過去を想像しすぎてしまっている。
そんなに心配することはない。
彼もいい大人だ。
仕事をしながら毎日を送り、
私よりしっかり逞しく生きているではないか。
そう言い聞かせてみても
あの言葉や涙は幾度となく思い起こされ、
私を取り留めもなくしてしまう。
“子供は勝手に逞しくなるね。”
彼は、勝手に逞しくなったのだろうか。
もう考えるのはよそうと
部屋の灯りとストーブを消し、
敷いた布団に少しためらいつつ寝転んだ。
急に孤独が押し寄せてきて心細くなった。
彼の部屋が寒くて静かに思えるのは、
生活臭があまりしない為だろう。
それでも本しかなかったこの部屋に、
布団とストーブが追加され
前よりは部屋らしい部屋になった。
それぞれの梱包を解き、
布団を敷いて、
ストーブのコンセントをプラグに刺す。
「ふぅ。」
ストーブのスイッチを押して一息つく。
何もすることがないので、
とりあえず辺りを見渡してみる。
何度か訪れている彼の部屋だが、
その都度何かハプニングが起こるので、
意識して見ることはなかった。
茶色く日焼けした本。
随分年季が入っているものばかりだ。
彼の母国語で書かれているとなんとなく予想していたが、
それらは全て日本語で書かれていた。
平積みになった本を1つ手に取る。
「心理の真理」と書かれた本。
そのまま二段目の本に目を向ける
これは「感情と理性」
ふーん。
手に取った本を元の位置に戻し、
他の本も眺めてみる。
私が見た限り、この部屋中の本は、皆一様に人の心について書かれているものらしかった。
「‥勉強熱心‥かな。」
仕事が仕事なだけに、
別に不自然ではないのかもしれない。
だが、この空っぽの部屋に埋め尽くされた本達に、少し違和感を感じた。
何かを必死で求めているような。
そして、何かに囚われているような。
そう思うのは多分、
この部屋が何にもないせいだからで、
それも自分が考えすぎなんだと結論づけた。
彼のことが少しづつ分かるようになってから、
私は彼の過去を想像しすぎてしまっている。
そんなに心配することはない。
彼もいい大人だ。
仕事をしながら毎日を送り、
私よりしっかり逞しく生きているではないか。
そう言い聞かせてみても
あの言葉や涙は幾度となく思い起こされ、
私を取り留めもなくしてしまう。
“子供は勝手に逞しくなるね。”
彼は、勝手に逞しくなったのだろうか。
もう考えるのはよそうと
部屋の灯りとストーブを消し、
敷いた布団に少しためらいつつ寝転んだ。