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「さむ。」
外に出ると、日はもうすっかり暮れており、
寒さも厳しくなっていた。
「布団、本当に要らなかたのか。」
「ええ、勿体無いですし。
今日は1日なんとかします。」
電気ストーブ、お得な布団シングルセットをトランクに詰めて車に乗り込む。
「疲れた。飯食いに行くね。」
「そういえばお腹空きました。」
朝から何にも食べていないことに気づき、
途端に腹の虫が鳴き出した。
「ハハ、いい音。」
「生理現象なんだから、笑わなくたって。」
窓の外には、店の明かりがチラチラと踊る。
「あの‥さっきはすみませんでした。
何か偉そうなことを言ってしまって。」
「別にいいね。ワタシもまだまだね。」
「え?」
「子供、どうしていいか分からない。
家族とか、そういうのは分からないね。」
そうか、彼は結構複雑なのだ。
詳しいことはわからないが、施設暮らしと言っていたから、多分そういうことなんだろう。
ただ弱々しくいう彼に、
私はやっぱり、ありきたりな言葉しか浮かんでこない。
「‥これから分かればいいんですよ。」
言った後に後悔した。
けど他に、何を言えばよかったのだろう。
そんな私に彼は言った。
「それ、口説いてるか。」
私は今、別の意味で後悔した。
「‥違います。」
「ハハ、意外と嵐は大胆ね。
そういえば今日も押し倒されたな。」
「だからそういう意味ではないです!
断じて!」
何時間前のことまで蒸し返されて、
私はまた赤くなっているんだろう。
「これからね。よく分かた。
布団、1組なのはそういうわけか。」
あくまで私をからかうつもりだ。
「だから!」
「成る程な。」
もう何も言うまい。
窓に顔を向け黙り込む。
数分間沈黙が訪れ、それからポツリと彼は言った。
「嘘ね。家族はいないが、
世話になた奴ぐらいはいた。」
その声に振り向くと、やわらかい、
けれどやっぱり悲しい顔で彼は前を向いていた。
「どんな方なんですか。」
彼の過去が垣間見えた気がして、
身体が少し強張る。
「ハハ、ウブな奴には教えない。」
「またそうやって‥。」
誤魔化すのだ。
少し分かっていたけれど。
「そか、嵐は大胆だたね。」
「‥もういいです。」
こうなるともう話にはならない。
私もちゃんと学習した。
そしてそれを無理に聞こうと思う程、
私達の距離は近くない。
でも、ただのお隣りさんとはもう、
言い切れないような気もしている。
では、どういう関係なのか。
そう問えば、
また振り出しに戻るのだけれど。
似たような景色が色だけ変えて
私の前を通り過ぎる。
「で、この先何があるか。」
彼の一言に脱力する。
「またですか‥。」
空かせたお腹を抱えたまま、
私達はまた右に左に迷って走る。
「だから、今の左折!左!」
「嵐の今は今じゃないね。」
こちらも振り出しに戻りそうだ。
外に出ると、日はもうすっかり暮れており、
寒さも厳しくなっていた。
「布団、本当に要らなかたのか。」
「ええ、勿体無いですし。
今日は1日なんとかします。」
電気ストーブ、お得な布団シングルセットをトランクに詰めて車に乗り込む。
「疲れた。飯食いに行くね。」
「そういえばお腹空きました。」
朝から何にも食べていないことに気づき、
途端に腹の虫が鳴き出した。
「ハハ、いい音。」
「生理現象なんだから、笑わなくたって。」
窓の外には、店の明かりがチラチラと踊る。
「あの‥さっきはすみませんでした。
何か偉そうなことを言ってしまって。」
「別にいいね。ワタシもまだまだね。」
「え?」
「子供、どうしていいか分からない。
家族とか、そういうのは分からないね。」
そうか、彼は結構複雑なのだ。
詳しいことはわからないが、施設暮らしと言っていたから、多分そういうことなんだろう。
ただ弱々しくいう彼に、
私はやっぱり、ありきたりな言葉しか浮かんでこない。
「‥これから分かればいいんですよ。」
言った後に後悔した。
けど他に、何を言えばよかったのだろう。
そんな私に彼は言った。
「それ、口説いてるか。」
私は今、別の意味で後悔した。
「‥違います。」
「ハハ、意外と嵐は大胆ね。
そういえば今日も押し倒されたな。」
「だからそういう意味ではないです!
断じて!」
何時間前のことまで蒸し返されて、
私はまた赤くなっているんだろう。
「これからね。よく分かた。
布団、1組なのはそういうわけか。」
あくまで私をからかうつもりだ。
「だから!」
「成る程な。」
もう何も言うまい。
窓に顔を向け黙り込む。
数分間沈黙が訪れ、それからポツリと彼は言った。
「嘘ね。家族はいないが、
世話になた奴ぐらいはいた。」
その声に振り向くと、やわらかい、
けれどやっぱり悲しい顔で彼は前を向いていた。
「どんな方なんですか。」
彼の過去が垣間見えた気がして、
身体が少し強張る。
「ハハ、ウブな奴には教えない。」
「またそうやって‥。」
誤魔化すのだ。
少し分かっていたけれど。
「そか、嵐は大胆だたね。」
「‥もういいです。」
こうなるともう話にはならない。
私もちゃんと学習した。
そしてそれを無理に聞こうと思う程、
私達の距離は近くない。
でも、ただのお隣りさんとはもう、
言い切れないような気もしている。
では、どういう関係なのか。
そう問えば、
また振り出しに戻るのだけれど。
似たような景色が色だけ変えて
私の前を通り過ぎる。
「で、この先何があるか。」
彼の一言に脱力する。
「またですか‥。」
空かせたお腹を抱えたまま、
私達はまた右に左に迷って走る。
「だから、今の左折!左!」
「嵐の今は今じゃないね。」
こちらも振り出しに戻りそうだ。