日光の猿
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朝になり、また目を覚ます。
最近冷え込んで来ているので辛いものもあるが頭だけは冴えている。
体を起こすと、彼はそこにはいなかった。
一体、いつも何時に起きて出ていくのか。
机を見ると、スーパーのチラシを裏にして、置手紙がしてあった。
「今日から仕事の締め切りでしばらく飯食えん
一人でもちゃんと食え」
だそうである。
こうして逐一報告してくるところは
一応律儀なんだか何なんだか。
「言われなくても食べますよ。」
いない彼にそう悪態をついてしまう。
しかし温かい気持ちがまたこみ上げる。
本日、授業は入れていない。
よって今日は休日だ。
家事を淡々とこなし、
それでもバイトの時間までまだまだ時間が余っている。
余暇はあの漫画を読む時間にあてる。
私にも楽しみというわけではないが、
何か趣味のような存在があるという感覚は
初めてなので純粋に嬉しい。
続きの巻を取り出して、すぐに本の世界へと入る。
仲間になった女の子が、主人公に恋心を抱いているかいないかで悩むシーンだ。
彼の一挙一動に嬉しくなったり悲しくなったりそれにまるで気づかない女の子がもどかしくて可愛らしい。
荒れ果てた廃墟をバッグに、
女の子が一人彼のことを思い出している。
「絶対、これ、好きに決まってるじゃん。」
私は温かいカフェオレを飲みながら
そう呟く。
“お前ぜってー惚れてるって”
不意に昨日のフィンクスさんの言葉が巡って、
漫画の女の子と重なってしまった。
「まさか。いや、漫画と現実は違うし‥。」
自分のそれは単に好奇心というか。
何か影のある彼を、
知りたいと思うのは当然のことというか。
そのまま漫画を読み進める。
その後は、女の子の恋心はとりあえず保留になり、復興反対のギャング団との抗争が始まる。
「悪役もかっこいんだよな。」
それぞれの思想と理想が交わり、
どちらが悪ともどちらが善ともはっきりとは言えない。
悪があるから善があり、
善があるから悪がある。
ギャング団にしてみれば、
この主人公こそが悪なのだ。
他のよくあるヒーロー漫画も、
もしかしたらそうなのかもしれない。
なんて、考え過ぎかもしれないけど。
しばらく読みふけり、
目が疲れてきたので本を閉じた。
「虚无(シィーウー)‥か。」
おそらく中国語で書かれたそれは、
どんな意味があるのだろう。
“ジーモー”
それに昨日のあの言葉、
あと、タバコを吸うときに彼は何か言っていたな。
何をしても結局、彼の謎へと行き着くのだ。
そして、それは何も解決されてはいない。
何気なく携帯を見ると、
いつの間にかバイトの時間が押し迫っていた。
「よし。」
私は力を込めて現実の世界に立ち向かう。
最近冷え込んで来ているので辛いものもあるが頭だけは冴えている。
体を起こすと、彼はそこにはいなかった。
一体、いつも何時に起きて出ていくのか。
机を見ると、スーパーのチラシを裏にして、置手紙がしてあった。
「今日から仕事の締め切りでしばらく飯食えん
一人でもちゃんと食え」
だそうである。
こうして逐一報告してくるところは
一応律儀なんだか何なんだか。
「言われなくても食べますよ。」
いない彼にそう悪態をついてしまう。
しかし温かい気持ちがまたこみ上げる。
本日、授業は入れていない。
よって今日は休日だ。
家事を淡々とこなし、
それでもバイトの時間までまだまだ時間が余っている。
余暇はあの漫画を読む時間にあてる。
私にも楽しみというわけではないが、
何か趣味のような存在があるという感覚は
初めてなので純粋に嬉しい。
続きの巻を取り出して、すぐに本の世界へと入る。
仲間になった女の子が、主人公に恋心を抱いているかいないかで悩むシーンだ。
彼の一挙一動に嬉しくなったり悲しくなったりそれにまるで気づかない女の子がもどかしくて可愛らしい。
荒れ果てた廃墟をバッグに、
女の子が一人彼のことを思い出している。
「絶対、これ、好きに決まってるじゃん。」
私は温かいカフェオレを飲みながら
そう呟く。
“お前ぜってー惚れてるって”
不意に昨日のフィンクスさんの言葉が巡って、
漫画の女の子と重なってしまった。
「まさか。いや、漫画と現実は違うし‥。」
自分のそれは単に好奇心というか。
何か影のある彼を、
知りたいと思うのは当然のことというか。
そのまま漫画を読み進める。
その後は、女の子の恋心はとりあえず保留になり、復興反対のギャング団との抗争が始まる。
「悪役もかっこいんだよな。」
それぞれの思想と理想が交わり、
どちらが悪ともどちらが善ともはっきりとは言えない。
悪があるから善があり、
善があるから悪がある。
ギャング団にしてみれば、
この主人公こそが悪なのだ。
他のよくあるヒーロー漫画も、
もしかしたらそうなのかもしれない。
なんて、考え過ぎかもしれないけど。
しばらく読みふけり、
目が疲れてきたので本を閉じた。
「虚无(シィーウー)‥か。」
おそらく中国語で書かれたそれは、
どんな意味があるのだろう。
“ジーモー”
それに昨日のあの言葉、
あと、タバコを吸うときに彼は何か言っていたな。
何をしても結局、彼の謎へと行き着くのだ。
そして、それは何も解決されてはいない。
何気なく携帯を見ると、
いつの間にかバイトの時間が押し迫っていた。
「よし。」
私は力を込めて現実の世界に立ち向かう。