知りたければ友を見よ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
銭湯から出て、
各々の帰る場所へと足を向ける。
男はここの近くに住んでいるらしい。
温かい室内を出て、冷たい風が頬に心地いい。
曲がり角に差し掛かり、
「じゃ、俺こっちだからよ。」
と言って手をあげる。
それを見て、彼は黙って片手をあげ、先にスタスタと歩き出した。
「あの、じゃあこれで。」
私も後を追おうと、とりあえず挨拶だけ早々に済ませる。
「あ、ちょっと待て。」
そう呼び止められて振り返る。
「なんでしょう。」
男はタバコの箱の蓋の部分に何か書き、それを私に手渡した。
「俺の番号。
あいつと喧嘩したらかけてこいよ。
飯ぐらい奢っちゃる。」
「はぁ。」
受け取ろうか迷っていると、彼が続けた。
「別に口説こうってんじゃねーよ。
なんかお前、おもしれぇーから。」
「おもしろいって‥。」
何だそれ。
私の手にそれを押し付け、それから最後にこう言った。
「あいつのこと、まじに頼むぜ。」
彼の顔は、今日見た表情の中で1番真剣な顔だった。
「‥はい。」
だから私も思わずそう言わずにはいられなかった。
「おし。んじゃまたな。」
後ろを向きながら片手を上げて左右に振った。
「何してるか。」
と遠くの方で彼の呼ぶ声がする。
私は弾かれたように彼の元へ寄る。
「のろまね。早く帰る。」
そう言って2人で歩き出す。
「いい人ですね。フィンクスさんは。」
彼のさっきの顔を思い出し、私は呟いた。
「何処がか。嵐は見る目ないね。」
と眉間に皺を寄せて言う。
「別に、そういう意味じゃありませんよ。
ていうかちゃんといるじゃないですか、友達。」
あのことを蒸し返してやることにした。
「お前、そんなことまで覚えてるか。
別にあいつ友達じゃないね。」
ますます顔を歪め出す。
「また、そんなこと言って。
ダメじゃないですか。」
あんなに気にかけてもらってるのにな。
それは言わないでおいたけど。
「惚れた女の気遣いか?」
と意地悪そうに彼は言った。
私はそれに唖然とする。
「まさか‥聞いてたんですか。」
「聞いてたかは知らんけど、
とりあえずこれだけは謝とくね。
女にだらしなくてどうもすまんね。」
そう言ってわざと悲しそうな顔をした。
「やっぱり全部聞いてるじゃないですか!」
そう言って彼に一撃食らわせようとしたら避けられた。
「ハハ、嵐もまだまだね。」
絶対違う。こんな男に惚れたりなんか。
そう思い、再びかました一撃も、
するりと容易に避けられた。
各々の帰る場所へと足を向ける。
男はここの近くに住んでいるらしい。
温かい室内を出て、冷たい風が頬に心地いい。
曲がり角に差し掛かり、
「じゃ、俺こっちだからよ。」
と言って手をあげる。
それを見て、彼は黙って片手をあげ、先にスタスタと歩き出した。
「あの、じゃあこれで。」
私も後を追おうと、とりあえず挨拶だけ早々に済ませる。
「あ、ちょっと待て。」
そう呼び止められて振り返る。
「なんでしょう。」
男はタバコの箱の蓋の部分に何か書き、それを私に手渡した。
「俺の番号。
あいつと喧嘩したらかけてこいよ。
飯ぐらい奢っちゃる。」
「はぁ。」
受け取ろうか迷っていると、彼が続けた。
「別に口説こうってんじゃねーよ。
なんかお前、おもしれぇーから。」
「おもしろいって‥。」
何だそれ。
私の手にそれを押し付け、それから最後にこう言った。
「あいつのこと、まじに頼むぜ。」
彼の顔は、今日見た表情の中で1番真剣な顔だった。
「‥はい。」
だから私も思わずそう言わずにはいられなかった。
「おし。んじゃまたな。」
後ろを向きながら片手を上げて左右に振った。
「何してるか。」
と遠くの方で彼の呼ぶ声がする。
私は弾かれたように彼の元へ寄る。
「のろまね。早く帰る。」
そう言って2人で歩き出す。
「いい人ですね。フィンクスさんは。」
彼のさっきの顔を思い出し、私は呟いた。
「何処がか。嵐は見る目ないね。」
と眉間に皺を寄せて言う。
「別に、そういう意味じゃありませんよ。
ていうかちゃんといるじゃないですか、友達。」
あのことを蒸し返してやることにした。
「お前、そんなことまで覚えてるか。
別にあいつ友達じゃないね。」
ますます顔を歪め出す。
「また、そんなこと言って。
ダメじゃないですか。」
あんなに気にかけてもらってるのにな。
それは言わないでおいたけど。
「惚れた女の気遣いか?」
と意地悪そうに彼は言った。
私はそれに唖然とする。
「まさか‥聞いてたんですか。」
「聞いてたかは知らんけど、
とりあえずこれだけは謝とくね。
女にだらしなくてどうもすまんね。」
そう言ってわざと悲しそうな顔をした。
「やっぱり全部聞いてるじゃないですか!」
そう言って彼に一撃食らわせようとしたら避けられた。
「ハハ、嵐もまだまだね。」
絶対違う。こんな男に惚れたりなんか。
そう思い、再びかました一撃も、
するりと容易に避けられた。