知りたければ友を見よ
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暖簾をくぐり、広間へと顔を出す。
私の予想は微妙に外れ、
そこには彼こそいないがあの男がソファーに座って漫画を読んでいた。
「お。お前も鳥 の行水 か?」
私に気づき顔を上げる。
「いえ。まぁ。」
と不明瞭に口を開け、少し離れたところに腰を落とす。
彼は読書をやめ、「タバコいいか?」
と聞いた。
「どうぞ。」というと、
「悪いな」といいながらポケットからそれを取り出し火をつけた。
ここが彼との違いだ。意外と男は礼儀正しい。
「で、ぶっちゃけ、お前らどうなんだ?」
と彼は私に言う。
その言い方は、「付き合っているのだろう」という肯定の意味ではなく、
「付き合ってはいないだろう」という否定の色合いを秘めていた。
「いえ‥何なんでしょう‥。」
大学での時のように、ただのアパートの住民だと言えばよかったのかもしれない、でも手の平の消すに消せない言葉がちらついた。
それを聞いて、何故か男は笑い出す。
「ははっ!!やっぱりな。」
そういってなんだか楽しそうだ。
「どういう意味でしょう。」
さっぱりわけが分からない。
「いや、悪りぃ笑って。
あいつ、またやってやがんだな。」
と言いながら、もう新しいタバコに火をつけていた。
その言葉の意味が気になって、男に尋ねた。
「またって、どういうことですか?」
彼は笑顔を持続させたまま、私の顔は見ずに壁かどこかを見つめて話し出した。
「いや、な。
あいつ女にだらしねぇから。」
「だらしない?好色ってことですか?」
どうもそうは見えないけれど。
でも、男の言い振りからして彼とは昔の知り合いのようだし、私の知らない彼の事情を知っているかもしれない。
「いや、そうじゃなくて。
なんつーかそのー。友達以上恋人未満?」
「はぁ。」
「いっつもそうだ。
誰かと“良い仲”になったと思ったら
急にそいつと音沙汰無くなるんだよ。
惚れた方は大変だよなぁ?」
と今度は私の方を向いて笑う。
何か意表を突かれたような気持ちになる。
それでも必死でそれを消し、言葉を返す。
「な。惚れてません。」
そんなわけない。寧ろ苦手に値する。
「ははっ。ぜってーそうだって。
あいつのこと知りてぇって顔に書いてあるぜ。」
「‥まさか。」
しかしそう言われてギクリとする。
あの涙や、歌、その他諸々、
気になっているのは事実だった。
「ま、別にどうでもいいけどよ。
あんま考えすぎねぇで突き進めや。」
と私の肩に手を置いた。
あくまで私が彼に惚れてるというていで話しを進める気らしい。
もやもやした心を抱え、
この人はどこまで彼のことを知っているのだろうと興味をもつ。
「あの‥彼とはその。」
それだけ言うと、
男は意味がわかったらしくそれに答えた。
「あいつがこっち来てからの
知り合いってだけだ。
だからよく知らねぇ。
でも付き合いは長いぜ。
だから言えることなんだけどよ。」
そこまで言いかけてもう3本目のタバコを吸い、
息を吐く。
「あいつは歪んでる。って俺も相当だけど。
だからわかんだよ。あいつも俺も、
心のネジが足りねんだ。」
そう言った彼の顔は、
暗くも悲しくもなく、むしろ優しそうに見えた。
「歪んでる‥。」
どういうことかは分からないが、
その言葉は不思議と
真っ直ぐ私の心に入ってきた。
「まーな。でもあいつも変わったか。」
モクモクと煙が上がり、周りが白くなる。
「丸くなったっつーか。
それにあいつ、妬いてたしな。」
ニヤリと笑い、
何故かとても嬉しそうな顔をする。
「妬いてた?」
「ほら、覚えてねーか。握手だよ。
あいつ遮りやがって。前の女もその前も、
俺と飲みに行こうが何しようが
知らぬ存ぜぬって顔してやがったのに。」
「はぁ。」
何しようがって何だ。
引っかかったが黙っていた。
「ま、いい傾向かもな。
あいつにも普通の男の感情があったとは。
あいつもまんざらでもないんじゃね?
だからまぁ、ほれ。お前も頑張れよ。」
「だから‥‥。」
「はは。もしかしたらいけっかもな。
まぁもちっと可愛げあればなぁ。」
そう言われてカチンとくる。
彼に言われた言葉と同じだ。
「余計なお世話です!」
そう叫ぶと後ろで見知った声がした。
「ハハ、どうね、世話の焼ける女だろう。」
彼もソファーに腰掛けて、机の上に置いてあった男のタバコを取り出して吸う。
「ほんとだぜ。
よくこんな尻の青い女なんか抱けるな。」
「なっ!抱かれてなんかいません!」
いきなりの発言に赤面する。
何故この人達は臆することなく物を話すのだろう。
「そうね。予定ね。」
と彼は全然否定しない。
「だとよ。良かったな嵐。」
「だから!」
脱力だ。それもいつもより2倍の。
私は言葉をなくしてソファーに埋もれる。
私の予想は微妙に外れ、
そこには彼こそいないがあの男がソファーに座って漫画を読んでいた。
「お。お前も
私に気づき顔を上げる。
「いえ。まぁ。」
と不明瞭に口を開け、少し離れたところに腰を落とす。
彼は読書をやめ、「タバコいいか?」
と聞いた。
「どうぞ。」というと、
「悪いな」といいながらポケットからそれを取り出し火をつけた。
ここが彼との違いだ。意外と男は礼儀正しい。
「で、ぶっちゃけ、お前らどうなんだ?」
と彼は私に言う。
その言い方は、「付き合っているのだろう」という肯定の意味ではなく、
「付き合ってはいないだろう」という否定の色合いを秘めていた。
「いえ‥何なんでしょう‥。」
大学での時のように、ただのアパートの住民だと言えばよかったのかもしれない、でも手の平の消すに消せない言葉がちらついた。
それを聞いて、何故か男は笑い出す。
「ははっ!!やっぱりな。」
そういってなんだか楽しそうだ。
「どういう意味でしょう。」
さっぱりわけが分からない。
「いや、悪りぃ笑って。
あいつ、またやってやがんだな。」
と言いながら、もう新しいタバコに火をつけていた。
その言葉の意味が気になって、男に尋ねた。
「またって、どういうことですか?」
彼は笑顔を持続させたまま、私の顔は見ずに壁かどこかを見つめて話し出した。
「いや、な。
あいつ女にだらしねぇから。」
「だらしない?好色ってことですか?」
どうもそうは見えないけれど。
でも、男の言い振りからして彼とは昔の知り合いのようだし、私の知らない彼の事情を知っているかもしれない。
「いや、そうじゃなくて。
なんつーかそのー。友達以上恋人未満?」
「はぁ。」
「いっつもそうだ。
誰かと“良い仲”になったと思ったら
急にそいつと音沙汰無くなるんだよ。
惚れた方は大変だよなぁ?」
と今度は私の方を向いて笑う。
何か意表を突かれたような気持ちになる。
それでも必死でそれを消し、言葉を返す。
「な。惚れてません。」
そんなわけない。寧ろ苦手に値する。
「ははっ。ぜってーそうだって。
あいつのこと知りてぇって顔に書いてあるぜ。」
「‥まさか。」
しかしそう言われてギクリとする。
あの涙や、歌、その他諸々、
気になっているのは事実だった。
「ま、別にどうでもいいけどよ。
あんま考えすぎねぇで突き進めや。」
と私の肩に手を置いた。
あくまで私が彼に惚れてるというていで話しを進める気らしい。
もやもやした心を抱え、
この人はどこまで彼のことを知っているのだろうと興味をもつ。
「あの‥彼とはその。」
それだけ言うと、
男は意味がわかったらしくそれに答えた。
「あいつがこっち来てからの
知り合いってだけだ。
だからよく知らねぇ。
でも付き合いは長いぜ。
だから言えることなんだけどよ。」
そこまで言いかけてもう3本目のタバコを吸い、
息を吐く。
「あいつは歪んでる。って俺も相当だけど。
だからわかんだよ。あいつも俺も、
心のネジが足りねんだ。」
そう言った彼の顔は、
暗くも悲しくもなく、むしろ優しそうに見えた。
「歪んでる‥。」
どういうことかは分からないが、
その言葉は不思議と
真っ直ぐ私の心に入ってきた。
「まーな。でもあいつも変わったか。」
モクモクと煙が上がり、周りが白くなる。
「丸くなったっつーか。
それにあいつ、妬いてたしな。」
ニヤリと笑い、
何故かとても嬉しそうな顔をする。
「妬いてた?」
「ほら、覚えてねーか。握手だよ。
あいつ遮りやがって。前の女もその前も、
俺と飲みに行こうが何しようが
知らぬ存ぜぬって顔してやがったのに。」
「はぁ。」
何しようがって何だ。
引っかかったが黙っていた。
「ま、いい傾向かもな。
あいつにも普通の男の感情があったとは。
あいつもまんざらでもないんじゃね?
だからまぁ、ほれ。お前も頑張れよ。」
「だから‥‥。」
「はは。もしかしたらいけっかもな。
まぁもちっと可愛げあればなぁ。」
そう言われてカチンとくる。
彼に言われた言葉と同じだ。
「余計なお世話です!」
そう叫ぶと後ろで見知った声がした。
「ハハ、どうね、世話の焼ける女だろう。」
彼もソファーに腰掛けて、机の上に置いてあった男のタバコを取り出して吸う。
「ほんとだぜ。
よくこんな尻の青い女なんか抱けるな。」
「なっ!抱かれてなんかいません!」
いきなりの発言に赤面する。
何故この人達は臆することなく物を話すのだろう。
「そうね。予定ね。」
と彼は全然否定しない。
「だとよ。良かったな嵐。」
「だから!」
脱力だ。それもいつもより2倍の。
私は言葉をなくしてソファーに埋もれる。