待つ人詰む人
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翌日の朝、
いつもの様に掲示板で授業のチェックをしようと本館を立ち寄ると、声をかけられた。
「関寺さん、ちょっといいかな?」
「あ、はい。」
いくつか同じ講義を選択している女の子達だ。
顔だけ見覚えがある。
「あのさ、“哲心論”の先生のことなんだけど。」
“テッシンロン”
哲学心理概論の略称で、
彼の受け持っている授業だ。
そこで、昨日の大学での出来事を思い出す。
今の今まですっかり忘れていた。
「‥えっと。何かな?」
およそ検討はつくが、重い口を開き尋ねる。
「いや、こないだ声かけられてたからさ。
なんか前からの知り合いだったりするのかなーって。」
もじもじしながら中央に立っている女の子が話す。
さすが、ゴシップ大好き学校。
やはり侮れない。
黙っている私にその子は続ける。
「あ、いやなんか、こないだの授業で飲み誘った時さ、
“晩飯を待ってる人がいるんで”とかってやわやわ断られて。
そんでそれって
関寺さんのことかなーって。」
ねー。気になるよね。
なんて言い合いながら
一緒にいる子達とはにかみ合う。
思わず聞き返しそうになるのを堪え、
どう返そうかと考える。
ここで“はい、そうです”なんて言ったら
どうなるか答えは目に見えている。
というか、
あれだけでそこまで推測する想像力に脱帽する。
それよりも、なんでそんな断り方をするんだ。
だから勘違いされるっつーの!
奴のニヒルな笑みが浮かび、
怒りがこみ上げる。
しかし、それを何とか堪え返事をする。
「他の人のことなんじゃないかな。
ただ、同じアパートに
たまたま住んでるってだけだよ。」
と答える。
巧妙なスパイは嘘の中に
ほんの少しの真実を混ぜるという。
このぐらい言っておけば何もないだろう。
案の定、彼女達は
「あ、そーなんだー。
ごめんね、勘違いしちゃって。」
と言ってつまらなさそうだ。
その後、じゃ、また授業でね。
と言って去って行った。
別に憎むべきではないが、
正直放っておいて欲しかった。
それに、
彼の尻拭いをしてる気がして不愉快極まりない。
でも、彼と私ってどういう関係なんだろう。
友達‥とも違う気がするし。
生徒と教師‥これも微妙だ。
彼と私の関係性について思考を巡らせてみても
しっくりくるものが思いつかない。
「お隣さん‥か?」
やはりしっくりこないまま、
予鈴のチャイムが鳴ってしまった。
「やばいっ。」
そうして本館を駆け出した。
いつもの様に掲示板で授業のチェックをしようと本館を立ち寄ると、声をかけられた。
「関寺さん、ちょっといいかな?」
「あ、はい。」
いくつか同じ講義を選択している女の子達だ。
顔だけ見覚えがある。
「あのさ、“哲心論”の先生のことなんだけど。」
“テッシンロン”
哲学心理概論の略称で、
彼の受け持っている授業だ。
そこで、昨日の大学での出来事を思い出す。
今の今まですっかり忘れていた。
「‥えっと。何かな?」
およそ検討はつくが、重い口を開き尋ねる。
「いや、こないだ声かけられてたからさ。
なんか前からの知り合いだったりするのかなーって。」
もじもじしながら中央に立っている女の子が話す。
さすが、ゴシップ大好き学校。
やはり侮れない。
黙っている私にその子は続ける。
「あ、いやなんか、こないだの授業で飲み誘った時さ、
“晩飯を待ってる人がいるんで”とかってやわやわ断られて。
そんでそれって
関寺さんのことかなーって。」
ねー。気になるよね。
なんて言い合いながら
一緒にいる子達とはにかみ合う。
思わず聞き返しそうになるのを堪え、
どう返そうかと考える。
ここで“はい、そうです”なんて言ったら
どうなるか答えは目に見えている。
というか、
あれだけでそこまで推測する想像力に脱帽する。
それよりも、なんでそんな断り方をするんだ。
だから勘違いされるっつーの!
奴のニヒルな笑みが浮かび、
怒りがこみ上げる。
しかし、それを何とか堪え返事をする。
「他の人のことなんじゃないかな。
ただ、同じアパートに
たまたま住んでるってだけだよ。」
と答える。
巧妙なスパイは嘘の中に
ほんの少しの真実を混ぜるという。
このぐらい言っておけば何もないだろう。
案の定、彼女達は
「あ、そーなんだー。
ごめんね、勘違いしちゃって。」
と言ってつまらなさそうだ。
その後、じゃ、また授業でね。
と言って去って行った。
別に憎むべきではないが、
正直放っておいて欲しかった。
それに、
彼の尻拭いをしてる気がして不愉快極まりない。
でも、彼と私ってどういう関係なんだろう。
友達‥とも違う気がするし。
生徒と教師‥これも微妙だ。
彼と私の関係性について思考を巡らせてみても
しっくりくるものが思いつかない。
「お隣さん‥か?」
やはりしっくりこないまま、
予鈴のチャイムが鳴ってしまった。
「やばいっ。」
そうして本館を駆け出した。