数日のあれこれ
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あれから“特別講義”(奴がそう呼んだ。)を都合3回受けて、今日は日曜日。
律儀にも彼は毎晩来て、夕飯を食べながら色んなことを教えてくれた。
少しの罵倒を混ぜながら。
バイトも学校もない日曜日でも、私は同じ時間に起きてしまう。
洗濯や掃除を済ませ、
他にすることがなくなる。
何をしようかと考えて
彼が置いていった漫画の存在を思い出す。
そういえば、まだ読んでいない。
暇つぶしにでもと
紙袋の中から一巻を取り出す。
「虚无」という文字の上に“シィーウー”とルビがふってある。
これも中国語か何かだろうか。
でも作者は日本人だ。
そう思いながらページを開ける
話の筋としては
架空の地で戦争が起きて終戦後、戦争孤児となった青年が仲間とともに廃れてしまった街を復興する
という様な話だった。
シリアスな題材だが
なぜか重たい空気はせず、
主人公の言動や行動がたまに面白い。
それに仲間の考えさせられる台詞があったりと世界観に引き込まれ、
一気に五巻程読んでしまった。
「おもしろいか。」
と頭の上で声がする。
「ええ、特にこの25ページ目の二コマ辺りから‥ってええ!?」
答えながら、おかしいことに気づく。
「ハハ、良い反応。」
見上げると、
彼が私の目の前に立って笑っている。
「いつ入って来たんですか!」
いきなりのことで飛び上がりそうになる。
ホント‥心臓に悪いったらない。
「今さき。ちゃんと声かけたね。」
「それはどうも。で、何か用ですか。」
「いや、別にないけど。」
と頭を掻きながら言う。
「ないなら来ないで下さいよ。」
「なんだ、
せかく遊んでやろうと思たのに。」
己は小学生か。
「ていうか、仕事とかないんですか。ここ毎日来てますけど‥。」
出会ってから四日ばかり経つが、
未だ彼の正体は知れない。
「聞き捨てならんね。
ワタシちゃんと働いてるね。」
「それは失礼いたしました。」
と漫画を読みながら答える。
「それいい話だろ。」
私の隣に座って言う。
フワッとあのタバコと、他にシャンプーらしき匂いがする。
また心臓が音を立てる。
最近、彼が近づいてくると起きるこの動悸は一体なんだろう。
「おい、聞いてるか。」
彼が私の顔を覗き込む。
近いよ。
それから離れるように慌てて答える。
「おもしろいですね。
この先どうなるんですか。」
そう聞くと、
なぜか彼は苦虫を潰したような顔をする。
「おま‥ネタバレとか平気なタイプか。信じられないね。」
何か悪いことでも言ったんだろうか。
「へ?何でですか。別に困らないし。」
「いや、もういいね。黙て読め。」
そう言いながら席を立ち、
窓辺でタバコを吸う。
この光景にもずいぶん慣れて来た。
私はまた本に目を落とす。
律儀にも彼は毎晩来て、夕飯を食べながら色んなことを教えてくれた。
少しの罵倒を混ぜながら。
バイトも学校もない日曜日でも、私は同じ時間に起きてしまう。
洗濯や掃除を済ませ、
他にすることがなくなる。
何をしようかと考えて
彼が置いていった漫画の存在を思い出す。
そういえば、まだ読んでいない。
暇つぶしにでもと
紙袋の中から一巻を取り出す。
「虚无」という文字の上に“シィーウー”とルビがふってある。
これも中国語か何かだろうか。
でも作者は日本人だ。
そう思いながらページを開ける
話の筋としては
架空の地で戦争が起きて終戦後、戦争孤児となった青年が仲間とともに廃れてしまった街を復興する
という様な話だった。
シリアスな題材だが
なぜか重たい空気はせず、
主人公の言動や行動がたまに面白い。
それに仲間の考えさせられる台詞があったりと世界観に引き込まれ、
一気に五巻程読んでしまった。
「おもしろいか。」
と頭の上で声がする。
「ええ、特にこの25ページ目の二コマ辺りから‥ってええ!?」
答えながら、おかしいことに気づく。
「ハハ、良い反応。」
見上げると、
彼が私の目の前に立って笑っている。
「いつ入って来たんですか!」
いきなりのことで飛び上がりそうになる。
ホント‥心臓に悪いったらない。
「今さき。ちゃんと声かけたね。」
「それはどうも。で、何か用ですか。」
「いや、別にないけど。」
と頭を掻きながら言う。
「ないなら来ないで下さいよ。」
「なんだ、
せかく遊んでやろうと思たのに。」
己は小学生か。
「ていうか、仕事とかないんですか。ここ毎日来てますけど‥。」
出会ってから四日ばかり経つが、
未だ彼の正体は知れない。
「聞き捨てならんね。
ワタシちゃんと働いてるね。」
「それは失礼いたしました。」
と漫画を読みながら答える。
「それいい話だろ。」
私の隣に座って言う。
フワッとあのタバコと、他にシャンプーらしき匂いがする。
また心臓が音を立てる。
最近、彼が近づいてくると起きるこの動悸は一体なんだろう。
「おい、聞いてるか。」
彼が私の顔を覗き込む。
近いよ。
それから離れるように慌てて答える。
「おもしろいですね。
この先どうなるんですか。」
そう聞くと、
なぜか彼は苦虫を潰したような顔をする。
「おま‥ネタバレとか平気なタイプか。信じられないね。」
何か悪いことでも言ったんだろうか。
「へ?何でですか。別に困らないし。」
「いや、もういいね。黙て読め。」
そう言いながら席を立ち、
窓辺でタバコを吸う。
この光景にもずいぶん慣れて来た。
私はまた本に目を落とす。