疲れた。

15分休憩の間も、くどくどと何かしら言われたが、あまり覚えてはいない。

ただ、毎回仕事を終えるたび、学校よりも重たい疲労がのしかかる。

外に出ると気象庁が言った通り、
ポツポツと雨が降っている。

折り畳み傘を鞄から出す。
雨のせいで余計に気が滅入ってしまう。

傘をさしてぼろアパートへと歩きなが考える。

妙齢を過ぎた女の人って、みんなあんな感じなんだろうか。

心理学を専攻しているのに、
自分には、理解し得ないことだらけである。

「‥私、向いてないのかな。」

あなたにはできっこない。

そんな言葉がまた巡る。

だいぶ余裕ないな。

そう思っていると、いつの間にか自分の部屋の前にたどり着いた。

扉の方に、何か見慣れない張り紙が貼られている。

乱雑な走り書き。
でも割と達筆。

彼の字だ。

何を書いてるのか、読む。

「鍵が届いた。世話になった。
漫画貸してやるから夜に来い。以上。」

それだけ。
でもそんな些細なことで、何故だか心が軽くなった。

彼の部屋を見る。
部屋は未だ電気が灯されず、人の気配もない。

「まだ帰ってきてないな。」
ドアノブを回してみたが、ガチャガチャと音を立てるだけだ。

「ま、あとで行こう。」

そう思って、部屋に入る。

今日のご飯は何にしようか。
そんなことを考えながら。